彼をスケープゴートにしよう
「俺様の名前はアラン。中学三年だ!そして俺様のパパは日本一の男児出生率を誇るあの男だ!」
待て!待て!
突っ込みどころが多いな!
海外の人みたいな名前で格好いいからアランと呼ぼばせてもらおう。
それに年下、中三かよ!
そしてアノ日本一の男の息子か。パパという呼び方に違和感を感じるな。オヤジとか言いそうなのに。
「俺様は来年から種付けをして実績を作らないといけないんだ!それなのにお前が女を横取りするからこうやって…旨いなこれ!お前のも寄越せ!」
「はい、どうぞ。それで?」
「新作スイーツだぞ!それを他人にあげるなんて、お前は男にも甘いのか!そんなんじゃ舐められるぞ!」
これでペラペラと話してくれるならスイーツの一つや二つ安いものだ。
「後で返せとか言うなよ!うん旨いな。それでパパより凄い実績を作って褒めてもらうんだ!」
「お父さんとはよく会うのか?」
「男が子供に会う訳無いだろ!産まれてから会った事なんて無いんだよ!この前はパパの家まで会いに行ったのによ。警備の女が会わせてくれなくて、それどころか俺様を警察に突きだしやがったんだ!」
何だか分からないけどパパに褒めてもらいたいだけの可愛い男の子なのかな?
「パパに会う為にはパパより凄い実績を作らないとだからな!パパの息子がヤッタぞってな!だから数をこなさないといけないのにお前が!」
パパより凄い実績。それ、本当に褒めてくれるのか?
俺は逆に自分の立場を危ぶむ男が現れたと警戒されるのではないのかと、男児出生率を隠そうとしたんだよな。
待てよ、これは良いんじゃないか?
来年には俺の出生率がバレるだろう。
裏で悠斗を身代わりにしようかと奏さんに紹介したけどあの二人上手く行かなかったんだよな。
アラン君なら最適じゃないか!
自分から実績を作りたいと言ってるし。彼をスケープゴートにしよう!
その為にもアラン君には痩せてもらわなくては。
「あのさ、実績って言ってるけど、どのくらいを狙ってるの?」
「そうだな。普通の男で四十分の一だからな!パパのように十分の一とはいかなくても最初は二十分の一くらいには…」
「チッチッチ♪アラン君、四だ!」
俺はアラン君の前で四本の指を立てる!
「四?」
「男児出生率、四分の一!これで世界に、そしてパパに衝撃を与えよう!アラン君なら出来る!」
「で、出来る訳無いだろ!パパだって出来ないのに!」
「男児出生率は努力で上げる事が出来る!パパ以上の男児出生率を持つ男が居たとしたらどうする?」
「もしかして、お前が…か?」
もちろん見せるのは悠斗の写真。
痩せる前と後の二つ。
「んだよ!誰だよ!こいつは!」
「この男性は痩せる前は命中率も男児出生率も低かったんだ。それを俺が痩せさせ体力を付けさせ、さらに女の子に優しくさせたんだ。そしたらナント!男児出生率が!」
痩せさせたのはギャル二人だが、俺も関わっているという事でいいだろう。
そして痩せるだけでは無く、優しくする事も必要としてしまえ!
こんなのは科学的根拠なんて見える物では無い、何でもアリだ。
土用の丑の日、バレンタインデー、恵方巻き。そのような企業戦略のように男児出生率に優しさも関係していると付けてしまえ!
「出生率が…?」
「痩せる事で八分の一になったんだ!」
「なんだと!そんな話聞いた事ないぞ!嘘を言うな!痩せる事が出生率に繋がるなら、お前はどうなんだ!お前も八分の一とか言うつもりか!」
えっ俺?
そうだよな、偉そうに講釈垂れてお前はどうなんだ?って話しだよな。
言いたくないな。
自慢してるように聞こえるよな?
いっそ八分の一にしとくか?
「お話し中、失礼致しします。陽太様の男児出生率は二分の一でございますよ、アラン様。それは玄武財閥が保証します。実は私のお腹にも陽太くんとの男の子が…」
ちょっと桜子さん!
言っちゃうのかよ!
愛おしそうにお腹を撫でて、てか社交界で噂になってるのって桜子さんが言いふらしてるのでは?
「おい!お前!」
やっぱり信じないよね?
「お前凄いんだな!俺様も痩せれば男児出生率が上がるんだよな!」
アランの顔が怒りとは違う熱で赤く染まっていく。興奮しているようだ。
キラキラと目は輝き、俺を尊敬の眼差しで見てくるんだ。
「おい、お前!いや、陽太先輩と呼んでやる!明日からは俺様の肉体改造に付き合え!俺様のそばを離れることも許さないからな!あとスイーツのお代わりを持ってこい!」
なんだよ!それ!




