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妹だけど兄と結婚したい! Lite  作者: すけたろー
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第2話 妹とTシャツ

両親が海外へ旅立ってから二日目。



俺は昨日の一件からというもの、結衣との距離感に注意していた。



可愛い妹だ。世界で一番愛していると断言できる。



ん?そんな妹に好きな人ができたら俺はどうなるかだって?



うごごごごごごごごごご



......考えたくないな。



結衣は俺の嫁になるべきだ。



とまぁ、そんなしょうもないことを考えるようなどうしようもないシスコンなのだが、もちろん俺にも「限度」というものがあるし分かっている。



だから一線を越えないように、理性の檻を幾重にも強化しないと行けないのだ。



「もうこんな時間か」



休日の昼前、俺は自室から出て、顔を洗うために洗面所へと向かった。



洗面所の奥に脱衣所と洗濯機の置き場があるのだが、そこから微かに物音が聞こえてくる。



「んしょ、んしょ......」



結衣が洗濯籠の前で、洗濯物の仕分けをしているようだった。



手伝おうと声をかけようとした、その時、俺は危険を察知し足を止めた。



「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ......はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ......♡」



(............は?)



俺の視界に入ってきたのは、信じられない光景だった。



結衣が、俺が昨日来ていたTシャツをなおに押し当て、深呼吸をするように匂いを嗅いでいたのだ。



しかも、ただ嗅いでいるだけではない。頬ずりをして、うっとりとした表情を浮かべている



そして結衣が被っているものは何だ。



......俺のパンツじゃねぇか!!!!!!



ちょっと......理解ができない。



普通逆だろ。



「ンフー......お兄ちゃんの匂い......♡落ち着く......ずっと嗅いでられる......♡」



あいつは本当に何をやってるし言ってるんだ。



あれは俗に言う、匂いフェチというやつなのだろうか。



いや、それ以前に実の兄の脱ぎたての服を嗅ぐような妹がこの世に存在するのだろうか。



いや、存在してるな。今、目の前に居るし。



「ゆ、結衣ー......?」



「ひゃん!?」



俺の声に気づいた結衣は、ビクッと肩を震わせ、持っていたTシャツを慌てて隠した。いや、被ってるパンツは......



「お、お兄ちゃん!?おはよ!早起きだね!」



もう昼なんだが。



「お前、今、俺の服で何してたんだ?」



「な、なにもしてないよ!洗濯機に入れる前に、その、汚れがないかをチェックしてただけ!」



「鼻でか?」



「ほら、汗の匂いとか!洗剤多めに入れたほうがいいかなーって!」



「......じゃあ、その頭に被っているものは何だ?」



「えっ頭?」



おーおー、真っ赤になった......かわいい。



「いや、これは違うんだよ!!!いや、本当に!!!」



「はぁ。」



「お兄ちゃんの匂いを嗅いでたらどうしても我慢ができなくなって被らざるを得なくなったというか何というか!!!」



末期じゃねえか。



真っ赤な顔をして両手で顔を覆う結衣。だが、その頭にはしっかりと俺のパンツが鎮座している。



シュールだ。シュールすぎる。



絶世の美少女が兄のパンツを被って言い訳をしているこの状況、もし他人に録画でもされて流出したら、俺たち兄妹の社会的な死は免れない。



もうすでに死にかけか......



「......もういい。とりあえずそれを頭から下ろしてくれ。そしてさっさと洗濯機をだな......」



「う、うん......」



「俺はリビングに居るからな。」



「......あ、それと」



「?」



「......もし次やるなら、せめて俺が見ていないところでやれ」



「っ!?」



俺は逃げるようにその場を後にした。



背後で結衣が「それって公認ってこと!?やったぁ!」とかなんとか叫んでいた気がするが、俺の耳は都合よく機能不全に陥っていた。





──数十分後





「落ち着け......」



ソファーに深く腰掛け、マグカップに淹れたコーヒーをすする。



だが、いくら水分を取ろうが、俺の動悸は一向に収まる気配がない。



(あいつ......いや、見なかったことにしよう。気のせいだ。幻覚だ。ついに俺の脳がシスコンを拗らせすぎて幻覚を生み出したんだ。絶対そうだ。)



そう自分に言い聞かせ、必死に理性のタガがはずれないようにする。



両親が不在となって二日目、まだたったの二日目だというのに、すでに俺の精神力は削られまくっている。



このまま一ヶ月も持つのか?いや、持たせないといけない。俺は兄なのだから。



ガチャ



リビングのドアが開く音がした。



「お兄ちゃん、おまたせー。コーヒーのおかわり要る?」



「お、おう、サンキュ......ぐっ!?」



俺は危うく、口に含んでいたコーヒーを盛大に吹き出しそうになった。



かろうじて飲み込んだものの、期間に入ってしまい激しくむせ返る。



「げほっ、ごほっ......っ!お、お前......その格好......!」



「え?ああこれ?ごめんね、勝手に借りちゃった。私の部屋着、今さっき全部洗濯機にかけちゃって、着るものがなくなっちゃったから」



結衣は悪びれる様子もなく、小首を傾げた



彼女が来ているのは、ダボダボの大きな俺のTシャツ(洗濯済み)だった。



俺のサイズだから結衣にとってはワンピースのように大きく、襟元から華奢な方が半分ずり落ち、真っ白な鎖骨が顕になっている。



さらに問題なのは、下半身だ。



Tシャツの裾から伸びる、スラリとした白い足。



ショートパンツでも履いているのだろうが、Tシャツの丈が長すぎて完全に隠れてしまっており、まるで『下に何も穿いていない』、要はノーパンのようにしか見えないのだ。



「なんで俺の服を着てるんだよ!お前の服、押し入れとか開けたら他にいくらでもあるだろ!」



「だってー、お兄ちゃんの服、大きくて楽ちんだし。それに......」



「......それに?」



なぜだろう、心配になってきた。



「さっきお兄ちゃんの匂い会出たら、もっとお兄ちゃんに包まれたくなっちゃったんだもん......」



「直球すぎるだろ!!!」



この妹、どこまでブラコンをこじらせているんだろうか......



結衣はふんわりと微笑むと、トコトコと歩いてきて、俺が座っているソファーの隣にストンと腰を下ろした。



ソファーが少し沈み、結衣の太ももが俺の足に触れる。



「っ......ち、近いぞ」



「そう?普通だよ?」



結衣が身動ぎするたびに、大きなTシャツの襟元から、ほんのりと甘い石鹸の香りと、結衣自身の体臭が混ざりあった、頭がくらくらするような匂いが漂ってくる。



あぁ、なんで女の子ってこんなにいい匂いがするんだろう。



(いかん、いかんいかんいかん!これは俗に言う彼シャツというやつじゃないか!かっわいい!)



情緒が不安定になって来てしまって少しまずいかもしれない。



落ち着かなければ。



「ねぇ、お兄ちゃん」



「な、なんだよ」



「私、この服、すごく落ち着く。お兄ちゃんに、優しく抱きしめられているみたいで......」



「っ......!」



結衣の言葉に、俺の理性のタガがミシミシと音を立ててひび割れるのを感じた。



隣を見下ろせば、大きなTシャツにすっぽりと包まれた小さな身体が、俺の腕にすりすりと頬をこすりつけている。



こんなにも無防備で小さく、守ってやりたい存在。



俺が守らなければ、すぐにでも壊れてしまいそうな華奢な身体。



強烈な庇護欲が湧き上がる。



だが、それと同時に。



俺の服を着て、俺の匂いに染まっている結衣を見て、得体のしれないくらい感情が胸の奥で渦を巻くのを感じた。



(こいつは、俺の服を着ている。俺の色に染まっている。他の誰でもない、俺だけのものだ......)



決して抱いてはいけないはずの、ドロドロとした独占欲。



兄としての純粋な庇護欲と、男としての醜い独占欲。



二つの相反する感情が俺の中でくちゃぐちゃに混ざり合い、思考を鈍くさせていく。



「お兄ちゃん......?どうしたの、黙り込んじゃって」



「......いや」



「顔、破壊よ?もしかして......私にドキドキしちゃった......?」



上目遣いで俺を見つめる結衣の瞳は、微かに熱を帯びて潤んでいた。



その視線は、兄を見つめる妹のものではなく、明らかに「オス」を捕食しようとする「メス」のものだった。



(駄目だ......このままじゃ、俺が俺でなくなってしまう)



ぐいっ



俺はソファーから立ち上がり、くっついていた結衣をやや乱暴に引き剥がした。



「えっ」



「すまんな。ちょっと......頭を冷やしてくる......」



俺は足早に自分の部屋と向かう。



背後から、少しだけ不安そうな結衣の声が引き止めるように響いた。



「もしかして私のこと......嫌いになっちゃった?くっつきすぎた......?」



「......心配すんな。そんなこと、絶対に有り得ないから。」



俺は振り返らずに答え、リビングのドアを逃げるように閉めた。



バタン。



ドアを背にして床にへたり込み、荒くなった呼吸を整える。



(そう、ありえない。結衣を嫌いになるなんて、天地がひっくり返ってもありえない)



だからこそ、一旦自分の部屋に避難したのだ。



あのままリビングにいたら、間違いなく理性が消し飛んでいた......





──一方その頃、リビングでは





「......ふふっ」



一人残された結衣は、さっきまでの不安げな表情を嘘のように消し去り、ソファーの上でクスクスと笑い声を漏らしていた。



「お兄ちゃん、顔真っ赤だったなぁ......やっぱり、彼シャツ作戦、効き目抜群みたい」



自分の着ているダボダボのTシャツの襟元をつまみ、もう一度深く匂いを嗅ぐ。



「早く私を『妹』じゃなくて、『女』として見てね......お兄ちゃん♡」

読んでいただきありがとうございます!


この妹、どこまで見据えてるんだろう...ちょっと、末恐ろしさを感じますね()


次回はとある人物が参戦する予定です。

まだ書いていないので、投稿日も何も未定ですが気長に待っていただけたら嬉しいです!

それでは~

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