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中学三年の運動会が終わって、一週間ほど経った頃のことだ。国語の授業の冒頭、風吹先生は唐突にこう切り出した。
「みんなが応援している時に、応援できない子がかわいそうだって」
それは、あるクラスの女子生徒が運動会の感想文に書いた言葉なのだという。
起立、礼、着席を済ませた後、先生が突然その言葉を口にすると、教室は一瞬、静まり返った。先生はもう一度、同じ言葉を繰り返した。
「みんなが応援している時に、応援できない子がかわいそうだって」
僕の中に、強い反発が湧き上がった。失望と苛立ちが入り混じり、その感想を書いた女子生徒に対して、怒りさえこみ上げてきた。
「かわいそう」なんて、そんなことを言わせないぞ。よく知らない人のことを、どうして「かわいそう」なんて言えるんだ。誰だって、表には出さなくても、心の中では炎が燃えているんだ。それも知らずに、どうして簡単に「かわいそう」なんて言えるんだろうか――。
そう言い返してやりたいと思ったが、結局、その言葉を口にすることはなかった。ただ黙って、胸の内に押し込めた。




