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同じクラス――二年F組のヒロサキ(坂の下の小学校出身)と映画を見に行ったときのことだ。山手線を降り、新宿駅の混雑したホームから階段を下りていくと、すれ違うようにして風吹先生と出くわした。僕は一瞬、頭の中が真っ白になった。
ヒロサキも驚いてはいたが、すぐに「こんにちは」と声を返していた。僕はといえば、ただその隣でぼうぜんと立ち尽くすことしかできない。先生は「大野、そんなに驚いた顔しないで」と笑いながら、そのまま人の波の中に消えていった。
遠ざかる先生の後ろ姿を見送りながら、どこか見知らぬ世界に迷い込んでしまったような心地がした。ほんの数秒の出来事なのに、いま起きていることをうまく飲み込めない。ここは新宿駅の通路で、僕たちは映画を見に行く途中だ。いつも学校にいる先生が外の街で目の前に現れる――当時の僕にとって、それはふいにテレビの画面から抜け出してきたかのような、不思議でどこか現実味のない体験だった。




