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5、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜 第5章 原点回帰編  作者: Nao9999


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第150話 約束の続きを歩く

世界は救われ始めた。


陽は帰る道を思い出し、無数の人生へ白い光が戻っていく。


それでも、一番近くにいる父・拓海だけは、静かに命の終わりへ近づいていた。


優斗は最後の約束の意味を、自分の足で歩き始める。

「生命維持反応、低下。」


E-01の声が静かに響く。


優斗は拓海の肩を支えた。


「父さん。」


拓海は苦しそうに息を吐きながらも笑った。


「そんな顔するな。」


「無理だよ。」


優斗は首を振る。


「やっと会えたんだ。」


「また一人になるなんて嫌だ。」


拓海は優斗の肩へ手を置いた。


震える手だった。


「もう、一人じゃない。」


その言葉は、母が残した声と同じだった。


「教育係。」


拓海が視線を向ける。


「悪い。」


教育係は苦笑する。


「謝るな。」


「親父なら最後まで親父でいろ。」


拓海は少し笑った。


「厳しいな。」


「当たり前だ。」


二人は短く笑い合う。


その空気を壊すように、地下空間へ柔らかな鐘の音が響いた。


カァン……。


一本道がさらに明るくなる。


陽が静かに近づいた。


「拓海。」


拓海は頷く。


「久しぶりだ。」


陽は目を伏せる。


「ごめん。」


「俺が壊れたから。」


「君たちを巻き込んだ。」


拓海は首を横へ振った。


「違う。」


「俺たちが選んだ。」


陽は驚いたように顔を上げる。


拓海は優斗を見る。


「道標は命令じゃない。」


「選ぶ場所だ。」


その一言で、優斗はようやく理解した。


帰還者。


守人。


灯。


誰も無理やり選ばれたわけじゃない。


みんな、自分で誰かを守る道を選んだ。


その時だった。


端末が再び光る。


『最終継承』


画面が切り替わる。


『選択してください』


『継承』


『共同継承』


『終了』


「共同継承?」


蓮司が眉をひそめる。


「こんなの見たことがない。」


E-01が解析する。


「新しい選択肢です。」


「陽の帰還によって、道標の構造が変化しています。」


優斗は画面を見る。


継承。


共同継承。


終了。


もし継承を選べば。


父と同じ守人になる。


終了なら。


父は助からない。


残る一つ。


「共同継承。」


拓海の表情が変わる。


「そんなことが。」


陽が小さく笑った。


「できる。」


「一人で背負わなくていい。」


灯も頷く。


「もう。」


「昔じゃない。」


優斗は画面へ手を伸ばす。


しかし止めた。


父を見る。


「父さん。」


「本当にこれでいい?」


拓海は静かに笑う。


「俺は。」


少しだけ空を見上げる。


「お前と歩きたかった。」


優斗の目に涙が浮かぶ。


「俺も。」


「だから。」


優斗は画面へ手を置いた。


『共同継承』


ピッ。


認証完了。


その瞬間。


白い光が優斗と拓海を包む。


二人の胸元へ、同じ紋章が浮かび上がる。


道標。


しかし今度は違った。


一本だった道が。


二本並んでいた。


E-01が静かに告げる。


「共同継承、成立。」


地下空間の空気が変わる。


拓海の呼吸が安定し始めた。


「父さん!」


拓海はゆっくり深呼吸する。


「……軽い。」


蓮司が思わず笑った。


「兄さん!」


真琴も涙を流していた。


「本当に。」


「助かった。」


陽が微笑む。


「約束は。」


「一人で背負うものじゃなかった。」


その言葉と共に。


地下の天井が少しずつ透け始めた。


朝日だった。


地上の光が差し込んでくる。


国道。


優斗が最初に倒れていた場所。


その景色が見えた。


灯が笑う。


「朝。」


優斗は父を見る。


「行こう。」


拓海も頷く。


「ああ。」


親子で並んで歩き出す。


一本道の先へ。


その時。


陽が優斗を呼び止めた。


「一つだけ。」


優斗が振り返る。


陽は優しく笑った。


「黒糖飴。」


掌を開く。


そこには、小さな包みが二つあった。


「また。」


「始める人がいる。」


優斗は受け取った。


母から始まった黒糖飴。


今度は、自分が誰かへ渡す番だった。


そして。


親子が最後の扉を越えた瞬間。


国道へ、朝日が降り注いだ。


風が吹く。


白い花びらが舞う。


優斗は空を見上げた。


「あの日。」


静かに笑う。


「本当に始まってたんだ。」

第150話、ありがとうございました。


ここで物語は大きな節目を迎えました。


拓海が二十年以上一人で背負ってきた“守人”の役目は、「共同継承」という新しい形へ変わります。


これは父から子への単なる世代交代ではなく、「一人で抱えない」という物語全体の答えでもあります。


そして、黒糖飴は母から優斗へ、優斗から未来の誰かへ繋がる“優しさの連鎖”となりました。


物語は終盤へ入りましたが、本当のクライマックスはまだ先です。


最後にもう一度、あの国道で全ての伏線が回収されます。

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