*さん*
その翌日、私は学校を休んで部屋に閉じこもっていた。
言い訳としては、昨日頭を打ったから。
まぁ、その辺は零が何とかしてくれるだろう。何故か先生うけもいいことだし。
とりあえず、パソコンを開いて「君とともに」という題名を検索してみる。
…あるわけない、か。
次に調べたのは清涼学園について。
やっぱり、漫画の中の設定と同じだった。
あの漫画は、何度も何度も読んだのだ。間違えるはずがない。
清涼高校は、いわゆるセレブ校。主に名家の子供たちが通っている。零の実家、黒崎家は黒崎経営グループを展開しており、ヒロインである姫宮美妃の家は姫宮グループを
展開中。
会社としては犬猿の仲といえる。だからこそ現代版ロミジュリなんて呼び名もつけられたりしていた。
ちなみに私の家は少し格が下がってしまうが、それなりの規模の会社を経営している。そもそも、黒崎と姫宮が巨大すぎるのだ。
さて、この先のことだが、私には二つの選択肢がある。
一つは、漫画なんぞ知るか、とシナリオとは全然違う道をいく。
もう一つは、どうせならということでシナリオ通りに生きる。
さて、どちらにするか…
と悩むふりをするが、私の心はすでに決まっていた。
そんなの、前者に決まっている
せっかく生まれ変わったのに、悪役になんてなりたくない!
よくある悪役の結末としての処刑エンドとかは現代だから無いことだけが救いだけど、私は今度こそまともな青春を送るんだから!
その対策としては…、目下の目標は清涼学園以外の高校にいくこと。
むしろ零と離れられるぶん、女子高にいくほうが安全かな…?
そう私が決意したところで、学校が終わったのか、零がやってきた。(ちなみに私と零は家が隣同士だ。さすが少女漫画!)
「れーーなーーー、はいってもいいーー?」
「いいよ」
といつもの受け答えを済ませて、零がドアを開けて部屋へ入ってくる。
私としては、そんなの必要ないと思うのだけど、なぜかお兄ちゃんに、
「男子はたとえ零だとしても無断で部屋にいれちゃダメ」
とつよく言われているのだ。
そこまで言われては、お兄ちゃんっ子である私に拒否権はない。
「はい、これが今日のプリント。」
と数枚の紙を手渡してくれる。
「ありがとう」
と受け取り、そのまま他愛もない雑談を始める。
そろそろ帰ろうかな、と零が言って立ちあがったその時、リビングからお母さんが
「玲奈ー、零君ー、ちょっとおいでー」と呼ぶ声が聞こえた。
二人で顔を見合わせて、なんだろうねなんて話しながら行ってみると、ソファにお母さんと零のお母さんが座って何かの本を見ている。
「どうしたのー?」と聞くと、なにやらにやにやしながらこちらを向いてくる。
…いやな予感がする…
こういう時に限って私の勘は結構あたるのだ。
今回も、やはりそうだった。
「さっき零君のお母さんとも話してたんだけど、二人ともまだ志望校は決まってなかったわよね?
それなら、この学校にしない?」
そういって見せられたページに書かれた高校名は、清涼高校。
……これが俗に言うシナリオ補正ってやつですか?




