圧倒的アラン
世界中が注目する、巨大なスタジアム内に設置された個室エリア。
ザハルは十分の一の確率を維持する為なのか、スタミナ増強のドリンクでのドーピングと脂っこい食事を詰め込んでいる。
今回、俺たち側はアラン君が主役。
「アラン君が勝てば、世界中の『普通の男』に希望を与えられる。大丈夫、君の『優しさ』は、もう誰にも負けない」
負けるとは思っていないが、最後に秘策を授ける。
「いいかい、ザハルは作業として種を蒔く。でも、アラン君は愛を届けるんだ。鍛えたその指先で、彼女たちの孤独を溶かしてあげて。身体の相性を合わせるのは、体力じゃない。心だ」
ザハルがアラン君に用意した十人の女性たちは、みんな『男なんて種をくれるだけの不快な存在』と心に傷を負った女性たちだった。
男性に恐怖心を抱き、濡れる事もなくなってしまった女性を選んできたようだ。
やり方が汚いんだよザハル。
でもちょうどいいハンデかもな。
戦いの火蓋が切って落とされた!
世界中が固唾をのんで見守る中、テレビの中継画面に映し出されたのは、あまりにも対照的な二つの夜だった。
ザハルの部屋からは、獣のような荒い息遣いと、女性たちの悲鳴に近い声が漏れ聞こえてくる。
ザハルが女性を生産のための機械として扱う一方で、アラン君が最初に行ったのは、寝室へ向かうことではなく、湯気の立ち込めるバスルームへの案内だった。
男性への恐怖で身体を硬くし、視線を泳がせる女性。
アラン君は彼女と同じ目線まで腰を落とし、まるで壊れ物を扱うような手つきで、温かいタオルで彼女の身体を包んだ。
この世界では、男が身体を洗ってあげるなど尊厳を傷つける行為だが、アラン君は迷いなく跪き、柔らかな泡で彼女の指先から一本ずつ、丁寧に、慈しむように洗っていく。
「怖がらなくていいよ。君が今日一日、頑張って生きてきた証を、俺に綺麗にさせてほしい」
その言葉と、温かな手のひらの感触。
男性の大きな手が暴力ではなく癒やしとして触れた瞬間、女性の目から大粒の涙が溢れ、凍りついていた心の凝りが、湯気と共に溶け出していった。
風呂から上がり、アラン君は特製のオイルを手に取り、彼女の背中にゆっくりと広げていく。
ザハルの部屋から聞こえる「もっと早く腰を振れ!」という怒号を遮るように、アラン君は彼女の耳元で穏やかに語りかけ、身体の緊張を一つ一つ解きほぐしていった。
あれ?あの衣装、俺のマッサージ屋の時の制服だよな?
いったい、いつの間に…
それにしても客観的に見るとエロいな。
血行が良くなり、心のガードが外れた彼女の身体は、本能的な悦びに目覚め、自然と愛の雫で潤い始めていた。
ベッドの上でも、アラン君の優しさは徹底していた。
ザハルが、己の権威を誇示するために女性の裸を晒す中、アラン君はあえて結合部をバスタオルで覆い、彼女の羞恥心を保護したのだ。
ナイスだ!アラン君!
視覚的な刺激よりも、重なる肌の温度、交わされる吐息、そして「痛くない?」「気持ちいい?」という優しい問いかけ。
女性は自分を道具ではなく、一人の愛される女性として扱われている実感を噛み締めているようだ。
そして誰に強要されるでもなく、心の底から声を漏らした。
「あっ…あんっ♡ …こんなの、初めて…。もっと、貴方を感じたい…っ♡」
この映像が流れた瞬間、世界中のSNSは熱狂に包まれた!
・結果なんてどうでもいい!私はアラン様に洗われたい!
・男児が産まれるかどうかじゃない。あのバスタオルの優しさに抱かれたいの♡
・あいつザハルなんて名乗ってるけど、本名『春男』でしょw
・今まで私たちがしてきたのは『作業』だったのね。あんなエッチがあるなら、人生やり直したいわ♡
・他の学生がどんなエッチをするかを見せて!
・ザハルは要らない!見たくない!
ザハルの部屋の女性が「早く終わって…」と虚無の表情で天井を見上げているのに対し、アラン君の部屋の女性は、恍惚とした表情で彼にしがみつき、幸せそうに微笑んでいる。
隣の部屋でザハルは焦っているようだ。
「なぜだ!なぜ俺の女は声を出さない!なぜあんな痩せっぽちの部屋からあんな声がするんだ!!おら、お前、喘げよ!」
しかし、彼が叫べば叫ぶほど、世界中の女性の心は彼から離れていった。
勝負の決着がつく前に、すでに勝敗は決していた。
圧倒的だよ!アラン君!




