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喜劇  作者: 新原氷澄


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喜劇2 アンタゴニスト 閑話休題5

珈琲と絵にまつわる、短いお話です。

珈琲


伊丹「雲雀、なぁ、ちょっと……」


青崎「ん」


(イヤホンケースを渡す)


伊丹「え、なんで分かったん」


青崎「お前さっきなんかブツブツ言いながら通り過ぎてったから」


伊丹「書きもんしてたから手元おろそかになってった。見つけてくれてありがとぉなー」


青崎「何書いてたん。ちょお見して」


伊丹「んー、ひばり辛口やからなー、もうちょい推敲してから見せたい」


青崎「……ほな待っとくから。はよ」


伊丹(し、視線が痛い!)


伊丹「コ、コーヒーが飲みたい」


青崎「……しゃあないな」


(コーヒーを入れに台所に行く青崎)


伊丹(見られてへんうちに書けるだけ書こ)


青崎「あ、なぁ、伊丹」


伊丹「新しいコーヒーの粉は白い棚の一番下やで」


青崎「……了解」


伊丹「うーん、うーん」


(黙ってコーヒーを入れて戻ってくる青崎、考え続ける伊丹)


青崎(……集中しとるな)


伊丹「ふぁー。あとちょっとなんやけどな、オチがすんなりこん。あー」


青崎「コーヒー飲まんのかいな」


伊丹「あ、いただきます」


青崎(黙ってコーヒーを飲む)


伊丹「うまーい。熱ーい。でも甘ーい。砂糖入ってる?」


青崎「詰まってそうやったから、しこたま練乳入れたった」


伊丹「ありがた〜。もうちょい待ってな、いいコント書くから」


青崎「……まぁ、期待しとる」


伊丹「よし、コーヒー飲んだら続き書こ」



青崎「えーっと……あかん、名前出てこぉへん。……なんやったっけな」


伊丹「へぇ。ほな絵描いてみたら?」


青崎「え? 道具とかないけど」


伊丹「ここにタブレットがありま〜す」


青崎「……(ペンを握ってささっと書く)どう」


伊丹「え、えー? なに? マジで何? お前絵めっちゃ下手」


青崎「失礼なこと抜かすな。なんか分かるやろ、ニュアンスで」


伊丹「ニュアンスもなんもあれへんわ。犬か猫かタヌキかキツネか、なんかそんなんもわからん」


青崎「動物なんは伝わってるやん」


伊丹「当たり判定広いな! んー……なんかほら、もうちょっと情報を」


青崎「ほな2枚目」


伊丹「い、色を変えるなぁ!! 変なとこ凝らんといて、なぁ」


青崎「ここのな、ヒゲと顎の下がこうなってるねん」


伊丹「そうなん……なんか、まぁええわ。うん、ヒゲと顎のフサフサの毛がもさぁってなってんのな?(世の中に無数におるぞ、そんな生き物)」


青崎「3枚目」


伊丹「(なんかノリノリになってきはったで、この先生)……ん!? 急にうまなったな」


青崎「絵の描き方思い出した」


伊丹「絵の描き方忘れることなんかある??」


青崎「ほんでなに、これ」


伊丹「〜〜……あー、多分、あれ。ジャック・ラッセル・テリア!」


青崎「へぇ。ていう名前なん?」


伊丹「そやろそやろ、首の赤いのがリボンやったら、時々見かける近所のワンちゃんやろ。しゅっとしてて可愛い、茶色と白の子よな」


青崎「この前すれ違ったとき、めっちゃ毛少なくなっとってしょぼくれとったから、めっちゃおもろいと思って」


伊丹「トリミングしたあとのワンちゃんて可愛いよな。あーよかった、スッキリした」


青崎「もう一枚描いたらええのんできる気がする」


伊丹「ほな描いてみやんか。ほんで描けたら友成にも送ったろ」


青崎「友成なら一枚目でわかってくれるやろ」


(急に呼び出されてカジュアルに来てくれる友成)


友成「…………牛? 件かな?」


青崎「…………」


友成「ジャージー牛かな。もしくは山羊? ……もうちょっとヒントが欲しいです」


伊丹「ほら〜。やっぱりお前は絵下手やて」


青崎「ほなお前描いてみろや」


伊丹「…………(当てられなさそうなもの描いてやろ。えーと)」


友成「あ、青崎さん」


伊丹「なんでわかったん?!」


友成「伊丹さん絵心ありますよ」


青崎「……俺がないみたいやんけ」


2人の絵は西中のXの公式アカウントで公開され、議論を呼びました。



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