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鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~  作者: 今田勝手
章の五

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第百十四話/決意の炎

「アンナ殿しっかり!」

「悪いメイ…まずった…」

「大丈夫ですから、喋らないでください!」

辛うじて意識を保っているアンナとともにショージを抱え、メイはマンジュの元へ戻る。

「マンジュ殿!」

「姐さん!とりあえず二人ともそこに置いてくださいっス!」

「レーワ殿はどうですか!?」

「まだ終わらないっス…」

ヨーローの杖が掛ける回復魔法は、現代の魔法学で解明された範囲を超えている為、中断した場合どうなるか想像がつかない。

まして、相手は幼い子供だ。

マンジュには、杖が回復終了と判断するまで魔法を止める訳にはいかなかった。

焦るマンジュの肩をアンナが叩く。

「こっちは後でいい、今はレーワに集中しろ」

「アンナ殿しかし!」

メイが肩を掴んで叫ぶ。

「舐めんな、このくらいどうって事はないんだよ」

アンナは眉間に皺を寄せ、ぽっかり穴の空いた腹を押さえながらも笑う。

そんなアンナとショージを何度も見比べていたクロは、断腸の思いを顔に滲ませながらショージに飛び乗り、回復を始めた。

「アンナ殿…」

ひとりオロオロとするメイの背中を、アンナがぽんと叩いた。

「お前がそんな顔してどうする、しっかりしろメイ」

「で、ですが…」

「ちょっと、通るよ」

メイの肩を押しのけ、後ろからホエンが割り込んで来る。

「ウチに出来るのはこのくらいだけど、応急手当くらいにはなるから」

アンナの腹部に触れると、魔力を流す。

「っ…これは」

「身体強化で耐久力を上げた。傷が塞がる訳じゃない気休め程度だけど」

「いや…少し楽になった」

「そう…」

その様子を見て、メイの肩が少し下がる。

「…では、私はシュテン殿の加勢に」

「姐さん!」

マンジュの切迫した声と共に、ボウガンの射出音がメイを惹きつける。

「マンジュ殿!」

メイは間髪入れずに飛び出した。

マンジュはレーワの回復を行う傍ら、正面に現れたゴブリンの群れを相手取っていた。

マンジュのゴブリンアーチャーが数体を捉える中、メイが間に割って入る。

「すまねえっス姐さん!片手じゃどうしても相手しきれなくて」

「いいえ…ここは私が、皆さんを守ります!」

メイは刀を抜いた。

「はああああっ!」

耳元でボボボッと燻る音が聞こえる。

どうやらフレイムティアラは出ていないらしい。

成功したとはいえまだ一度のみ。

メイの火炎魔法は、安定して発動出来る領域には程遠かった。

「くぅっ…はああああっ!!」

決意を反芻する。

「私がぁっ、守ってみせる…っ!」

火が燻る音が次第に大きくなる。

「守るんだぁあああっ!」

ダメ押しの気合いでようやく火が灯りティアラの形と成る。

メイは刀を一度振り抜くと、再度構え直す。

「はああああっ!」

前へ飛び出し、正面の一匹へ斬り掛かる。

ゴブリンを袈裟に斬り捨て、刀に乗った血を振り払った時、ぼうと音を立てて刀身が眩く燃え盛った。

「…すごい」

後ろで呆然と、ホエンはその炎に見蕩れていた。

「王女って、本当だったんだ…」

メイは刀を前に掲げ、大きく息を吸った。

「この火に懸けて、ここから先には一歩も進ませませんっ!」

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