監禁のキスの味
今の状況を確認しよう。
両手には手錠、首輪は鎖でベッドと繋がれている。そしてパンツ一枚。着ていたスーツは見当たらない。
逃げるにしても厳しい状況だな。
ギィィ♪バタン!!
階段の上で扉が閉まりカツン♪カツン♪という足音が近付いてくる。
その音が近づくたびに、心臓の鼓動は暴力的な速さで跳ね上がる。
この逃げ場のない地下室でいったい何をされるのか。彼女、生徒会長の麗子さんの目的は何なのだろうか。
彼女は鎖で繋がれベッドに横になる俺を見下ろすと狂喜した笑みを浮かべた。
指先では銀色の鍵を見せびらかすようにヒラヒラとさせる。首輪の鍵なのだろう。
「この鍵で貴方は自由になれるわ。でも外は飢えた女たちが貴方を奪い合う地獄よ?ここに居た方が貴方の為なの。賢い貴方ならわかるわよね?」
潤んだ瞳で鍵を見せびらかせながら、彼女は鎖をたぐり寄せ、俺の首筋に冷たい鍵を押し当てる。
彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべると制服のボタンを外し、その鍵をゆっくりと自分の胸元へと滑り込ませた。
「これが欲しい? なら、ここまで取りに来て。貴方のその拘束された手で、私に触れることができたら…考えてあげなくもないわ」
手を伸ばすも鎖でギリギリ届かないその距離で、彼女は俺を挑発するように胸を寄せ谷間に埋もれる鍵にキスをした。
「ねえ、ここで私だけを見て笑っていれば一生幸せでいられると思わない?思うわよね?」
彼女は俺の返事も聞かず、ベッドの縁に膝を付き、顔を近づけ耳元でささやく。
「もっと近くで鍵を探して、貴方の息が届く距離じゃないと、愛の深さが測れないもの。その唇で探して」
熱を帯びた瞳が俺を射抜く。
俺に馬乗りになると首の鎖を引き寄せ半身を無理矢理起こさせる。
「この鎖は、私があなたをどれほど愛しているかの証明。永遠に私だけの胸の中に居なさい」
熱い吐息が耳にかかり、鎖の冷たさとは対照的に狂った愛を押し付けられる。
「鍵をかけたのは貴方を閉じ込めるためじゃないの。悪い虫が寄り付かないように。貴方はここで、私の愛を食べて生きていればいいの」
胸に顔を埋め、動かしどうにかして鍵を口にしようとするも難しい。
「さあ、まずはその可愛い口で『愛している』と私に誓って?」
彼女は鍵が沈む胸元を指でなぞり、俺に愛を誓わせようとする。
俺が唇を閉ざすと彼女の顔から笑みが消えた。ゾクッときたぞ。
「いいわ。声が出せないなら、体でわからせてあげる」
彼女は鎖を強引に押し、ベッドが悲鳴を上げるほどの力で俺をねじ伏せた。
彼女は胸元から取り出した鍵を俺の頬から喉元、そして胸板へとゆっくりと滑らせる。
「この鍵が肌に触れるたび、貴方が誰のものか思い知らされるのはどんな気分?」
彼女は銀色の鍵を唇に挟むと深く唇を重ねてくる。
口に広がるのは金属の味と、彼女の熱い舌。
強引に舌を入れられ喉の奥へと鍵を押し込まれる。
俺は鍵を飲み込まないように舌を押し返す。それは恋人同士の熱い口付けかのように見えた。そして呼吸さえも彼女に支配されていく。
肺から酸素が奪われ、視界が白く霞んでいった。
彼女の狂ったような口付けはまだ続いている。甘い彼女の唾液と金属の味が意識を塗りつぶし、重い鎖の音が遠のいていく。
そして俺は意識を手放したんだ。




