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その日を境に、夢の中や、ひとりで膨らませる妄想の中でしか、小山暁代と目を合わせることはなくなった。現実で彼女と視線が交わりそうになると、僕は無意識に顔をそむけた。そして、彼女に近づかないように気をつけた。


それからも、僕と彼の関係は変わらず続いていた。だから、学校から家に帰ると、彼と谷口と待ち合わせていたゲームセンターに向かった。階段を上がって中に入ると、彼がゲームをしていた。


僕が向かいの席に座ると、


「よう」


彼はゲームに目を落としたまま言った。


いつもなら、ここで「大野、キララ買ってきて」となるはずなのに、彼はもうキララを飲まなくなっていた。


「谷口は?」


そう思って身体をひねり、後ろを見回すと、トイレのある奥のゲーム機の前に、谷口が座っているのが見えた。なんだか様子がおかしい。僕はそちらへ近づき、声をかけた。


谷口は顔を上げると、


「大野、助けてよ」


とぼやいた。


「何やってんの?」


谷口は肩を落として苦笑いを浮かべた。そして、「これ」と言って問題集を僕に見せると、すぐにまた問題集に目を戻した。コイツは頭がいいから、彼の通っている塾の宿題をやらされていたのだ。


内心、いい気味だ、と僕は思った。お似合いだから、ずっとやってなさい、なんてね。ごめんごめん、冗談冗談。もちろん、本気なわけないじゃん。


僕が反対側の端に移動してゲームをしていると、谷口がため息混じりにこっちへやってきた。


「いいよな、大野はバカでさ」


そう言うと、谷口は彼の機嫌を損ねないように気を遣ったのか、再び元の席に戻り、宿題に集中した。


見ているこっちまで落ち着かなくなった僕は、谷口のところへ行って言った。


「そんなの、早く終わらせちゃえよ。お前ならすぐにできんだろ」


ってね。


でもさ、思うんだけど、稲田先生とのプライベートレッスンなら理解できるけど、ゲーセンで勉強させられてるって、どういうことよ? バカもバカ、大バカとしか言いようがないだろ? 僕には、まるで理解できなかったね。


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