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再びみんなで

「如月……俺はやっぱり夢春を手伝おうと思う」


「……どうして? そんなに夢春ちゃんが大事?」


屋上のベンチ。そこでお弁当を食べながら俺は夢春を手伝うことを如月に伝える。

如月は予想通りというべきかあまり良い返事はしなかった。


「勿論それもある。夢春が生徒会長になりたいのなら俺はそんな夢春を手伝ってやりたい。それは本心だ。でもそれ以外に大きな理由が出来た」


「それ以外の理由……?」


「元カノが学園を滅ぼそうとしている」


「……えっと? 何の話? っていうか元カノ? えっ? ええっ?」


俺の言葉に驚く如月。自分としては何も変なことは言っていないのだがそれでも説明を省いたことは自分でも理解しているので俺は彼女に昨日起きた出来事を冬咲セツナのことを話した。


「冬咲ちゃんか……何度か会ったことあるよ」


「そうなのか?」


「夏雪ちゃんとよく一緒にいるからね。たまに夏雪ちゃんと話してるのを見掛けるかな」


「そうか……」


夏雪は確か家庭料理部の部長でもある。それならば夏雪とセツナが仲良しなのは別に不思議なことではなかった。

だが知っているのはそれだけのようで如月は夏雪とは仲が良くてもセツナとは顔見知り程度のようだった。


「如月……俺は夢春を手伝うよ。夢春が生徒会長にならないと学園は滅ぶかもしれない」


「分かったよ。空風くんがそこまで言うなら私は止められない」


「如月……言っておくけど手伝うのは俺だけじゃない」


「……え?」


「如月にも手伝ってほしい。一緒に夢春を生徒会長にするんだ」


「そうだね。私も一緒に手伝うよ。でも私の場合は演劇部と兼任する形になるから……そこだけちょっと寂しいな」


如月は少しだけ不安そうな表情でそう言うのだった。


ーーー


「これは……うーん」


放課後の教室。夢春は複数枚のポスターを見ながら悩んでいるのか唸っていた。

そんな彼女に声をかけるのは少しだけ憚られるが今さら俺たちの関係に遠慮などいらないだろうと声を掛けた。


「夢春……手伝いに来た」


「空風さん……やっぱり来てくれたんですね」


嬉しそうに笑う夢春。その笑顔を見るとやっぱり綺麗だなと思ってしまう。


「私も手伝いに来たよ……迷惑だったかな?」


「全然迷惑じゃないですよ! むしろ助かりました。今、選挙活動に向けてポスターを作ろうと思っていまして……それで前年度の生徒会のポスターを見ているのですが私に出来そうなものが無くて」


「ポスター自体はまだ時間は余裕があるからな……じっくり考えればいいがこのクオリティのポスターは難しそうだよな」


ポスターのほとんどが綺麗なイラストが描かれており美術部や絵を描くのが趣味の友達にでも手伝って貰っているみたいだった。


「このクオリティのポスターとなると美術部に頼むしかないが……美術部だって自分の時間があるだろうしな」


「空風くん……それなら桜野ちゃんはどうかな。桜野ちゃんなら漫画だって描けるしポスターだって描けると思うんだけど……」


「桜野か……でも最近はあんまり会ってないからな忙しいんじゃないかって思ってるんだが」


ポスターを見て俺も桜野なら高いクオリティーのポスターを作れるんじゃないかって思った。

でも最近は桜野と話してはいない。学園祭以降何故かあまり話さなくなってしまったのだ。

だから何となく気まずくなって桜野のことを口に出来なかった。


「多分桜野ちゃんが会いに来ないのは……」


「如月?」


「何でもない。私が呼んでみるよ。多分来てくれると思うから」


如月はそういうとスマホを使って桜野に電話を掛けた。

そしていくつかの会話をしてそっと電話を切る。


「桜野ちゃんも来てくれるって……今は漫研の部室にいるみたいだからすぐに来ると思うよ」


実際に如月の言葉は正しく十分ほどで桜野がやってきた。

でもその桜野の表情は普段のような明るいものではなく少しだけ落ち込んでいるように見えた。


「先輩久しぶり……だね」


「久しぶり……何かあったのか?」


「別に何もないよ」


「……何もないならいいけどさ。……だったら何で最近教室に来なかったんだよ」


「それは……如月と先輩が付き合ってるからだよ。なのに私がいたら気まずいじゃん」


「それはそうかもしんないけどさ」


付き合っているその言葉に反論はしなかった。実際俺は返事をしていない。返事を出来ていない。

でもここで付き合っていないと口にするのは如月の告白を拒絶したことになるような気がして言えなかったのだ。


「それで私を呼び出して何の用?」


「それなのですが桜野さんも生徒会選挙に協力してほしくて」


「生徒会選挙? あーそういやそんなのもあったっけ興味ないから忘れてたよ。協力って何するの? ポスター配りとか?」


「いや配るのも勿論手伝ってほしいがそれよりもポスターの絵を描いてほしいんだよ。今机の上に散らかってるポスターが前年度以前の生徒会選挙のポスターなんだがこれ以上のクオリティのポスターは作れそうか?」


「作れないとは言わないよ。でも作れるかどうかは分からない。みんな美術部とかに協力をお願いしたのかな絵のクオリティはかなり高いし」


「そうか……でも俺は桜野ならこれ以上のポスターを作れると思ってる。俺はお前の絵……結構好きだから」


「先輩……まあやってみるよ。実際徒会選挙においてはそこら辺の美術部に頼むよりは私に頼む方が良いと思うし」


「それはやはり自分の絵に自信があるからですか?」


「それもあるけどさ……他の美術部は夢春のこと何も知らないじゃん。だから夢春の魅力を表面的なところでしか絵で表現できない。私はこれでもそれなりに友達として過ごして来たからね、しっかりと夢春の魅力を絵にして見せるよ」


「桜野さんありがとうございます」


「あんまり期待はしないでよ。まあでも別に生徒会選挙に落ちたところで何か悪いことがある訳じゃないし気は楽だけどね」


「いや……桜野。実はそうじゃないんだ。この生徒会選挙どうしても夢春に勝って貰う必要があるんだ」


「なんで?」


「夢春が生徒会長にならないと……いや正確には冬咲セツナが生徒会長になるとこの学園が滅ぶかもしれない」


「えっと……先輩? 何を言ってるの?」


俺の発言に夢春と桜野は顔を見合わせるのだった。

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