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1年F組に転校生がやってきた。
まつ毛が長くて、ツンツルテンの学ランを着ていて、どこか美青年のようでもあり、ちょっとこっけいでもあった。
青森から来たその青年が話す東北弁は、クラスのみんなにとって珍しく、思わず笑ってしまうほどだった。それだけでクラス全員が彼を気に入った。話すたびに、その面白さがじわじわ伝わってくるからだ。
でも、その青年の登場は、僕にいくぶん味気ない気持ちを抱かせた。そういうことって、誰にでもあるだろう。
確か、一番最初にその青年と遊んだのは、谷口と僕だった。青年の家に遊びに行ったのだが、まだ来て三十分しか経っていないのに、なんとなくつまらないな、という空気が流れていた。三人でいると、どうしても僕が無視されることが多かった。僕が何か言おうとすると、その青年が青森弁で遮った。
「谷口、ほいでさ」とか、「谷口、なして?」とか、「谷口、聞いてけろ」
このバカ、俺が喋ろうとしてるのに……。
次のひと言は、僕をちょっと黙らせた。
谷口は青年を見て、「ねえ、チケットがあるからサッカー見に行こよ」と言い、それから僕を見て、「でも、二枚しかないんだよ」と言った。
「おぉ、ありがどう」
青年の声に息を呑みつつ、僕は「二人で行ってくれば」と答えた。けど、心の中では、あーあ、こいつが転校して来なければな、と思っていた。
谷口と青森から来た青年は、まるで磁石が引き合うみたいに仲良くなった。
翌朝、目を覚ましたときも、僕の気持ちは落ち込んだままだった。
学校で一番楽しかった時間が失われつつあった。青森から来た青年の存在が、僕を惨めな気持ちにさせていた。




