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1.

長くなりましたがお付き合い頂ければ。

誤字脱字のご報告などありましたら言ってもらえると助かります。


少しでも続きが気になる、面白いと思ってくださった方はブックマークと評価をお願いします!





「、、、、ッ。」

痛む身体を無理矢理動かし、なんとか日付を超える前に仕事を終わらせた。

他のメイドから押し付けられた仕事もあったけど

ここは父の生家の伯爵家の離れである。

離れと言っても倉庫扱いではあるが。

雑多に物が置かれ、いつのまにか増える。

最近では私が寝泊まりしている部屋も荷物だらけだ。

良いところを挙げるとすれば本が大半な事だろうか。


産まれた場所はどこか別の国(予想では隣の帝国)の街だった。

優しく手先の器用な魔道具職人の父と、朗らかなで魔法薬師の母と私の3人小さな家に住み、時々外食をしたり、両親の仕事場にくる人に遊んでもらいながら暮らしていた。

だけど3歳をすぎたある日、突然現れた騎士たちに強制的に馬車に乗せられ、この屋敷へとやって来た。

道中不安がる私を母と父は抱きしめてくれた。

騎士たちご休息をとっている時話ていた内容から、父が伯爵位を放り出し男爵令嬢だった母と駆け落ちした事と領地の屋敷に侯爵家出身の妻と2人の子供がいる事を理解した。


ギィっと音を立ててドアが閉まるとすぐに外から鎖の音と金属の音がした。

勝手に出ないように南京錠をかけられたのだ。

大人が出られそうな場所は全て板が打ち付けられていて、この離れは昼間だろうと薄暗い。

「、、、ふぅ。」

息を吐き奥へと進む。まずは布を濡らして血を落とさなきゃ。

とゆっくりと歩き出した私めがけて真っ暗な中ふわふわの白い塊が飛び混んできた。

いつもの事なので受け止めようとすれば、急に動いたことで傷がひどく痛み思わず小さく声が漏れる。

「いっっ、、、。」

なんとか受け止めた白い塊をさっと抱きしめながら、小さな温かさを感じて我慢していた痛みと恐怖に涙が溢れた。

『今日もやられたの!?いつも言ってるけど、僕があいつらの事やっつけるから言ってよ!もしくはさっさと逃げよう!!』

腕の中でぷりぷりと可愛く怒ってくれる白い塊は相棒のましろちゃんだ。

5歳くらいの時、この離れのバルコニーで大人では通れないが子どもなら通れる幅しか開かない窓の先に傷ついて弱っているのを偶然見つけた。

どうしてそこに居たのかはましろちゃん自身も覚えていないそうだが、時折夜の短い時間に会いに来ていた父がスキルで隠し持ち渡してくれていた傷に効く薬草を使って手当てをした。

傷が治っても出ていく様子もなく、母は日中夫人の側で仕事を(今の私と同じ扱いだったのだろう)していて日中1人寂しく思っていたので

「ママ!この子飼ってもいい?ご飯なら私のをあげるしちゃんと面倒を見るから!」

と母を説得し、屋敷の人間バレないように一緒に暮らし始めた。

バレれば何をされるかわかったものじゃなかったのは、子供心に気付いていたし。


余談だが私には前世と言えるのか、産まれた時から全く別の日本人としてそれなりの年月を暮らした記憶がある。

その為周りの同年代よりは自分の事の大半は自分で出来る

子どもだったと思っている。

だが記憶はあっても心は身体に引っ張られるのか、はたまた元々の性格か多少甘えん坊でひっつき虫だった感は否めない。

まぁ、変に浮くような子供では無かったと思う。

だからメイドの仕事をするよう言われた時も覚えるのは早かった。

真冬の水の冷たさに慣れるのにはかなり苦労したけど。


相棒のましろちゃんはただの子犬ではない。

10年ほど一緒にいるのに全く大きさも態度も、そして私と両親以外への反応も変わらない。

亡くなった母にもそして時々、それも短い時間窓の隙間越しにしか会えない父にも懐いてた。

なんだか体調が悪そうだと思えば勝手に治癒をかける程度には。

話が逸れたが、彼は犬ではなくフェンリルだった。

私がオスだと気づいたのが名前をつけた後だったから、だいぶ女の子っぽい名前になってしまったが。

8歳の時、精神的な疲労からか元々丈夫な方では無かった母が半年ほどの闘病の末亡くなった。

いや、4年以上もよく持ったと言うべきか。

母の葬儀は父と私、見張りための騎士、神官様だけの本当にささやかな式だった。

父は教会に来たついでとばかりに見張りの騎士(少しだけ同情的)に建物の外で待っててもらい、私に魔法力鑑定を受けさせた。

あの時鑑定していなければ今も自分の属性やスキルを知らずに、この生活絶望していたかもしれない。

何故なら10歳の時、王妃(つい最近国王と共に病気の為代替りした)が伯爵夫人の叔母にあたる人物で息子達よりも可愛がっていたらしく、自慢と共に鑑定を受けさせてなくとも罰せられないと直接言われたから間違いない。


当時の私の鑑定結果の内容はこうだ。

――――――――――――――

ユリア(リリー・ボイニッシュ)8歳

《ステータス》

魔力―3000

属性―雷・水・風・火(Lv.1)

スキル―鑑定(Lv.1)

特殊スキル―キャンピングカー(Lv.1)

――――――――――――――

神官様が持って来た石板に手をかざすと結果が浮かび、鑑定し終わると自分だけが見れるステータス画面を呼び出せる。

鑑定はこの世界共通の神殿が通達した神の定めた義務であり、8歳から10歳の間に受けなければならず、受けさせなかった場合親などの保護者は罰せられる。

適齢期に病気などの理由がしっかりとある場合は事前に申請すれば多少期間を伸ばせる。

神殿は各国の王家などよりも上であり、歴史上神罰が降り滅亡した国もあるらしいので、夫人が言っていた罰せられないはありえない事である。

色々な世界史の本に書かれているのに夫人が何故それを知らないのかは疑問だけど。

ちなみに神殿で不正は起きない。

不正をすると即神罰が降るからだ。

神罰の種類は多岐に渡り、スキルや魔力が取り上げられたり国そのものが天変地異で無くなったり。

スラムの子供は?と思うかもしれないが、この世界スラムがない。

貧富の差はあれど、孤児は必ず神殿預かりとなりある程度教育され神殿に残るか社会に戻されるからだ。

犯罪奴隷や借金奴隷はいるが、衣食住の保証はしなければならない。

、、、神殿の力が強い世界で私の場合はどうなのだろう。



今のところ鑑定を受けた事は神殿と父、ましろちゃん以外には知られていない。

とにかくこの結果移動は馬か馬車、徒歩のこの世界でキャンピングカーという移動も寝泊まりも出来るスキルを持ってる事がわかったので少しだけ希望を持てたのだ。

帰宅後初めて鑑定したのが犬種が気になったましろちゃんで子犬だと思ってたのがフェンリルであり、歳も102歳、全属性の光・闇・雷・水・火・風・土(Lv.53)とびっくりのオンパレードだった。

いざとなればましろちゃん(その辺の魔物なんて敵じゃない)と逃げる気ではあっても、大好きな父と会えないままと言うのは嫌なのと、出来れば父も連れて行きたい一心で理不尽に耐えている。


「ありがとう。でももう少しだけ、、、パパに会ってからじゃなきゃ逃げれないよ。」

怒りながらも治癒魔法をかけてくれた事と、私以上に怒ってくれている事にお礼を言いつつ魅力的な提案は力なさげにだが否定する。

『そう言うと思ったよ。まったくダニエルの魔力はあの屋敷から感じるから居るはずなのに、何してるんだか!神罰が降っても知らないからね!!』

と父にと怒りの矛先を向けるましろちゃんと奥のベッドへと向かう。

案の定今日はご飯がなかった。

神罰の基準ってどうなってるんだろう?

「明日も仕事はあるし、ましろちゃんのおかげで怪我もよくなったから早く寝なくちゃ!」

2年ほど前から会いに来てくれなくなった父。

それまでも間隔が空き始めていたが、最後に見た父は暗がりでも分かるほど青白い顔色だった事に不安を抱えつつ奥へと足を進めた。





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