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『其の十四』 思い出した事

俺は歩きながらヒモリに説明した。

「射的の時にふと思い出したんだ、昔ここで射的をしたことがある記憶を」

「……という事はここに来たことがあったのか?」

「まあ……その記憶も定かではないから分からないけどな」


するとヒモリは恥ずかしそうに言った。

「ただ……急に抱きしめるのは違うんじゃないか……?」

「え?あれは教える為に……」


俺は段々と恥ずかしくなった。

よくよく考えると、上半身はさらしだけの女性を抱きしめてしまったのだ。

「本当にすまなかった!あれはわざとじゃないんだぁぁぁぁ!」


ヒモリの前で土下座をすると、周りは何があったのかとこちらを見ていた。

「ちょ……レイ!恥ずかしいから頭を上げてくれ!」

「俺は一人の女性に対して無礼なことをしてしまったぁぁぁぁぁ!」

「も、もう!ほら次行きたいところがあるから早く行くぞ!」


俺はヒモリに引きずられながら次の場所へと向かった。


──────────

──────

────


そして俺達は屋台の前に付いた。

「ここって……金魚すくいか」

「そうだ、一回やりたかったんだ」


ヒモリはお金を取り出し、屋台のおじさんに渡した。

「おう、まいど……ってヒモリ様じゃないか!金は受け取らないよ!」

「いや、だが流石に……」

「良いから良いから!そこのあんちゃんは……っておめえさんか!」


おじさんは俺の分とヒモリの分を用意してくれた。

「破れたら終わりだからな、頑張れよ!」

「よし、やろう!レイ!」

「おう!どっちが多く取れるか勝負だ!」


俺はゆっくりとポイを水で湿らせ、金魚の近くに持っていった。

しかしその瞬間に隣からバシャバシャと音がした。

「くっ!取れないぞこれ!」

「待て待て待て!そんなに激しくすると破れちゃうから!」

「じゃあどう取るんだ?」


すると店主のおじさんが笑顔で新しいポイと交換してくれた。

「ヒモリ様、金魚すくいってのはゆっくりやるんですぜ?」

「ゆっくりと……?こうか?」

「そうそうそう!」


おじさんは嬉しそうにヒモリに教えていた。

するとヒモリの喜んだ声が聞こえた。

「やった!取れた!」

「おお、やったじゃねえか!」


するとおじさんは取れた金魚を水が入った袋に入れて、ヒモリに渡した。

「ほれ、一匹だがいい思い出になるだろう?」


ヒモリは取れた金魚をじっと見ていた。

「俺も負けていられないな……」


そして俺は真剣に取ろうとした瞬間……

「見てくれレイ!この金魚可愛くないか?!」


ヒモリは俺の方をトンと叩いた瞬間、ポイが破けてしまった。

「あっ……」

「あ……す、すまなかった……はしゃぎすぎたな……」

「大丈夫だよ、最初から取れなそうだったし」


するとおじさんが一匹の金魚を俺に渡してくれた。

「え?これは?」

「いいんだよ、悲しい思い出を残されちゃ困るからね!」

「あ、ありがとうございます!」


おじさんから貰った金魚はとても元気に泳いでいた。

「でもこれどうしよう……」


するとヒモリは言った。

「私の神社に池があるんだ、そこで飼うのはどうだ?」

「本当か?それはいいな」

「それじゃあ……おじさん、後で取りに来るから水槽に入れてくれないか?」


そう俺は聞くと、おじさんは了承してくれた。

「それで……そろそろ戻らないと怒られそうだな」

「そうだな……戻ることにするか」


そうして俺とヒモリは綿あめで喧嘩していた二人のもとに帰ることにした。

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