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祭りの日の夜、みんなでタバコを吸っていたことが先生たちにバレたらしいと、彼が休み時間に話しかけてきた。
僕も一口だけ吸ったけれど、学年でビリを争う落ちこぼれだったから、要領が悪かったんだろうな。澤木と一緒にパロスペシャルをかけ合いながらはしゃいでいたのを覚えている。
「なんか写真を撮られてたんだって」と彼が僕に言った。
たしかに、近くで写真をパチパチ撮っていた大人がいたのを覚えている。
結論から言うと、A組の彼の友人――坂の上の小学校出身で、あの度胸試しを成功させたもう一人の三浦君――が、「タバコを吸っていたのは自分だけだ」と言いに行き、罪をかぶってくれた。
ちなみに、罰はなかった。
残りの10人ほどのタバコを吸っていた連中は音楽室に集められ、町村先生や風吹先生を含む4、5人の先生たちから注意を受けた。先生たちも、僕たちがタバコを吸っていたことに気づいていたのかもしれないけど、その後はたわいもない話をして、結局、無罪放免になった。
そのとき、おもむろに町村先生が僕のすぐそばまで近づいてきて、まるで僕が優等生の良い子ちゃんであるかのように、優しい声で言った。
「どうして、大野ちゃんがこのメンツに入っているの〜?」
その場にいたみんなが笑い出し、僕の隣に立っていた彼も、笑顔を浮かべながら僕を見つめていた。
谷口は学年トップクラスの成績だっただけに、要領がよかったのだろう。祭りの夜、澤木の姿を見つけるやいなや後ずさりし、「大野、俺ちょっとキララ買ってくる」と言い残したまま戻ってこなかった。危険を察知するや、まさに煙のように姿を消してしまったのだ。
そういえば以前、谷口から「澤木に遊ぼうって言われたんだけど、どんな奴?」と聞かれたことがあった。そこで僕はふざけて、ドラマの『積木くずし』になぞらえて話してやったのだ。谷口は「それヤバいじゃん」と目を丸くしていた。祭りの夜の鮮やかな逃走劇は、そんな伏線があってのことだったのだ。




