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2時間目と3時間目の間の休憩時間に、1年F組の前の廊下で、彼と2年生の先輩が、すごい顔をして突然殴り合いの喧嘩を始めたことがあった。あれ、何で喧嘩になったんだろうなぁ。2年生の教室は4階にあったんだけど、1年F組の先に音楽室があったから、ひょっとしたら、音楽の授業が終わった2年生が通りかかったときのことだったのかもしれない。彼はものすごく喧嘩が強くて、強い相手にも平気で向かっていった。
それに比べて僕は喧嘩が苦手で、すぐに弱気になってしまう。だから、自分より弱そうな相手にしか立ち向かえなかった。言わぬが花だが、二学年下の相手との情けないつかみ合いの喧嘩で負けたこともある。
まあ、それはいいとして、彼と先輩の喧嘩を見ながら、そこにいた誰もが、これ、どうなっちゃうんだろ、と思っていた。
すると、そのとき、小山暁代が教室から姿を現し、「何やってんの! よしなさいよッ!」と一喝したんだ。しびれたね。
それで、見ず知らずの先輩は退散した。
彼なんて、あんな荒っぽい喧嘩をしたばかりなのに、もう僕たちのところに戻ってきて、ニコニコしているんだから。
僕はますます小山暁代のことが好きになった。なにせ、悪いところなんて一つもないんだから。
毎晩、ベッドに横たわり、唾を呑み込み、乾いた喉を湿らせながら、僕は彼女を想わずにはいられなかった。寝ても覚めても、頭の中は小山暁代でいっぱいだった。あの白い肌を思い描き、彼女の顔を浮かべながら、心の中で何度も何度も、その名前を呼んだ。
生まれてこの方、あんなに誰かを好きになったことはなかった。




