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こうして僕は白石のことが好きになった。というより、自分の奥深くを射抜かれたような感覚だった。まったく話したこともない彼女に、卒業式の日、僕は告白した。どうしてもその一言を言わずにはいられなくて、たった一度きりの機会にすがるような気持ちだった。
結果は、見事に玉砕だった。白石は、僕のことなんてまったく知らなかった。そんなことは、もちろんわかっていたつもりだった。
それでも、そのとき彼女が小さな声で「あーあ、あの……」と言ったから、僕は思わず顔を上げた。どうやら白石は、僕の母――今日も壇上に立っていたPTA会長のことを知っていたらしかった。それがわかった途端、全身が熱くなり、恥ずかしさでその場から動けなくなりそうだった。
結局、彼女の最後の言葉は、想像していたよりもずっと優しかった。僕の告白に、ほんの少しでも感謝してくれたのだろうか。それとも、ただの礼儀としての「でも、ありがとう」だったのか。どちらにしても、僕にはもう、言葉を返す余裕は残っていなかった。
さて、あの二人と僕の話がどうなったかというと――卒業式の何日か前のことだ。彼はドラムを担当し、仲間と組んだ即席のバンドで、学校の体育館をステージ代わりにライブをやった。他の生徒たちは観客にされた。
曲が始まると同時に、ステージ上のバンドの仲間の一人が「立て、立って!」と言ってきた。立ちたくなんてなかったけど、自分の気持ちを押し殺して立った。座ったままでいたら、「みんなが応援しているときに応援できない子がかわいそう」なんて、どこかの誰かに言われそうだったからだ。本当に、たまったもんじゃない。
ともかく、その時間はすべてがぼやけていて、まるで夢の中にいるみたいだった――嫌な夢の中にさ。
そして、ふとした拍子に、一瞬だけ正気が戻った。
その瞬間、自分で自分を裏切っているという実感が、鋭く喉元を刺した。当惑と、行き場のない怒りが、うなじのあたりを這い上がってくるのを感じた。別に、どうでもいいと思っていたはずなんだ。でも、そのときの僕は、たしかにそう感じていた。
僕はそっと風吹先生の方を見た。そしてすぐに顔を戻し、照明に照らされた彼だけを見つめ続けた。




