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1、国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜出会い編  作者: Nao9999


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第7話:選ばれる側へ

第7話です。


一度の敗北を経て、

主人公は“理由”を手に入れた。


同じ場所、同じ状況。

だが、立つ人間はもう違う。


その違いが、結果を変える。

「準備はいいですか」


教育係の声。


俺は、静かにうなずいた。


前回と同じ場所。

同じフロア。


だが――


「……大丈夫です」


自分でも分かる。


前とは違う。


「では、行きましょう」


一歩、踏み出す。


ジュエリーフロアの空気が、肌に触れる。


冷たい。

だが、嫌じゃない。


視線が集まる。


前と同じ。


だが――感じ方が違う。


(見てろよ)


心の中で呟く。


理由はある。


俺は、見て見ぬふりをしない。


それだけだ。


立つ。


ただ、それだけ。


だが今は違う。


“そこにいる意味”がある。


呼吸を整える。


姿勢を保つ。


視線を動かす。


一人一人を、ちゃんと見る。


逃げない。


「……あれ?」


小さな声が聞こえる。


「さっきと違うね」


別の声。


確実に、空気が変わっていく。


(来た)


確信する。


一人の女性が、足を止めた。


視線がぶつかる。


逸らさない。


ただ、静かに受け止める。


数秒。


その沈黙が、やけに長い。


「……これ、見せてもらえますか?」


初めての一言。


来た。


「はい」


自然に動く。


声も、手も、ぶれていない。


ジュエリーを手に取り、見せる。


だが、売ろうとはしない。


ただ、その人に合うものを考える。


「こちらの方が、お似合いかもしれません」


自分でも驚くほど、自然に言葉が出る。


女性は少し驚いた顔をして――


笑った。


「いいですね」


その一言で、流れが変わる。


次々と視線が集まる。


人が寄ってくる。


さっきまでとは、明らかに違う。


「この人、いいね」


「雰囲気ある」


聞こえてくる。


“軽い”なんて言葉は、もうない。


「……」


教育係が少し離れた場所で見ている。


その目が、わずかに変わった気がした。


時間が過ぎる。


気づけば、自然と人の流れができていた。


俺を中心に。


「今日はこのくらいで」


教育係の声。


テスト終了。


フロアを出る。


足取りは軽い。


だが、浮かれてはいない。


「結果は?」


聞くまでもないが、聞く。


女性は一瞬だけ間を置いて――


言った。


「合格です」


短い言葉。


だが、その重みは前とは違う。


「……だろうな」


思わず笑う。


「自信、つきましたね」


「まあな」


軽く返す。


だが、内心は違う。


ギリギリだった。


でも――


通った。


「理由、ですか」


女性が小さく呟く。


「ああ」


うなずく。


「それが全部変えた」


その通りだ。


外見じゃない。


技術でもない。


“理由”が、すべてを変えた。


その時――


「いい顔になったな」


背後から声。


振り返る。


社長だ。


スーツ姿のまま、静かに立っている。


「……見てたのか」


「ああ」


短い返事。


「どうだった」


少しだけ挑戦的に聞く。


社長は、ゆっくりと笑った。


「合格だ」


二度目の言葉。


だが意味が違う。


「これで、お前は“候補者”じゃない」


一歩近づく。


「一段上だ」


その言葉に、少しだけ空気が変わる。


「……どういうことだ」


社長は少しだけ視線を外し――


言った。


「ここから先は、“選ぶ側”も見てくる」


「……選ぶ側?」


その言葉に、違和感が走る。


「この程度で満足するな」


社長は続ける。


「上には、まだいる」


静かな声。


だが、確実に何かを含んでいる。


「この世界はな――」


一瞬、言葉を止めて。


笑った。


「そんなに単純じゃない」


その一言だけ残して、去っていく。


残された俺は、しばらく動けなかった。


上がある。


しかも、“選ぶ側”がいる。


つまり――


俺たちはまだ、下だ。


「……面白いじゃん」


小さく笑う。


怖さはある。


だが、それ以上に――


ワクワクしている。


「次、行くぞ」


自然と口に出る。


教育係は少しだけ驚いた顔をして――


ふっと笑った。


ほんの一瞬だけ。


「はい」


その声は、少しだけ柔らかかった。


俺は、前を向く。


もう、止まらない。


ここから先は――


本当の勝負だ。

読んでいただきありがとうございます。


第7話では、主人公の再挑戦と“合格”を描きました。


ただし、これはゴールではなく通過点。

ここから先は、さらに上の世界が待っています。


社長の言葉にあった“選ぶ側”とは何なのか。


次回から、物語はさらに深く進んでいきます。


引き続きよろしくお願いします。

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