脱走男子にはお仕置きを
全寮制となった学園の初日の夜。
静まり返った男子寮の廊下に、隠しきれない脂肪の揺れる音?と忍び足には程遠い音が響いている。
「…おい、本当に大丈夫かよ。あの麗虎様の私設警備隊が巡回してるって話だろ?」
「へへっ、裏門が手薄なのは朝のうちに調べてある。あんな鶏肉のパサパサしたのじゃ眠れねえよ。俺はコーラとポテチが食いたいんだ!お前らもだろ!?」
昼間の『あ~ん』で鼻の下を伸ばしていたあの男子生徒と数名が、学園を抜け出そうと必死に身を潜めていた。
しかし、彼らが裏門に手をかけた瞬間、サーチライトのような光と冷徹な視線が彼らを射抜いた。
「あら?どこへお散歩かしら?」
暗がりに立っていたのは、昼間に彼を『あ~ん』で屈服させたリーダー女子。
背後には、同じクラスの女子たちが腕を組んで並んでいた。
「「「ひっ、見つかった!」」」
「逃げようとしても無駄よ。さあ、学園のルールを破った悪い子には…お仕置きが必要ね♡」
彼女はゆっくりと近寄り、震える男子生徒の顎をクイッと持ち上げた。
「甘いお菓子の代わりに、私たちがたっぷりと『可愛がって』あ♡げ♡る♡…部屋に戻りなさい。朝まで寝かせないから」
女子たちは、震える男子たちの腕を左右から抱え込み、逃げ場を奪うようにして女子寮の奥へと消えて行った。
それは端から見れば、数人の男を女たちが連れ去る、この世界ならではの拉致に近い光景だった。
夜風にあたろうとバルコニーに出ていた俺は、その様子をバッチリ目撃していた。
「おいおい、マジかよ!」
俺は思わず額を押さえた。
連行されていく男子たちは、口では「助けてくれ~!」と叫んでいるものの、その顔はどこか期待に満ちていて、鼻の下は昼間以上に伸びきっている。
「あんなの、お仕置きじゃなくて完全なご褒美だろ!全然反省させる気なんてないじゃないか!」
背後から、優ちゃんが静かに忍び寄り、俺の腰に手を回す。
「いいんじゃない?あれで本能が刺激されて、明日からのトレーニングに身が入るなら。それとも陽太お兄ちゃん。お兄ちゃんも、私から『同じお仕置き』を受けたいの?膝枕してあげようか?」
「いや、俺は遠慮しておくよ」
俺には最高の膝枕があるからな、優ちゃんの細い太ももじゃ…
「なんでよ!膝枕したいのに~!」
結局、脱走を試みた男子たちは、翌朝、目の下に深いクマを作りながらも、なぜか恍惚とした表情でグラウンドに現れたのだった。
「陽太先輩!…俺、昨日の夜、地獄を見ました。…でも、今日からもっと頑張れそうです!」
「…(何があったか聞くのが怖いな)」
俺は『優しさの教育』が、女子たちによってとんでもなく官能的でスパルタな方向に進化していることに、一抹の不安を覚えつつも、新しい一日の指導を開始するのだった。




