4 橙色の蝶
「結局、あの蝶は何なの?」
私はもう一度部屋に戻った。どうやらここは、二階建てで地下のある店のようだ。1階から微かに人の声がする。さらに、廊下の窓から外を見ると、客が出入りしているのが見えた。
私は部屋から出て行くレイさんを見送ってから、あの声に聞いた。
―――あの蝶は、君とあの人の仲介役みたいなものだよ。
「仲介役……」
―――さっきも言ったけど、時間が動いているものと、止まっているものが交差することは出来ない。でも、あの蝶だけは例外だ。
「どうして?普通の蝶に見えたけど……」
―――あれが普通の蝶?そんなわけないよ。あれは………
「あれは?」
数秒、部屋を沈黙が支配する。
―――……分からない。
(……わからないなら勿体ぶらないでよ………)
―――でも、一つだけ分かっていることがある。あの蝶は生きていない。そして、死んでもいない。だから、君とあの人の仲介役にできたんだ。
「それって………」
―――たぶん、あの蝶の正体は………
カツン、と静かな足音が地下室に響く。
「我々の身勝手な行動を許してくれ」
先程まで穏やかに笑っていた男は、部屋のベッドに横たわる色のない女性を見下ろし、冷徹な声で呟いた。その周りを飛んでいた光の一つが、彼の元へと近づく。
『まったくだ!お前らのせいで、ここに縛り付けられたじゃないか!あの忌々しいハエめ……』
高い声が部屋に響いた。男は申し訳なさそうにその光に言った。
「すまない。治療法が見つかるまでは、そのままでいてくれ」
『ふん、よく言うわ。お前のことだからとっくに治療法など分かっているのだろう』
「………」
光が男に触れようとした。すると、男の周りに薄い膜が形成された。
「触れるなよ。この姿だと身体の時空が歪むんだ、『黄泉の国の使者』よ」
『……お前も大変だなレイヴァード。でも、さっさとこいつを殺すか救うかしてほしいわ』
「分かっている」
男は手を握りしめて、俯きながら苦しそうな声を出した。
「……分かっているんだ」
良い所で終わらせたかったので文字数少なめです。




