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そんなふうにして、僕は中学二年になってしまい、またもやF組になってしまった。
と、ここでようやく記憶の中に谷口が現れる。
こいつは確かA組で、休み時間にわざわざこちらまでやって来て、F組の僕の机のところで喋っていると、そこにA組の本橋(坂の下の小学校出身)が息を切らせてやってきて、こう言った。
「谷口はもう俺のもんだからな、大野。俺の親友だから、お前には渡さないぞ」
その言葉を聞いて、こんな奴、熨斗つけてくれてやるよ、と思ったが、本橋がそういう気持ちになるのも分かる気がした。
僕は落胆し、少しばかり嫉妬した。
二年の時の僕は、魂が抜けてしまったように、一人で物思いにふけっていた。
あの頃の僕は、まるで死んでいたんだ。
彼はと言えば、C組だった。だから、たまには話すこともあったけど、彼の前に立つと、心の中にひそかな罪悪感が湧き上がり、居心地の悪さを感じた。
僕は何か逃避できるものを求めた。今感じている心の痛みから注意をそらしてくれる何か。
すると、この頃から面白い映画がいくつも公開され、それに伴ってビデオもリリースされ、レンタルビデオ店に並びはじめた。そのころから、僕の人生における唯一の支えは映画を見ることになった。
映画やビデオを見ているときだけは、嫌なことを忘れられたような気がした……。
多くの教師やクラスの生徒たちにとって、僕は特に目立たない存在だっただろう。
幻想の中に逃げ込むようにして、気がつけば、僕の部屋はアメリカの俳優たちの顔で埋め尽くされていた。
僕が好きだったのは、『初体験/リッジモント・ハイ』に出てくるフィービー・ケイツ。
次に好きなのは、『栄光のエンブレム』に出ているシンシア・ギブ。
とにかく、僕の好みにぴったりだった。彼女たちは、ためらっている僕の前に立ち、振り返って手を差し伸べてくれる。そんなイメージだった。
その想像のヴェールを通して、僕は小山暁代を思い続けた。けれど、どれだけ彼女を思っても、陽炎のように、その手を掴むことはできなかった。




