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学園祭

学園祭当日。俺と夢春、桜野の三人は色んな店を見てまわる。

ちなみに如月も一緒にまわる約束はしているが彼女は演劇部の為、彼女の演劇が終わってから合流することになっている。


それまでの間は俺たちは俺たちで好きなように店を巡っている。

そんな中でふと俺は愛梨の部活である家庭料理部がどんな催し物をしているのか気になったので家庭料理部が活動している部室に入ってみることにした。


「いらっしゃいませー……ってセンパイ! 私たちのレストランに来てくれたんですね!」


音無が入り口付近で挨拶をしていると俺たちを見つけたのか嬉しそうに声を掛けてきた。


「家庭料理部だからレストランをやってるのか」


「そうです! 主にオムライスとかケーキとか色々作ってますよ!」


そう言って俺たちを席に案内する。俺たちは席に座りながら適当に料理を注文した。

確かにお腹は空いている。でも俺はここに料理を食べに来たのではない愛梨を見に来たのだ。


「愛梨は休憩中か?」


「休憩なんてないですよー! お客さんずっと来てるしひたすら料理を作ってます。愛梨もずっと裏方をやってるわけですよ」


「……そうか」


確かに店内を眺めてみると席には沢山の人が座っている。

それに対して家庭料理部の人たちは大変そうに料理を運んだり作ったりしていた。


「部長が夏雪センパイじゃないですか」


「そうだな。そういえば夏雪はどこにいるんだ」


「部長なら演劇部の方に行っちゃいましたよー!」


確か如月が言うには夏雪は今回の演劇の主役を勤めているらしい。

故にこちらのレストランには行けないということなのだろう。


「それなら副部長とかいないのか?」


「副部長はサボりです……部長を送るとかいってそれ以降帰ってないんです。なので他の数人の二年生と私たち一年生でお店をやらないといけないんですよ」


音無は涙ながらにそれだけ言うとそそくさと料理スペースへと行ってしまった。


「なんというか大変そうですね」


周囲の人たちを見ながら夢春が呟いた。もしかしたら俺たちは来ない方が良かったかもなと思いながら料理が来るのを待つ。

やがて料理を持った愛梨がこちらにやって来た。


「ほら注文した料理よ」


「愛梨良かったのか表に出て」


「別にいいわよ。兄さんだって私が恋しくてこの店に来たのでしょう?」


「よく分かってるな。お前に会いたくてこの店に来たんだ。学園祭……大変そうだな」


「大変よ。部長は演劇部の方に行っちゃったし副部長もサボりでいないし」


「よくよく考えたら凄い状況だな」


「でもまあ料理自体は好きだしこうして兄さんも来てくれたからまだ頑張れるわ。この料理全部私が作ったからしっかりと味わって食べるのよ」


それだけ言うと愛梨はすぐに裏方へと戻ってしまう。

そんな愛梨を大変そうだと思いながら俺たちは料理を食べることにする。


俺はハンバーグ。夢春はオムライスで桜野はチキンステーキだった。

そのどれもが本物のレストラン並みの美味しそうな見た目をしている。


「どれも美味しそうですね! そうだ! 空風さん……そのハンバーグ少しだけ食べてみても良いですか?」


「別にいいぞ」


夢春はそれを聞くと俺のハンバーグを箸を使って食べた。


「ふふっ愛梨さんはやっぱり料理が美味しいですね! 空風さんも良ければ私のオムライス食べてみますか?」


「じゃあ食べてみようかな」


「でしたら私が食べさせてあげますね!」


そう言って夢春はスプーンを俺の方に向ける。普段の俺ならばそれに対して照れ恥ずかしくて拒絶するのだが今回は違う。

それは夢春の料理がオムライスでスプーンは夢春が持っているやつしかないという理由もあるがそれ以上に今日告白する相手なのだから食べさせて貰うのも悪くないと思ったのだ。

俺は夢春に食べさせて貰う。正直かなり恥ずかしかったが美味しいのだけは分かった。


「では次は桜野さんにも食べさせますね!」


「私もなんだ!」


驚きながらも桜野も同じようにオムライスを食べた。


ーーー


「少し早めに来すぎたな」


学園祭をある程度巡った俺たちは演劇部の会場へと来ていた。

用意された椅子に座りながら俺たちは如月が脚本を書いた演劇が始まるのを待っている。


「隣……少しいいだろうか」


「あ、はい。どうぞ……ってお前は」


横から声を掛けられてその方を見てみるとそこには黒色髪の整った顔をした少女ーー夏雪史織が座っていた。

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