ホテルに誘うという最終試験
三ヶ月という月日が流れ、学園の男子たちは劇的に変貌していた。
この世界の男子は三ヶ月みっちりトレーニングすれば痩せてイケメンに変わる。
贅肉を削ぎ落として現れた鋭いフェイスライン、俺の指導で身につけたスマートな身のこなし。
そして何より、相手を敬う優しさという武器を身に付けた。
ついに、この学園の真の目的である『実績作り(男児出生率の向上)』のための最終試験が幕を開ける。
この試験のルールはシンプルかつ過酷。
男子にはデートの行き先から会話の内容、エスコートのすべてをプロデュースし、最後にホテルへ誘う。
なんだと!
会話の内容まで考えるのは、俺だけだったのか…
そして女子には判定をしてもらう。
デートが『心から満足できるもの』でなければ、ホテルの誘いを断り、一人で帰宅する。
ダメだった男子にはホテルで一人反省してもらいたい。
学園の門を出て行く男子たちの背中は、三ヶ月前とは見違えるほど凛々しく、彼らの横を歩く女子たちの瞳には、期待と飢えたような熱情が宿っていた。
一組のペアを離れて見守る事にした。
このペアは王道の水族館デートを選択。
水槽の青い光の中で魚を眺める彼女の歩幅に合わせて歩く男子。
帰り道、さりげなく車道側を歩き、喉が渇くタイミングで冷たい飲み物を差し出す。
かつては女が俺に尽くせと思っていた男子が、今は彼女の笑顔のために何をすべきかを必死に考えているようだった。
「…今日は、本当に楽しかった。君ともっと一緒にいたいんだ。…この後、二人だけで休めるところに行かないか?」
ディナーを終え、夜景の見える場所で彼が真っ直ぐに目を見て誘うと、女子は誇らしげに、そして蕩けるような笑みを浮かべて頷いた。
くぅ~、キュンキュンする!
いいぞ!男子!
初めてでスマートに誘えるなんて俺より何倍も凄い!俺なんて…今でも誘うの苦手なんだよな。
◇◇◇◇
翌朝。
学園の校門付近には、緊張した面持ちの俺と視察に来た麗虎さん、そして優ちゃんの姿があった。
やがて、朝靄の向こうから一組、また一組と男女が姿を現す。
男子たちの表情には疲労が見えるが、それ以上に『一人の女性に選ばれた、満足させた』という、これまでにない自信に満ち溢れている。
女子たちの表情は、全員が潤んだ瞳で満足げに男子の腕に抱きついている。
「陽太先輩!俺、やりました!彼女が、最高だったって言ってくれました!」
「陽太さん聞いてください。あんなに傲慢だった彼が、昨夜はまるで紳士みたいに優しくて…」
初日の男女は、一人の脱落者もなく、全員が朝帰り。
それは、俺の優しさの教育が、成果を上げたことを意味していた。
俺は、朝日を浴びて帰ってくる生徒たちを、眩しそうに見つめる。
「よかった。みんな、ちゃんと『心』を届けることができたんだな」
俺の隣で、麗虎さんが俺の肩に頭を預け、低く甘い声で囁く。
「ええ。これで五ヶ月後には性別が判明して実績が証明されるわ。でも陽太、貴方はわかっているのかしら?これで外の世界の女たちは確信するのよ。『この学園の男』を手に入れることは、人生最高の勝利だということを、そして貴方の価値も」
麗虎さんの指が、俺の腕を強く引き寄せる。
「…さあ、彼らの報告が終わったら、次は私の番ね。…貴方も溜まっているでしょう、私が満足させてあげるわよ?」
背後で、優ちゃんが。
「麗虎さんは妊娠してるんだからダメでしょ!私よ!私が陽太お兄ちゃんとデートするんだから!本番するんだから!」
と頬を膨らませて割り込んでくる。
本番とか言わないの…
「よし、俺は麗虎さんを車まで送ってくるよ。優ちゃん、いや、優!これからデートしようか?それとも俺の部屋で一日中イチャイチャしようか?お昼には優の好きなオムライス作ったりして」
「やった~!それがいい!陽太ライス、久しぶりに食べたい!」
うぉぉ~!優♡




