↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
51/55

生徒会選挙

学園祭が終わって一週間。学園祭が終わってから学校内の雰囲気は大きく変わった。

学園祭の日に多くの人が好きな人に告白をして振られるあるいは結ばれて多く生徒が恋と失恋を経験したからだ。


実際俺たちのクラスメイトにも何人かのカップルが出来ている。

そしてそれは俺と如月にも言えたことなのかもしれない。

だが結局俺は如月の告白に返事をすることが出来ていない。


でも返事が出来ないだけでその関係は実質恋人と何も変わってはいなかった。

如月も今は私の事を好きじゃなくて良いと言ってくれた。でも同時に好きにさせて見せるからとも言っていた。


だから俺は如月と不完全で曖昧な恋人関係を続けていた。

心の中には夢春のことを想いながら……でも同時にそれと同じぐらいに如月が心の中で大きくなっていくのが分かる。

分かるからこそ辛かった。怖かった。本当にこのまま如月と過ごしていけばあれだけ好きだった夢春のことを諦めてしまえるんじゃないかと。


実際あの日以降俺と夢春の接点は不思議なほどに無くなった。

勿論同じクラスメイトだし顔を合わせることはある。

でもそれだけだった。前みたいに一緒に話すことも一緒に帰ることも無くなった。

今ではご飯を食べるのも如月と二人きりで帰るのも彼女と一緒だった。


そんな日々が続いたある日のことだった。学園祭が終わった俺たちに今度は生徒会選挙の季節がやってきた。

といっても生徒会に参加しない奴にとってそれは特に関係のない出来事だ。

適当に立候補者の演説を聞いて適当に立候補者に票を入れるだけ。それだけで俺には関係のない出来事だったのだが。


「このクラスで生徒会選挙に立候補する人はいるかしら?」


先生の発言に誰も返事をしない。当たり前だ。生徒会なんて面倒なだけで余程の物好きじゃないとやろうなんて思いはしないだろう。

そう思っていたのだが、俺は忘れていたそんな物好きがこのクラスにはいるということを。


「はい! 私、生徒会長になってみたいです!」


そうだ。このクラスには夢春がいる。先生の言葉に彼女は手を上げて生徒会選挙に立候補するのだった。


ーーー


「空風さん……少し良いでしょうか」


休み時間、俺と如月が話していると夢春がこちらに声を掛けてくる。

それに対して如月は少し悲しそうな顔をした。

その事に申し訳なさを感じつつも俺は夢春と会話をする。


「どうかしたのか?」


「いえ……その……生徒会に立候補したのは良いのですが生徒会選挙は私一人でやるには色々と大変で良ければ手伝って貰えないかなと思いまして」


生徒会長は何も立候補すればなれるような簡単なものではない。

まだ候補者は判明していないが何人かの立候補者と選挙を行い票を集めなければならない。

その為の選挙活動はチラシを配ったりポスターを貼ったりと色々あるだろうがそれを夢春一人でやるには無理があるだろう。

だから夢春が生徒会選挙の手伝いを頼むのは当然のことだった。


「でも……夢春ちゃんって友達が多いよね。別に空風くんに頼む必要はないんじゃないかな」


「そうですね。でも私は空風さんと一緒に選挙活動したいんです! だって空風さんは私の一番大切な人ですから」


「夢春……」


夢春の言葉に心が揺らぐ別に生徒会の選挙を手伝うぐらい良いはずだ。

確かに俺たちは恋人ではない。でも友達だ。なら友達として夢春の選挙を手伝うのは何もおかしくないはず。

そう思って俺は手伝おうと声を出そうとする……でも。


「ダメだよ……。私と空風くんはデートで忙しいの。生徒会の選挙って別に一日だけ手伝えばいいってものじゃないんでしょ? チラシ配りとか演説を考えたりとか放課後に沢山時間取られる。だから悪いけど他の人に頼んでくれないかな」


「なんで如月さんが断ろうとするんですか? 私は空風さんに頼んでいるんです。空風さん……お願いします一緒に手伝っては貰えませんか」


夢春の言葉に応じてしまいそうになる。そんな俺に対して如月は不安そうな俺の手を掴んでいた。

その手は震えている。彼女の手が震えているのは不安だからだ。

俺が如月を不安にさせている。それを理解してしまった以上、夢春のことを手伝うことは出来なかった。


「悪い……俺は如月と過ごすから生徒会の選挙は手伝えない」


「そう……なのですね。分かりました。選挙活動は他の人に頼むことにします。……でもそのいつでも待っているので気が変わったら来てくれると嬉しいです」


夢春はそれだけ言うと自分の席へと戻る。そんな彼女をつい見てしまいそうになるけどその視界を遮るように如月が俺の前に立った。


「ありがとう……断ってくれて凄く嬉しかった」


「別に礼を言われることじゃないだろ」


嬉しそうに微笑む如月に俺はそう呟くのだった。


ーーー


「おかえりー」


如月と別れて家に帰る。俺はいつものように自分の部屋に入ろうとするとリビングの方から愛梨の声が聞こえた。


「兄さん! 先輩が兄さんと話がしたいって言ってるんだけど」


先輩……恐らくは夏雪のことだろう。俺は愛梨に言われて夏雪がいるであろうリビングの扉を開ける。

リビングの中、そこにはお菓子を食べている愛梨の姿とーー。


「久しぶりだね……樹くん」


俺の元カノーー冬咲セツナの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。