第1話 妹の手作り朝ごはん
「お兄ちゃん、おにーちゃーーーん」
誰かに揺さぶられている気がする。
(ん......あぁ、もう朝か。)
重い瞼を開けると、視界いっぱいに結衣の顔があった。
「うわっ!?」
目の前に愛しき妹の顔。だが、いくら何でも近すぎる。
「あ、おはようお兄ちゃん!えへへ、やっと起きたー」
俺のベッドの淵に膝をつき、身を乗り出している結衣。
だらしないパジャマの胸元が大きくたわみ、柔らかそうな谷間がはっきりと......いや、見え、見え......!
「お、おま、近い!服が!胸が!」
「んー?だって、今日からお兄ちゃんと二人っきりだもん。お母さんも、お父さんもいないし、少しくらいだらしなくても別にいいじゃん?」
「よくないっ!」
「俺は男で、お前は......っ、しかも兄妹だぞ!とにかく、早く着替えてこい!」
「むー、お兄ちゃんの照れ屋」
悪びれる様子もなく、結衣はころころと笑いながら俺のベッドから離れる。
昨日の夜、咲希に対して見せていたあの凍てつくような冷たい瞳はどこへ行ったのか...
今のこいつは、ただ純粋に兄を慕う、天使のような妹にしか見えない。
ただ、今さっき刺激的なもの(主に無防備すぎるマイシスターの姿)を見てしまったため、健全な男子特有の朝の生理現象がより厄介なことになってしまっている。
......収めてから行かないと。
──
俺が身支度を整え、顔を洗ってリビングに向かうと、すでに結衣がキッチンに立っていた。
可愛い。
とても可愛い。
昨日と同じかわいらしいフリルのエプロン姿。
だが、親の目が完全になくなったからか、とてつもなく意識をしてしまっている。
「あっ、お兄ちゃん!ちょっとお味噌汁の味見してもらってもいい?」
「おう、いいぞ」
俺がキッチンに近づいた瞬間、結衣が横にすり寄ってきて、俺の右腕にぴたりと自分の体を密着させてきた。
「っ!?ゆ、結衣っ、あたっ、当たってるから!」
「えー?スプーンとお玉で両手が塞がってるんだからしょうがないじゃん。ほら、あーんして?」
エプロン越しではあるが、結衣の柔らかい感触が昨日よりもずっと強い圧力で腕に押し付けられている。
上目遣いでほほ笑む結衣の瞳には、俺の動揺を楽しむような悪戯っぽい光が宿っていた。
「わ、分かった。分かったから少し離れてくれないか?」
「むー。そんなに嫌なの?」
「いや......嫌ってわけじゃ......」
あれ、なんかおかしいな......
やけに柔らかい、な。
「おっ、おま、もしかして下着着ていないんじゃ!?!?!?」
「......」
「......」
数秒の沈黙。
結衣は目をぱちくりと瞬かせた後、ふわりと花が咲くようなかわいい笑みを浮かべた。
「えー?何言ってるのお兄ちゃん。ちゃんと着てるよ~?」
「嘘つけ!いっ、今の感触は絶対直だっただろ!布を一、二枚隔てただけの、あの硬い感じじゃない、その、柔らかいというか......っ!」
「もう、失礼だなぁ。お兄ちゃんってば、妹相手に何想像してるの?」
ニヤニヤしながら尋ねてくるなよ......
「俺は事実を述べているだけだ!いいから少し離れ......っ」
「そんなに疑うなら......確かめてみる?」
「はっ?」
ぐいっ、と。
結衣がお玉を置いて塞がっていない俺の左手を取り、自分の胸元へと導こうとする。
「ばっ!!おま、何してっ!!!!」
「ほら、触ってみればわかるよ?ちゃんとブラ、してるかどうか......♡」
「ばかばかばか!触るわけないだろ!離せ!離して......ください!」
「やーだ♡」
「分かった!味見する!味見するから!」
俺は半ばパニックになりながら結衣の手を振りほどき、彼女が持っていたスプーンをひったくり、逃げるように味噌汁を口の中に放り込んだ。
「あっちぃ!!」
「ああっ、もうお兄ちゃん!ちゃんとフーフーしてって言おうとしたのに!ほら、お水!」
「げほっ、ごほっ......さんきゅ......」
コップの水を飲み干し、息をつく。
口の中はやけどしそうになったが、みそ汁の味自体は完璧だった。
出汁がしっかり効いていて、具材のわかめと豆腐のバランスも絶妙だ。
「美味いよ」
「えへへ、ほんと?よかったぁ」
「お前、本当に料理うまくなったな。母さんの味と遜色ないぞ。」
「お母さん直伝だもん!お兄ちゃんがこれからも毎朝食べても飽きないように、ちゃんと修行したんだから」
『毎朝食べても飽きないように』
その言葉の響きが、まるで新妻のセリフのように聞こえてしまい、俺は照れを隠すように視線をそらした。
(いかん、どうにも意識しすぎている。親がいないせいで俺の妹LOVEリミッターが外れかけているのか......?)
「はい、お兄ちゃん。あーん♡」
「だから自分で食えるって!」
「むー。昨日も言ってたくせに、結局あーんしてくれたじゃない。」
「昨日は昨日!今日は今日!ほら、冷める前に座って食うぞ」
俺は半ば強引に結衣を向かいの席に座らせ、朝食を食べ始めた。
結衣は不満そうに頬を膨らませていたが、俺が「卵焼きもうまい」と褒めると、すぐに嬉しそうな笑顔に戻った。
とてつもなく可愛い。抱きしめたいが、それはいけない。
「ふふっ、いっぱい食べてね。これからお母さんとお父さんが帰ってくるまで、私が毎日、お兄ちゃんの胃袋を支えてあげるから!」
「おう、頼りにしてる。......けど、家事を全部お前に任せるのも悪いし、俺も手伝うからな。」
「えー私が全部やるのにー」
「俺はお前のお兄ちゃんだ。お前ばかりに負担をかけるのも、な?」
「ありがとうお兄ちゃん!じゃあ、一緒にやろっか!新婚さんみたいだね♡ラブラブだ♡」
「だからそういう冗談はやめろっての......」
顔を赤くしてツッコミを入れる俺を見て、結衣は「冗談じゃないもん......」と小さく呟いた気がしたが、テレビの音にかき消されてよく聞こえなかった。
いやぁ、書くのって楽しいけど疲れますねぇ(唐突)
そういえば、「V、Vしてるから」といったような2回動詞を言わせる表現が自分でも多いと感じてしまうのですが、実際どうなんでしょうか...それに書いてて和樹と結衣の言葉遣いがゴチャゴチャになってる気がしないでもない...
まぁ、自分の書きたいように書くのが一番だと思ってるので、なんかえげつないほど変にならない限り続けようと。
あと、1話で1日進行していく感じにしようと思っています。
それはそうと、第1話も最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
ストックがないので第2話を投稿するのは少しかかってしまうと思いますが、また読んでいただけたら嬉しいです!
それでは、また~




