当たり前を語る
俺の中にある当たり前を話していく。
女性は支配対象ではなく、守るべき愛の対象であると。
女性に優しく接し、愛する事。そうする事で返される心からの愛が俺には最高の報酬だと。
その愛の結果としての男児出生率だと。
愛が無ければ男児は産まれないと。
このままでは男児出生率は変わらないだろうと。
そして、俺の『当たり前』に刺激を受け、身体を鍛え、優しさを、愛を与えるようになった親友がいる。
その親友もまた高い男児出生率を出していると。
その言葉が放たれた瞬間、会場を埋め尽くした報道陣のカメラのシャッター音が止まり、静寂の後に地響きのようなざわめきが広がった。
「現在、俺の通う学園には、一人の女子生徒も残っていません。…全員が、新しい命を宿し、出産に備えて実家や静養先へ戻ったからです。俺と、俺の教えを受けた親友の二人だけで、クラスメイトから上級生まで、その全てに子供を授けました。約半数が男児です」
悠斗の男児出生率もぐんぐん上がっているんだよな。
「これは種付け依頼ではありません。なので無償で行われました。俺たちは互いを慈しみ、その結果として子供が産まれた。言わば自由恋愛です」
この世界の常識である男児出生率の高い男性に高額な対価を払って受精を請うというのを根底から覆す、愛の結果としての命という宣言に会場も困惑だ。
「俺たちに産まれた男の子。その全員を幼稚園に通わせるつもりです。想像してください…」
想像して欲しい。
幼稚園からクラスの半分とまでは行かないかもしれないが、クラスの三分の一が男子。
小、中、高校と仲を深め、愛を深めて子種を貰う。男児が産まれない訳が無い!
「「幼馴染み…」」
「「切ない片思いとか…」」
そう、皆さん好きでしょ?
朝、起こしに部屋まで来てくれる優しい幼馴染み。
何かと世話を焼いてくれる幼馴染み。
部活の応援をしてくれる幼馴染み。
そんな彼に想いを寄せる少女。
そしてタイプの違う二人との三角関係。
「私のために争わないで!」
一度は言ってみたいでしょ!
俺の住む地域ではそれが当たり前になる。
「今年、女の子を産んだお母さん。娘さんにそんな学校生活を送らせてみませんか?こちらの建築に強い青龍財閥によって、急ピッチでマンションの建設が進んでいます。ぜひ引っ越しを検討してみてください!」
「それから、急ではありますが、俺の通う学園の来年度の募集要項を提示します。女子の定員は今の三倍とします。教室が余っているのでね。男子は…」
男子には実験台になってもらう。
俺の当たり前理論が誰にでも通るのか。
男子の入学には厳しい条件を出した。
傲慢さの破棄、贅肉を削ぎ落とし、飢えとトレーニングに耐える精神力があること。
奉仕の精神・女性を支配対象ではなく、守るべき愛の対象として敬えること。
「学園で修行をし、恋愛をし、男児出生率の実績を積み上げて欲しい。卒業後は種付け依頼を受け贅沢をしたって構わない。ただその際も女性を心から満足させないと男児は産まれないと思ってください」
「甘い汁を吸いたいだけの男はいりません。自分を変え、世界を変える気概のある者だけが、この学園の門を叩いてください。修行は辛いでしょう。ですが、その先には『誰かに心から愛される』という、今の貴方たちが忘れてしまった最高の報酬が待っています!」
「最後に、今、中学三年生の女子。この学園には俺の弟子であるアラン君の入学が決まっています。アラン君目的でもいい。他の男子でもいい、男子がカッコ良く優しくなるのを間近で見て、恋愛して欲しい。どしどし応募して欲しい。以上です!ありがとうございました」
こうして俺の初めての会見が終わった。
麗虎さんや他の女性たちはこんなプレッシャーの中に立っているんだな。
本当に凄い。
麗虎さん…何?その魔王みたいな微笑み。
勝利に震えてるの?
独占欲から誇示欲だったか。
俺は麗虎さんの隣に立てる男に少しはなれたのだろうか?
まだまだ勉強も実践も足りないと思わされる会見となった。
◇◇◇◇
レンズの向こう側。
この会見を見ていた人たち。
「師匠…俺、一生ついていきます。この『優しさ』という名の革命に」
「ちょっと!陽太お兄ちゃん!また倍率が上がっちゃうじゃないの!」




