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奇妙な噂

 僕はシノンとシオンの3人で食堂にて朝食を取っている最中にとある噂を耳にする。


「ねぇ、知ってる?最近双子が行方不明になる事件があるんだってさ」

「あ、知ってる!とにかく双子なら構わないのか老若男女問わず各地で起こってるとか」

「私たちは双子じゃないから問題ないと思うけど怖いよねー」


 ふーん。行方不明事件か。僕を含め、眷属たちは双子じゃないから関係ないけど、何を企んでいるのかわからないから誰かに調査して貰おうかな。


 そんなことを考えながら僕はポテトサラダを食べる。今回はポテトサラダとレタスを組み合わせたサラダを食べている。流石にポテトサラダだけ食べてサラダ食べてるから健康です、とは言えない為レタスを追加したのだ。あんまり変わらないかもしれないが、ないよりマシのはずだ。


 僕たちは朝食を片付けて学院に向かう。クラスは違えど教室が近い為目的地の方向は同じなのだ。


「あ、そういえばトウヤは昨日どうやって寝たの?」

「あぁ、普通にベッドだよ?影の中にたまたま入ってたんだ」


 この世界でも影魔法は存在しており僕の闇魔法の派生で習得したと説明している。実際そうだからなんのやましいことはない。


 因みに、僕のSPはレベルリセットがかかる前の分まで引き継がれているのか通常より多いのでやらかしたらそれをSP使って習得したことにすれば誤魔化すことは可能だ。


「ふーん。ほんとに便利よね、その影魔法って」

「色々制約があるけどね。便利ってことには違いない」

「私も取ろうかしら?」

「そんなSPの無駄遣いしていいの?僕は闇魔法からの派生で影魔法が使えるけどシオン義姉様には適正がないからSP消費が通常より多いはずだよ?」


 光に適正がある者は闇には適正がない可能性が高い。実際に魔法を取得しようと試みた結果、通常は3SPで良かったはずの闇魔法はなんと9SPも必要になるとステータス画面に出てきたらしい。僕の使い魔であるルナエルは光と闇の魔法を使えるけどあれは例外ってやつだ。


「わかってるわよ。でもシノンも使えるなんて私だけ仲間外れじゃない」


 どこか拗ねた様子のシオンが小声でそう呟く。


「影魔法だけ欲しいなら構わないかもしれませんが、収納とかワープ系などの便利なやつは最低でも3級にはならないと使えませんよ?」


 派生の魔法は取得するSPは派生前の魔法よりも少しだけ少ない。しかし、僅かなSP削減の為に他の派生魔法や元の魔法を諦めるのはあまり推奨出来ない。

 それはそうだろう。何せSPを削減出来ると言っても精々4割半が限度、最悪1割弱のものもある。


「確かに、そこまでして欲しい訳じゃないし、3級にまで上げるのに何年かかるかわからないわね。残念だけど諦めるしかないわね」


 がっかりした様子のシオンに気にしない様に声をかける。


「適材適所ってやつだからそんなに気にしなくていいと思うんだけどなー」

「そういう問題じゃないの!でもそうね。私は私の出来ることをするわ」


 どうやら、機嫌を直してくれた様だ。やっぱり誰しも笑顔がいいよね。


「ねぇ、シノンもそう思うでしょ?」

「私はトウヤ兄様と同じ魔法が使えてとても嬉しいですよ」

「べ、別に私だって水魔法がお揃いだし!」


 何故この姉妹はすぐに喧嘩をするのだろうか。


 そうこうしている間に各教室に着いたので別れる。


 当然の如く存在隠蔽を使っている為、僕に気が付く生徒はほとんどいない。そう、ほとんどは。


「おはよう、トウヤ」

「ああ、おはようギーラン」


 彼はギーラン・イニヒブル。公爵家の長男で養子ではなく本物の貴族だ。

 故にイニヒブル家はギーランを溺愛しているのだが、生まれながらに病弱で体も弱いという欠点を持つ。しかし、彼は魔法の才能がずば抜けて高く様々な魔法が使えると聞く。

 容姿は黒髪に紫の瞳も持つ美少年でかなりモテる。


「流石に存在隠蔽を発動して登校はどうなの?」

「や、だって知らない女性が話しかけて来るのは苦手なんだよ」


 嘘である。別に僕は人見知りとかしないので誰とでも普通に話せるのだが、眷属の嫉妬を回避する為に避けていた時に知らない女性は苦手という噂が流れ、それに便乗すればいいと思いつき、それからずっとその設定を使っている。


「まぁ、僕もあまり得意ではないけど、性別の良さそうな娘まで避けるのはどうかと思うよ?」

「そういう()から慣れていくしかないのは分かってるんだけどね」


 僕とギーランは何度か貴族のパーティーで会う機会があり知り合い程度の関係だったが、同じクラスになったことで話す機会が多くなるので友人になれればいいなと思う。


「そろそろホームルームが始まる時間みたいだね」


 この学院は授業は指定された席で受けなければならない(教科によって席は変わる)が、ホームルームは特に指定された席はない為ギーランの隣に座ったまま担任の先生の話を聞く。


 今日は委員会を決めてから学院の中を担任の先生に案内してもらい解散してから任意で部活動見学となっている様だ。


 因みに、この学院の掃除はその日の日直がやることになっている。入学式や今日みたいに授業はないけれど基本、学院に来る日には先生が掃除をしてくれる。が、魔法が使えるのですぐに終わる。


 委員会は必ずやらないといけない訳ではないのだが、入らなかった者は部活動には参加しなければならない為、何もしない帰宅部は存在しないのだ。


 そして、部活動より委員会の方が放課後や休日の拘束時間が短いのでやりたい生徒は一定数以上は毎年、各クラス存在する。斯く言う僕もその一人だ。


 しかし、例外としてこの学院では男子生徒は必ず生徒会に入るという決まりがあるらしい。その代わりに生徒会に入った者は部活動にも委員会にも所属しなくてもいい(掛け持ちは可能らしい)ので僕は特に気にしない。むしろ生徒会は全員が男子生徒なので何も心配することはない。


因みに女子生徒も生徒会に入ることは校則的には問題ないが、例年、生徒会は男子生徒のみ、という暗黙のルールがある。


 故に眷属たちもこれなら多少帰りが遅くなっても許してくれそうだし、僕にもメリットはある。


 この学院は男子生徒は強制的に生徒会に入ることになっている為、生徒会長が一年生をどの役員にするかを決めるので入学早々に生徒会の仕事があるらしく、早速明日から集まりがあるらしい。


 漸くして、委員会が決まった頃合いにミシュノ先生が注意事項を言ってから学院内を案内してくれる。


 各移動教室から生徒会室、購買の場所などを見て回り、最後に訓練場に来ていた。


 スカイ学院は決して軍隊を育てる士官学院ではないが、訓練場は学院の地下に4ヶ所存在しており、対魔法の強度が高い魔石と宝石類を合成した物を使っている為、安心して魔法を放てる。


 魔石は勿論のこと、宝石類にも色合いによって魔法の威力を軽減する効果がある。この2つの石を合成することでひとつの魔法に対して圧倒的な防御を誇る物質、通称七色の(セブンカラー)魔宝石(マジックジュエル)と呼ばれる七種類の魔宝石(マジックジュエル)は例え1級の魔法でさえ耐えられる程の魔防を持つのだ。


「ここの訓練場は基本的に毎日魔宝石(マジックジュエル)の色が変わります。そして、それぞれのクラスによって訓練場が分けられていますので、くれぐれも他のクラスの訓練場に入らないこと!」


 クラス毎で訓練場が分けられている理由としては学院祭でクラス対抗戦があるからだろう。お互いの手の内を晒さず魔法の練習が出来るのは競うなら必須の環境だろう。



 暫くして学院の案内が終わり、大半の者が部活動見学に行く中、僕は寮の自室に帰っていた。


 シノンやシオンは部活動見学に行くそうなので暫くは僕とレニーナの二人きりだ。


「ねぇ、レニーナは双子誘拐事件のこと知ってる?」

「勿論です。それが何か?」


 反転した椅子を座った僕を見ながらレニーナは僕の問いに答える。


「魔王の子供である双子の姉弟がターゲットにされた場合、面倒なことになりかねないんだ。すまないけど暫く監視してくれない?」


 面倒なこととは最悪再び戦争が起こる。何故なら友好の証として双子の子供をスカイ学院に入学させたのだ。危害を加えたら喧嘩を売っている様なもの。未だに人間や獣人などを嫌う者が戦争を起こしたがっているのだ。可能性としては十分にあり得る。


「……分かりました。入学式でトウヤ様を見ていた件もありますし暫くの間監視しておきます」

「ありがとう。助かるよ」

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