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研究資料

少し短いです。

 夕食にはいい時間帯なので部屋に向かうより先に食べた方が良いと思い食堂へ向かったのだが、運悪くここで丁度シオンとシノンに鉢合わせしてしまった。


「あれ?トウヤ兄様。もしかしなくてもサボってそちらの女性とイチャイチャしてたんですか?」


 レニーナには万が一バレる可能性を踏まえ、僕の部屋で待機してもらっている。なので、この場合、シノンの言う女性とは間違いなくナフルルのことだ。


「イチャイチャって。そんなことする訳ないでしょ?」

「なら、何をなさっていたのですか?」

「……ほら、早くしないと席が埋まっちゃうよ?」


 明らかな反らしだが、本当に何も言えない。そもそも今日の出来事はレニーナが関わっている事柄が多い。

 シノンが思っている様なやましいことは何一つないことだけは確かなのだが証明方法を持たないだけなのだ。


 それに、恐らくだが今の会話だけでもシノンの第6感スキルが発動して今の話を嘘ではないと見抜いた上で危ないことをしてないか確認しようと試みた可能性が高い。ここで引いてくれれば当たりだが。


「それもそうですね。後でお部屋にお邪魔しますからその時でも構いませんし」


 どうやら正解だったようだ。


「ふーん。シノンが言うなら私はそれで構わないわ」


 シオンもシノンが僕の言葉を見抜いたことに気が付いたのか、特に反対することはなかった。



 今、この部屋には僕とナフルル、シノンにシオンがいる。因みに、レニーナはシノンに気付かれない様に外して貰っている。


「それで、話して貰えるのよね?」

「まあ、そうだね。そのうちバレる気がするし、いいかな?」


 ナフルルを確認を取ると頷き返してくれた。


 話した内容は全てではない。禁断の果実(フォビドンフルート)の一人であるチルリスの実験に双子が関わっていて、それを助けた程度だ。決して僕の情報は漏らさない。乗り物の件だって自己破壊したという説明だし。


「双子の融合実験、ですか」

「恐ろしいことをするわね」

「と、言う訳で暫くの間ナフルルはここに泊める予定だけど「「ダメに決まって(るじゃない!)ます!」」

「僕としては二人の部屋でも構わないけど」

「それでは私が困るのです」


 意外なことにナフルルが僕の部屋で寝たいと言い出した。


「私はチルリスの命令には逆らえないのです。なのでもしもの時の為にトウヤさんがいてもらった方が安心出来ます」


 ナフルルを相手するにはシノンやシオンでは荷が重いのは確かだ。

 ナフルルは双子のもう片方の力も有している為、双子のステータス補正を踏まえると、常人を1とすれば2.2だ。恐らくここの教員でも1人では厳しい。そもそもレベル65でステータスも2.2倍、この世界ならかなり強い。


「私達では相手になりませんか、ならせめてステータスだけでも見せて欲しいですね」


 ナフルルはシノンの要求に首を縦に振る。

 他人にステータスを見せることは自分の能力を知らせることであり、親しい人にしか見せないものだ。それをするだけでもナフルルがシノンたちから信頼を得ようとしているのが分かる。


「これが私のステータスです」


―――――


 名前 ナフルル・ティルノート

 性別 女 レベル 65

 種族 半精半魔


 攻撃 1144

 防御 1144

 魔攻 18590

 魔防 1573

 素早さ 1430


 スキルポイント 24


 スキル


 気配感知 レベル3

 未来予測 レベル4


 魔法


 幻影魔法 2級

 水魔法 3級

 火魔法 3級


―――――


「「なっ……」」


 この世界において、レベルとは100が上限だと思われている。しかも戦闘する大人の平均レベルが60前後ということを踏まえればまだ学生でこのレベルは異常と言える。

 それを見てシノンとシオンは驚いたのだろう。


「私は双子の妹と完全に同化しているのです。なので、ステータス補正も常人より遥かに強いのです」

「だから何かあったら僕に頼りたい、と」

「確かにトウヤなら問題ないとは思うけど」


 理屈じゃないってことか。


 シオンたちでは戦闘になった場合足手まといになるから自分たちも泊まる訳にもいかない。


 そこで、いつか3人で遊びに行くことを約束して事なきを終えた。



 シオンたちが帰った後、ナフルルが自ら拘束して欲しいと言い出したので僕の寝室に空間(スペース)固定の鎖(ロックチェーン)で七時間程拘束した。


 今はまだ22時だから5時起きか、健康だね。


 別の部屋にて防音の結界を展開し、レニーナとチルリスの研究資料を見ていた。


「リオは未完成だったから喋れなかったし、元に戻ったってことか」


 融合に失敗したのだろう。ただの命令に従う戦闘員になってしまった。そして、不安定な融合だから元々短時間で元に戻る。


「流石にナフルルさんは元に戻すことは難しいですね」


 ナフルルは、融合してからかなりの時間が経過していて、融合にも成功していた為、既に元に戻ることは叶わない。


 ナフルルは産まれてすぐにチルリスの実験に利用されてしまった。貴族の娘なのにも関わらず。


 こりゃ、両親が男の魔法使いを捕まえる為に強い娘を求めたってところか。相手は犯罪組織の1人なのに。


 確かに貴族とは魔法使いの男がいれば相当な箔がつく。侯爵家ともなれば欲しいと思うのは当然だ。


 ギーランに積極的に話しかけていたのはイニヒブル公爵家との繋りが欲しいからってことか。


 ギーランはイニヒブル公爵家の実の長男。それだけで人気があるにも関わらず、容姿や能力も申し分ない。それなのに未だに婚約者がいないことがおかしいのだ。

 ギーランは今15歳。成人するのは18歳なのでこの学院で自分の目で見つけるのだろう。


 現に僕もギーランほど人気がなく、若いだけで似たような形だ。


 だけど今回の件でナフルルは侯爵家から見放された可能性が高い。


 今までは体内に埋め込まれた魔法具の影響で実質奴隷の扱いだった訳だし、これを解除するのは簡単だ。やるのは僕の眷属だけど。


 ナフルルにとって、最大の問題はお金だ。


 既に3年間の学費を払っている場合が多いので学費は心配せずに学院に通えるだろうけど流石に毎食サラダだけでは無理がある。何らかのお金を稼ぐ方法が必要だ。


 それは後でナフルルと相談するかな。


 再び僕はチルリスの資料へと意識を移す。


 どうやら、ナフルルという成功例はあくまで偶然の産物なのだとか。そして、つい最近になって、漸く何か見え始めた所で魔王の子供で実験するのも面白いと思い誘拐するのをナフルルに命じたらしい。


 色々な実験をしてるな。


 年齢の影響、または、種族、性別等々、とにかく様々な実験をしていた。


 結局、魔力の浸透性がいい液体は効果があるってことくらいしか分からなかったらしいけど。後は融合にかける時間も含まれる。


 今回はたまたま成功しそうだったけど、何が違うんだろ?


 魂の融合。双子には魂の繋りがあるという都市伝説を聞いたとこがある。

 理由としては、双子は必ずと言って良いほどに同時に死ぬ。例外は今のところ無しだ。

 他にも好きなものや魔法適正は同じ、又は正反対なことが多い。

 そして、同時に死ぬことと同じ様なことだが、片方が元気ならもう片方も元気(逆も同じ)だし、片方が善人ならもう片方も善人といった具合にお互いに影響しあう関係ってことなども都市伝説の信憑性を増している。


 魂の繋り。


 僕はここの世界へ転移してすぐに出会ったシオンとシノンを初めて見た感想を思い出した。


 向こうの世界でたまたま同じ顔の人間がいただけ。だが、もしかしたら……。


 不意に眠気が襲いかかってきた。どうやらもう切り上げる頃合いのようだ。時計を確認すれば午前2時を回っていた。


「今日のところはこの辺で終わりにするか。レニーナ、お休み」

「はい。お休みなさいませ」

捕捉です。

ナフルルの妹とは生後まもなく融合が行われた為、スキルポイントやスキルは引き継がれていない。魔法は生まれつきのがある。スキルポイントには補正がかけられていないが、才能は引き継がれている。


次回は二章のプロローグです。短いので更新は明日の午前5時にします。

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