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見終わったあと、一度教室に戻った。しばらくして家に帰ろうと外に出ると、校庭でドラムセットを運び出している彼の姿が目に入った。疲れた様子で、古手川の家まで持っていくのを手伝ってほしいと、僕に声をかけてきた。彼は顎でスネアドラムを指しながら言った。
「それ、頼むよ」
「いいよ」
僕はそれを持ち、引きずるような足取りで古手川の家へ向かった。後ろからも何人かが、同じように歩いてきた。
古手川の家の近くに来たとき、後ろから追いついてきた彼が僕に言った。
「大野、その辺でいいよ。置いておいて」
それが、彼の最後の言葉だった。
再び彼に会ったのは、高校1年の夏のことだ。
僕の家の近くの十字路に、中学時代の何人かがバイクで集まっていた。どうやらこれから走りに行く予定らしく、彼が来るのを待っているようだった。
胸騒ぎを感じながらその場に立ち尽くしていると、一台のバイクが坂を下ってきた。それを見た瞬間、僕は彼に会うのが怖くなった。どんな顔をして会えばいいのか、わからなかったのだ。
その場を離れようとしたが、やってきた彼と、つい目が合ってしまった。彼が話しているあいだ、僕はまっすぐ彼を見ることができず、視線を地面に落としたままだった。
やがて彼らが出発しようとしはじめたので、僕は足早にその場を離れた。背後でエンジン音がいっせいに高まり、肩越しに振り返ると、400ccのバイクが次々と僕の脇をすり抜けていった。フルフェイスのヘルメット越しに、彼が僕を一瞥し、そのまま走り去っていった。
それから一年近くが過ぎた頃、1988年5月7日――高校二年の春。渋谷公会堂で行われたプリンセス プリンセスのライブに行ったとき、偶然、彼の近況を耳にした。
高校の同級生が中学時代の友人を連れてきており、その友人は彼と同じ高校に通っていた。その友人の話では、彼は高校一年のとき、その高校の先輩たちと派手な喧嘩をしたらしい。
僕はそれを聞きながら、中学一年のとき、一年F組の廊下で起きた喧嘩を思い出していた。




