7.
あの激動とも言える誕生日から、すでに2週間が過ぎた。
神罰が云々と言う話で殿下は、ましろちゃんに
「知らないよ。」っとそっぽをむかれ、神罰が降る日が来ない様に国の膿を早急に出し切る必要があると慌てて色んな手筈を整えて屋敷を後にした。
私と父への謝罪をしこたまして。
慌ただしく帰路の準備と、ほとんどの人間が夫人達のイジメに加担していた伯爵家への人員の手配などを進めていた最中、屋敷の使われていない(と私は思ってた)部屋から悲鳴が聞こえたので騎士が確認に行けば、美容に余念のなかった夫人とお嬢様の顔が爛れていた。
殿下と一緒に数日滞在されていた王宮治癒師の診察で、治癒魔法が全く効かないと言われ泣いていたそう。
神罰の1つかもしれないので王都に着いたらこの国の中央神殿で見せるそうだ。その時にスキルなどがどうなっているか一緒に確認するので、それまで魔力封じの手枷をはめられるんだと。いい気味だ。
けどえらく静かだと思っていればそんな所に閉じ込められて居たんですね。
準備の中には2人と夫人の共犯だった家令の護送に使う馬車の到着を待っていたのもあったようで、あの日に帰れなかったのはそのせいもある。
翌日に目を覚ました父には、滞在中の殿下がその場で説明と謝罪を行っていた。
父は静かに聞き、目を伏せる目礼で応えるだけだった。
筋力という筋力全て落ちてて声も出せないから、目礼になったのは仕方ないんだけど。
聞いたすぐはやっぱり目に寂しさと憤りが浮かんでるように見えたけど、2週間経った今は少し落ち着いている。
殿下は彼らの処分内容の報告と賠償についての相談の為にそのうちまた来るらしい。
手紙で良いんだけどなぁ、、、。
坊ちゃまも目を覚ました父に謝罪をしている。
その後は父が業務をこなせるようになるまで、代わりを務めるのだと学園に休学届を出して執務室に篭っている。
父が毒に倒れ、坊ちゃまも居ない領地の内政はぐちゃぐちゃにだったようで朝早くから遅くまで灯りがついている。
護送馬車と一緒に遅れてやって来た王宮文官の人数人と一緒に目の下にクマを作りながら仕事をされている。
父の部屋には翌日以降は訪れていないようなのは、母親のしでかした事に後ろめたさがあるのだろう。
ちなみに坊ちゃまは今回の件には全く加担もしていなければ、私に手を上げた事もない。
むしろ学園に入る前には、表立ってではなくとも何かと理由をつけて食べ物をくれたりしていたので良い人である。
多くの勉強に役立つ本をくれていたのも坊ちゃまだった。
「一度彼を捨てた私にも気配りをしてくれる、優しい子だよ。」
とは父の言葉だ。
やっと聴き取れるようになった息遣いの様な声で教えてくれた。
ちゃんとわかってるよ。
私の部屋は今一時的に離れではなくなっている。
今までの生活環境を確かめなくてはと、殿下と坊ちゃまが見に来て、ゴミ同然の荷物と殆ど開かない窓や打ち付けられた窓、壊れたママの裏戸口、明らかに監禁目的の外からしか掛けられない鍵、そしてその時すでに置かれていたパンとスープまでバッチリ見られて頭を抱えられた。
坊ちゃまにはさらなる謝罪までされて。
いつもあんな明るい時間には置かれてたのだろうか。
とりあえず屋敷の客室に移して早急に部屋を整えると提案されたけど、母と過ごした場所でもある。
楽しい思い出がある場所ではないけど屋敷の方が怖いと断れば、修繕する間だけでもと頼みこまれた。
父の側ならまだ安心出来るのでは?と殿下が言い出し、今は父の部屋に居候中である。
夜は父と同じベッドにましろちゃんと上がり込んで寝てる。
日中トンカントンカンと聞こえる音をBGMにこの部屋からほとんど出る事なく内装の相談を父としながら過ごしてる。
完成したら父も離れに一緒に移るそうだ。
坊ちゃまに伯爵家の家督を譲って。
本人に伝えてないけど良いのだろうか?
そうそう。翌日も普通に仕事をしていたら飛び出して来た坊ちゃまに止めてくれと懇願され、殿下からも本来君のする事じゃないと言われて取り上げられた。
仕事がないって暇だね。
今まで出来なかったキャンピングカーの確認をすれば良いのでは?とも思ったが、よく知らない人はまだしも今まで自分に仕事を押し付けて来た人に見られるのもなんか癪に触る。
どうせなら父と一緒に見ようともう少し父が動ける様になってから確かめる事にした。
なので日がな1日本を読み、わからない事は父に聞き、普通に出てくる様になった食事を2人と1匹で囲みとのんべんだらりと過ごしている。
父は回復途中の病人食を、私はそれまでの食生活の影響か食べれる量が少ないので大半を残す事になり、ほとんどはましろちゃんのお腹の中に収まってるけど。
丁度読み終えた本を閉じ、この2週間をぼーっと思い出していれば部屋にノックの音が響いた。
誰だろうか?と起きてクッションを背もたれに同じ様に読書していた父と目を合わせて、父の代わりに返事をする。
ゆっくりと開いた扉から入って来たのは、グレーヘアの髪をしっかりとセットした老紳士だった。




