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学生寮

 女子が男子の部屋に許可なく行くのは禁止されているけど男子が女子の部屋に許可なく行くのは別に禁止されていないから問題はない(問題しかない)のでシノンとシオンの魔力を探してとりあえず先にシノンの部屋に行くことにした。


 勿論しっかりと存在隠蔽を使いシノンの部屋に来て透過でドアをすり抜け玄関でスキルを解除する。


 あれ?これ犯罪だよね。


 しかし幸いなことに誰も見ていない(見れない)のでセーフだ。


「シノンーお邪魔するよー」

「トウヤ兄様?もう入ってるじゃないですか」

「いやーごめんね?流石に堂々とノックするのは……さ。メンタル的に辛いと言いますか」

「別に構いませんよ。何時でも好きなときに遊びに来て頂いても。それで?何の用ですか?」

「助かるよ。夕食まで時間あるしシノンとシオン姉様の部屋に遊びに行こうかな?って」

「荷物は全然ないので特に変わったことはありませんけど?」


 そういってシノンは部屋を案内してくれる。基本的に間取りは僕の部屋と変わらないがひとつだけ決定的な違いが目に写る。


「家具がある……だと!」

「元々あるじゃないですか。もしかしてトウヤ兄様の部屋にはないのですか?」

「そうなんだ。僕の部屋、家具が何もないんだ」

「え………」


 冗談のつもりだったのが実際にそうだったと聞いて驚きを顕にするシノン。しかしそれも仕方ないだろう。寮といえば最低限の家具はあると誰もが思うはずなのだ。それもテーブルや椅子はおろかベッドまでないとすれば、ただの雨風が凌げる空間だ。


「早速知り合いに頼んで家具を作って貰う予定だが早くて1週間後に届くらしいからそれまでの辛抱だね」


 四天王時代ではあり得ないが勇者パーティではたまに野宿とかするので気にしてない。


「まぁ、そんな話はどうでもいいんだよ。とりあえずシオン姉様の部屋に行こう?」

「そうですね。では()()()行きましょう」


 ん?やけに一緒にを強調された気がするな。一体何故……ちょっと待ってね。もしかして僕と一緒に歩いて行くつもりなのか?もしそうだとしたら……ほんとに胃が痛い。けどとりあえず確認だな。


「あのーシノンさん?もしかして本当に一緒に行くのですか?流石に僕そんなメンタル強くないのですが」

「大丈夫です失神したら私の部屋で一緒に寝るだけですから」


 冷や汗が流れるのを感じながら喉をゴクリとならし、唾を飲み込む。


 アウトー!絶対にダメだよ!殺されるよ?貴女。僕の眷属は贔屓目なしで相当強いからね?今はいないからといってバレたら不味いことをするのはいけないと思う。浮気と同じことさ。隠し事はいつかバレるものなんだよ。


「あ、あーね?そういうジョークね?大丈夫わかってるよ」

「いえ、冗談ではありません」


 僕はごく自然な動作で存在隠蔽と透過を使用する。が、それと同時に何故かシノンが僕の腕を掴んでいる。


 あれ?僕の気配を透過と同時に消したはずなんだけど?なんで掴んでるの?気配もないし僕透けてるんだよ?


「こんなこともあろうかと、万物を掴む魔法の腕というスキルを習得しまして」

「……ポイント、幾つ使ったの?」

「第6感と合わせて10ポイントです」

「それは良かったね。どうやらシノンは僕の逃走手段をなくす才能があるみたいだ」


 現在のシノンたちのレベルは30なのでシノンは丁度ポイントがゼロのはずだ。スキル成長とかにもポイントを貯めておく必要があるけど、まずは僕の天敵になることを選んだ様だ。


「はい!これで一緒にいられますね?」


 何故この義妹はヤンデレ風に言うのだろうか?僕はもう眷属たちさえいれば彼女なんていらないし。


 昔勇者パーティにいた頃に聖女と言われるリリアーナに好意を抱いていたが、どうやら彼女はエヴァンのことが好きな様で……つまり失恋したのだ。


 彼女、ことある毎にエヴァンの話しかしないし、それも話してる表情は楽しげだった。これはもう確定だろう。エヴァン曰くリリアーナは楽しげに話すところを見たことがないそうだが、僕と話す時には常に笑顔でエヴァンの話をしていた。


 僕が魔王軍に拐われた時には非常に慌ててそれはもう見たことがないレベルで必死に取り戻そうとしてくれたらしいのだが、そんな訳がない。何故なら僕がこの体になって遠巻きに見たときは極めて冷静に戦っていたのだから。

 僕がこの体になったのは拐われてすぐで、その翌日に魔王軍の初任務の帰りに様子を見に行った時にそうだった為間違いない。まさか3日も持たない意志を彼女が持つ訳がない。


 僕は魔族になってすぐは洗脳状態で体が言うことを聞かない状態だったがしっかり意識はあったのだ。


 そういえばあの時リリアーナが「魔王軍なんて滅びるべきゴミ、さっさと滅びるべきなんです」と言っていたから洗脳が解けても絶対に彼女には正体を明かさないことを決意したんだっけ?


 なんせ洗脳状態の僕は魔王軍の一員として少なくない人間の息の根を止めたのだから。


 結局のところ僕の全てを受け止めてくれた眷属こそ僕の愛する者ってことだ。


「あはは、そうだね。でもシノンになら僕より素敵な男性だって見つかるよ。うん」

「そんな男性、めったにいないと思いますけどね」


 僕は苦笑いをしてとりあえず肯定してからさりげなく諦めてと伝えているのに全く気がついて貰えない。


「では、行きましょうか」


 シオンの部屋へ行く途中で案の定他の生徒に見られて更にはシオンの部屋に入るところまで見られた。本当今日は災難だ。


「いらっしゃい。ってどうしたの?トウヤ、疲れてるの?ほら、義姉の生膝枕を使って休むといいわ」

「ダメです。それは義妹の私の役目です」

「いや、どっちのも使わないから」


 というか元はといえばシノンが僕と一緒に歩いてシオンの部屋に行こうとしたのが原因なのによく膝枕なんて提案出来るよね。


「そういえば二人とも使い魔は?」

「流石に荷物の整理が終わらないと……ね。ルナエルだっけ?彼女みたいにコミュニケーションがとれる訳じゃないからさ。必要なとき以外は亜空間にいるよ」

「私もです。というかほとんどの人は亜空間に入れてると思ってました」

「え……」


 そうなの?なら僕も……って流石にずっとは可哀想だろ。


「なんていうか……さ。皆、薄情なんだね」

「い、いや多分トウヤが考えていることよりも皆しっかり可愛がってるはずよ!?」

「そ、そうですよ!ペットと遊ぶ感覚と言いますか。休日とかは一緒に過ごしてますよ?」

「そうなのか。良かったー。てっきり使い魔の能力が必要なときだけ呼んで用がなければ亜空間にポイみたいなことかと思っちゃったじゃないか」

「あ、当たり前じゃない」

「そ、そうですよ。でも女性が男の使い魔に対してはその様なことが通例ですよ?」

「ふーん。確かに下心とかあったら嫌だもんね。それは仕方ないか」

「ちょっと、シノン。後で校舎裏に来なさい」


 シオンがシノンを脅す様な雰囲気で何かを伝えていたが、上手く聞き取れなかった。


 そろそろ夕食を取ろうとのことで3人で食堂に向かうことにした。


 食堂は入り口から奥に行って左に曲がった所に存在しており中は木製の6人用のテーブルが幾つも均等に並んでいて食堂の入り口から見て右側に厨房がありその少し手前にメニュー表が用意されている。


 中は混んでおりほとんど満席のようだ。


「どうやら満席の様だね」

「地下なら空いてると思いますよ。私はトウヤ兄様と同じもので良いので私は先に席を確保して来ます」


 そういって奥の階段を下っていく。


「それじゃあ早速何か頼むか」



 僕とシノンはオムライスにハヤシシチューがかかってるオムハヤシというものを食べている。シオンは自らの特権のひとつを使いステーキを無料で食べていた。


 それぞれのクラスの特権で無料で食べられる料理が違い、(ストーム)は肉系、(レイン)は魚系、(ミスト)は野菜系、(クラウド)は飲み物(スープ込み)となっている。


 僕はこの特権を生かしてしっかりと毎回野菜を頼むことにしている。


「んー1人だけ違うものを食べるのはハブられてる感じがするわね」

「そう?なら僕とシェアする?」

「いいの!?ありがとー。はい、あーん」

「ちょっと待った!なに勝手にイチャイチャしようとしてるんですか!?」

「えーいいじゃない。姉弟なんだし、義姉が義弟に食べさせることくらいするわよ?」

「いいえ!しません。義妹が義兄にあーんをすることはありますけど」

「どっちもないからね?」



 こうして夕食が終わり部屋に戻るとレニーナが床で空間(スペース)固定の鎖(ロックチェーン)を使ってあられもない姿で縛られていた。


「何やってるの?それ、僕の寝る時に使うやつなんだけど?」

「トウヤ様が寝る時、私にそういうプレイをさせるものですよね?」


 レニーナは物理的接触は出来ないけど魔力を纏えば触ることが出来る。恐らくそれで僕が何かをすると思っていた様だが全くもって違う。


「違うよ。ベッドの代わりに浮かんで寝る為にだよ。それで、時間はどうしたの?」

「今夜は外れませんよ?」


 マジか。


「はぁ。他の手段を考えるか」

「私を抱き枕に使うのはどうですか?」


 レニーナが何か言ってるが無視だ。いっそのこと無重力(ゼログラビティ)シリーズを着けて天井で寝るか。


 このシリーズは二個以上着けると二個目から装備者の体重分重力とは逆方向に力が加わる為簡単に重力転換が出来る。全て着けると3Gもの圧力がかかるが、僕にとってはそんなに変わらない。


 そして、最終手段を実行することにする。


 それは反転(リバース)シリーズの家具だ。このシリーズの家具は全て重力が逆になって配置される。つまり床ではなく天井に置くことになるのだ。そして、これと無重力(ゼログラビティ)シリーズを合わせることで最大二人まで一緒にこの家具の置かれた部屋を楽しむことが出来るのだ。


 僕が持ってるのはテーブル、チェアが2つとベッドが1つ、それも全て高級品で反転というデメリットがなければかなりの値が付くだろう。


 何故最初にこれをやらなかったかというと、これは明らかに異常な光景なので僕の正体がバレる可能性を考えてのことだったが、今考えれば僕の部屋以外で遊びに行けば良かった話だ。


 こうして僕はレニーナを置いて別の部屋でベッドなどを用意してから風呂に入り就寝するのだった。

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