第2話:ドキドキの能力検査!
入学式当日。
今日は能力テスト、魔力測定がある。能力テストに至っては簡単な的当てや風を吹かせて蝋燭の炎を消すなどの基本魔法の使用だ。ここでどのS〜D組までどの組に振り分けられるのか決まる。さぁ、胡桃。君の秘めた力を今こそ見せてもらうよ…!
♢♢♢
「ちょっとぉ、何でそんなに残念そうなわけ?私、凄かったでしょ?」
「あぁ〜、そうだね。君は十分凄かったよ。」
胡桃は嬉しそうにニマリと笑う。そうだ、胡桃の能力は確かに凄かった。能力値のランクはSランクで勿論クラスも最高ランクのS組だ。だがしかし…しかし!!
「SSランクって何なんだぁあ?!」
他の聖女候補がSSランクだって?!そんな話余りにも非現実的過ぎじゃないかい?!まさかこの世にそんなランクが存在するなんて…。俄かに信じ難い。あの第二王子ですらSランクなんだぞ。ボクはチラリとその人物の方を向く。ソイツは気怠げに腕を組んで壁に背を預けている。周りにはソイツに惹かれた女子が頬を染めて群がっていて当の本人はそんな事気に求めずに黄金の髪をかきあげて欠伸をした。この国、マジカアストロムの第二王子、ノスク・ド・キングプロティアだ。そして、
「あぁ!ノスク様だぁ!ゲーム内の攻略対象の一人よ!キャァーー、ノスク様ぁあ!」
…らしい。胡桃が大声で騒ぐので周りの生徒たちが此方に注目して騒めいた。恥ずかしいから止める様に声を掛けようと振り向くが、先ほどまでクネクネ動いていた胡桃の姿は無く、嫌な予感がしてノスクの方を向けばそこには頬を染めてノスクに突っ掛かる胡桃の姿があった。しゅ、瞬間移動かい?!
「はじめまして!私ぃ、来栖胡桃って言うの!ノスク様のファンで〜す♡」
鼻にかかる大声でノスクに話しかける胡桃。その声にイラついたのか、ノスクは大きく舌打ちをしてギロリと睨みを効かせてきた。その姿が余りにも恐ろしく先程までノスクのまわりで媚びを売っていた女子たちも顔を青くする。そして生徒たちはその空間の緊張感を感じとって固唾を飲んだ。ワワワワ、こ、殺されるんじゃないか?仮にも第二王子にこんなに睨みを効かされて不敬罪か何かで殺されるんじゃないかーッ?!しかしそんなボクの思いも、周りの緊張も気にせず胡桃は依然としてクネクネキャーキャー騒いでいた。
「ちょっと、来栖さん。」
そんな地獄のような空間をぶち壊す救世主のような凛とした声が掛かる。胡桃は小首を傾げながらそちらを向いた。
「あ、のぞみんとしののんだぁ〜!やっぴ〜!」
そこには聖女候補の2人、腰に手を当てた活発そうな美少女、夏の妖精アイスタスがついている八城希と、清楚で落ち着いた雰囲気の美少女、秋の妖精アウトゥヌスがつく松井詩乃がいた。希は今だキョトンと小首を傾げている胡桃を見て大きく溜息を吐いてからノスクに話しかけた。
「騒ぎ立てたりしてごめんね。この子ちょっと周りが見えてない所があってさ。」
「え〜?私はただ、ノスク様と仲良くなりたかっただけなんだけどなぁ。」
「…どんだけ脳内お花畑な訳…?」
希は呆れた声で言う。そんなやり取りをしている間にノスクはいつの間にか居なくなっていた。
【ノスク・ド・キングプロティア・マジカアストロム】
攻略対象の一人で王国『マジカアストロム』の第二王子。金色のブロンドに碧眼。常に気怠げにしている。
【八城 希】
夏の妖精がついている聖女候補。正義感が強く活発な美少女。
【松井 詩乃】
秋の妖精がついている聖女候補。冷静沈着でクール。大和撫式のような美少女。




