木こり生活⑸
取り引きが成立するとエブリンと素早く木を積み始めた。
なかなかの重労働なのだろうが、魔力を行使すればなんともない。
護衛のハンター達も手伝ってくれればすぐに終わるのに、やはり護衛は護衛。その辺はやらないのだろう。
頼まれた以上のことをやらないと次の仕事につながらないんだぞ!前の世界の先輩の言葉を思い出しながら、作業をこなした。
積み荷を終えるとカニの出番だ。
途中で抜けてカニを持ってくると、商人ほか護衛たちからも感嘆の声が聞こえる。
「すげー、はじめて見たぞ!」
「こんな姿をしているのか!」
「一部売ってもらって、防具にしたらいいんじゃないか?」
「いや、欠片を売ってもらって、転売でもいいんじゃないか?魔法薬にもつかえただろ?」
そうだろ!そうだろ!すごいだろ!俺が池から一本釣りしたんだぜい!言ってやりたいが、そんなこと自慢してもしょうがない。トドメを刺したのはエブリンだしな!
でも、後で少し金貨を分けて貰えるか聞いてみよう。もちろんちょっとくらいわけてくれるよね?
「じゃあこっちが木の代金で、こっちがシールドクラブの分だね」商人がエブリンに布の袋を二つ渡す。
思ったよりも、袋が小さいと思ったら、金貨のサイズも500円玉よりも小さいくらいであった。
もっとチョコの金貨を想像していたので、残念だと思ったが、よくよく考えるとあれくらいの大きさが運びやすくていいのだろう。
あれなら10枚くらい袋に入れてくれても、よかったのに神さまは、なぜ入金されたカードをくれたのだろうか? 今や神のみぞしるというやつだ。いつか抗議をしよう!と思ったが、
「今のとこ、貨幣を使う場面なかったなぁ」小さくつぶやいた。
「ありがとな。また何か狩れたら取っといてやろう」
「しばらくはこいつを売るのに手間がかかるだろうが、よろしく頼もうかね」商人はそう言いながらも期待に満ち溢れている感じだ。見ていて楽しそうだ。
こうして商人と護衛のパーティは帰っていった。
「俺らも小屋に帰るとしよう。その前にほら、これはおめぇのだ!」そう言ってエブリンは金貨の入った袋をくれた。
「え、全部!!!もらえるの?」エブリン神!
「いやもう俺の分の手数料は抜いておいたぞ!」
飛んだぬか喜びだった。と思ってしまったが、結構入っている気がする。
「とどめを刺して倒したのはエブリンなのにいいの?」
「おう!そもそもタックスシールドクラブっていうのは、倒すのに実力も欲しいが、なかなか出会えねぇ。池の中で生活してるからな。臆病だから陸に上がることはねぇし、なかなかあそこまで成長することもねぇ。だから釣り上げたおめぇが多くもらうべきだ」
「ありがとう。 こ ・ こ ・ ろ の友よ!!!」
「心の?おめぇの国ではそういうのか?なんか気持ちわりぃが、おめぇに言われるとわりぃ気はしねぇな」エブリンはそう言ってワハハと笑って歩き出した。
「でもあの護衛のパーティでも、倒せるんだろう?」歩きながら話す。
「十中八九あいつらには無理だな。まず実力がたらん。俺の知っているCクラスはもっと強い。おめぇもそこまで強いと感じなかったろう?」
「まぁそういわれると確かに」装備も雰囲気も強そうではなかったな。
「たぶん上がりたての奴らだろう。狩り以外の仕事をこなしてランクを上げた手の奴らだろう。護衛がいるのに多く金貨を持っていたのは、金で命を救ってもらうためだな」
「そうだったのか?盗賊は人を殺さないのか?」
「そらぁ殺すこともあるだろうが、殺すよりも金で解決できるんだ!その方がええだろ?」
「まぁ確かに。いちよう護衛をぶつけてみて、ダメなら金で解決する。それなら最初から強い護衛に頼めばいいのにな」
「ちげぇねぇが、盗賊がでたら、みんな一気に依頼をだして、金のいいとこから依頼を受けるだろ?その分依頼料も上がる。木の積み荷なら金になんねぇから盗まれることはねぇし、襲ってくるのは初心者か切羽詰まった奴らだ。それならあのランクの護衛でも善戦できんだろう」
「エブリン・・・意外と考えてんだな」 しまった!口に出ていた。
「そんくらいは常識じゃねぇか」ワハハと笑いながら歩く。
そうか常識だったのか。言われてみないとそこまで考えがいかないのだが
「ちなみに常識をもう一つ聞きたいんだが、冬になるとどうなるんだ?」
「雪が降るな。獲物も減るし、なんにもならんから、しっかり買い込んで冬を越さなきゃならん。そいやぁおめぇは…どっから来たのか知らねぁが帰らなくていいのか?」
「まぁそうだなぁ。帰らなきゃいけないことはないが…」なんとなく曖昧にしておく。
「そういえば、この近くの村とか街にも行ってみたいかな?」
「そうかぁ。まぁ好きな時まで居ていいが。寒くなってくると床はつれぇぞ?」
そのあとは、冬について色々聞きながら小屋に戻った。




