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生徒会見学

生徒会選挙の時期が始まって数日。俺たちは教室の中で夢春たちと生徒会のプリントを見ていた。

プリントには生徒会選挙立候補者の名前が載っている。

現状生徒会選挙の立候補者は十名ほどその中には当然ながら夢春の名前があり、またセツナの名前も書かれていた。


「でも未だに信じられないよ。この冬咲だっけ? この人が学園を滅ぼすなんてさ」


「自分でも突拍子のない事を言っているのは分かってる。でもセツナなら多分学園を滅ぼせるんじゃないかって思ってる」


その方法は分からない。でもセツナが学園を滅ぼすと言った以上どんな手段かは分からないが学園を滅ぼすことが出来るのだろう。

勿論その滅ぼすと言うのは何も学校を粉々にするとかそういったものではない。

もっと陰湿なもので彼女のいう学園を滅ぼすと言うのは学園の生徒達を沢山不幸にすることを言っているのだ。


「一応冬咲セツナはクラスを崩壊させたことがある。アイツはクラスメイトのほぼ全員と恋人になり浮気したり振ったりしてクラスをぐちゃぐちゃにした」


結果的にクラスメイトのほとんどが不登校になり、通っていたのは俺とセツナを含めても数人程度になっていた。

実際にクラスを崩壊させたのならば学園だって滅ぼすぐらい出来ると思えてしまう。


「それは何というか凄い人なんだね……その人は」


「でも同じ方法で学校を滅ぼすのは大変そうですよね。この学校って男子だけでも数百人はいるわけで全員と付き合ったり別れたり浮気したりは物理的に難しいと思います」


冬咲セツナがいくら可愛いといっても限界がある。

またクラスを崩壊させたのだって長い間、クラスメイトとしてセツナが色んな人と会話して友達になったからこそ出来たことなのだろう。

逆にいえばそこまで努力しなければセツナでもクラスを滅ぼすことは出来なかったといえる。


「それにセツナが生徒会長になりたがっている。ということは学園を滅ぼすには彼女が生徒会長になる必要があるってことなんだろうな」


「生徒会長って何か権限あるっけ?」


「学校の学費とか自由に使えるのではないでひょうか?」


「んなわけねーだろ。実際のところ生徒会で出来ることといえば部活に使える予算について話し合ったり学園祭とかの行事ごとを管理したりとかだろうな」


「なら勝手に部活を潰したりとかそういうのは出来るんじゃないの? それでみんなを不幸にするとか」


如月の言葉に俺は静かに首を振った。


「それも無理だな。そもそも部活を廃部にするには部員数や活動内容とか正当な理由がないとダメだろうしそれを先生たちに提出してそこでようやく廃部にするか相談するはずだ」


その理論でいけば分かりやすい悪意のある提案なんかはいくら生徒会長がやりたいと言っても先生が判断してその提案を却下するだろう。

となればきっとセツナが生徒会長になって何かを提案するときはその内容はきっと端から見れば役に立つ提案あるいは良い結果を生み出しそうな提案である必要があった。


「まあ考えても仕方ないかセツナがどんなことをするにしても夢春が生徒会長になれば何とかなるはずだ。それよりも俺たちは生徒会の見学に行かないとな」


俺たちの学園では生徒会長に立候補した人は生徒会室に行って生徒会が普段どんなことをしているのか学ぶことが出来る。

今回は夢春が生徒会について知りたいということで一緒に見学に行くことになったのだ。


「そうですね! すっかり忘れてました見学しましょう!」


流石に生徒会室に四人入るのは向こうも気を遣うだろう。

そう思った俺たちは俺と夢春の二人で生徒会室に向かうのだった。


ーーー


「ここが生徒会室ですか……何というか書類が沢山ありますね」


「そうよ。生徒会の主な仕事はこの書類整理よ。予算案についてだとか学校行事についてとか色々と確認したり意見を出しあったりしているのよ」


生徒会室の中、夢春の質問に元生徒会長が答える。

確かに夢春のいう通り机には沢山の書類が置いてありその書類を生徒会のメンバーは大変そうに見て話し合っている。


「そうなのですね! ちなみに生徒会室にあった謎の箱は何なのですか? 郵便ポストみたいな奴です」


「あれは目安箱よ。あれで生徒たちの不満とかを聞いたりするのよ。もっともそのほとんどが解決できずに終わるんだけどね」


「なんで解決してやらないんだ?」


「忙しいからよ。それに目安箱に書かれてる中にはふざけてるような内容だってあるし匿名で相談できるでしょ? 匿名だから相手の顔もどんな人間なのかも分からない。だからつい後回ししてしまうの……それで後回ししたらどうでも良くなって忘れてしまうのよ」


目安箱は匿名で誰もが自由に学校の悩みを相談することが出来る。

でも匿名ゆえに適当なことを書く人がいたり真面目に書いていても文章では伝わらず後回しにされてそのまま忘れられることも少なくはないみたいだった。


「それじゃあ生徒会見学はそろそろ終わってもいいかしらまだこっちも忙しくて」


「はい! 色々と参考になりました! ありがとうございます!」


夢春はそういうと生徒会室を出る。夢春が満足したのならば俺も何も言うことはないそのまま同じように部屋を出た。


部屋を出て俺は夢春と一緒に歩く。正直最初夢春に生徒会の見学に行こうと誘われた時は少しだけ面倒だと思った。

でも今は見学に行って良かったと思う。だってそのおかげでセツナが学園を滅ぼすその方法が分かったからだ。

俺は夢春と一緒に教室に戻ると彼女たちにセツナの目的を伝えるのだった。

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