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WORLD END SCRAPYARD~ 廃棄された多元世界で治安がヤバイ女たちと悪運だけで硬派に生きてる  作者: Schuld


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3-2

4/7/2026 なんか凄いコピペミスが発生していたので修正。

 苦手であった人種に銃の講釈を垂れて数日。


 ハジメはまたしても無聊を囲っていた。


 割に合う仕事は、今のところ見つかっていないし、お誘いも満足な物がない。


 悲しいかな、自分を安売りし過ぎれば、僅かばかりの煙草の代わりに寿命が短くなる。しかし、選り好みしすぎても暇が募るばかり。


 ピカピカ光る板切れや、世界中と繋がったデカイ箱があれば無限に時間を潰せた過去と違って、このスクラップヤードで時間を潰すというのは難しい物だ。


 酒、賭け事、異性。それ以外の選択肢は恐ろしい程に少ない。


「言語だけじゃなくて、文字も統一してくれりゃよかったのに」


 このスクラップヤードの持ち主は、最低限の慈悲を持ち合わせていたのか、どういう訳か人種間で言語基系がよほど違わない限り言葉が通じるようにしてくれている。おかげで会話することに苦労することは希なのだが、残念ながら文字ばかりはそうもいかない。


 結構な読書家でもあったハジメからすると、本はあっても〝読めない言語〟で書かれているため、どうしようもないのだ。


 知は力とはいうものの、それを蓄えるための土台が備わっていなければ、どうしようもない。そして、毎日日日、飽きもせず棄てられてくる世界の本を漁ったところで、似たところはあっても完全に読める本などありはしない。


 元々、自分が棄てられて来た世界の残骸でもなければ。


 そして、残念なことに紙は重く、データは劣化が早い。故に知識を蓄えた無上の価値を持っていたであろう紙束は、無惨にもたき付けとして使われるばかり。


 一人でやれて、煙草を消費せず、時間が潰せるのは睡眠くらいとあれば、仕事をしていない時の傭兵は基本的に暇なのだ。


 故に大抵は昼間っから安酒をかっくらい、酒保女を膝に乗せ、僅かな煙草を場代としてカードに興じる。その点、数字だけは記号の集合によって表現できて、あとはそれっぽい絵柄があれば成立するトランプというものは偉大だ。


 だが、ハジメはどれも好きになれなかった。


 元より陽も高い内から酒を飲むなど良心が咎める気質であったし、賭け事に関しては「お前と卓を囲むと損しかしない」なんて言われて、誰も相手をしてくれなくなった。


 そして、色事には興味が持てないこともあって、人間の大敵である〝暇〟を前に立ち尽くすしかないのだ。


 その点、仲間達は上手くやっている。


 デルタは孤独にも何もしない時間にも強いし、トワイラは貴族らしく振る舞うことで自己を満足させており、クインは街の情報を探るという名目で方々をちょろちょろし、食い物をねだって廻るのに忙しい。


 そして、人間と違って何十、何百時間であろうとスリープモードに入れるトリニティは言うまでもなし。


 ただ一人、ハジメだけが埋めるアテもない空虚に苛まれていた。


「どっかで辻芝居でもやってないかね」


 酒場のマスターに見合う仕事はないといわれ、ハイランダーからの遣いも来なかったため――彼女はこちらの都合を考慮して、あまり早い時間や夜中には声をかけてこない――とぼとぼと行く当てもなく街を歩く。


 今日も騒がしい市場を彷徨いてみても、銃以外の物欲がそこまで強くない彼が満足することもなく、また都合良く掘り出し物が見つかるでもなし。


 何よりもハジメは、そこまでの目利きではない。シヴィラツィオの文明に関する知識は深いが、それ以外の世界から流れ着いた物に関しては、用途を推察してみることが精一杯であり、その確度もさして高くないため、無駄な煙草を使わないため衝動買いは避けていた。


「映画が見たいなぁ……」


 シケモクを咥えながら、過去に思いを馳せつつ歩いていると、いつの間にやらアーモリーの外縁に近づいてきていた。


 ここは銃声が絶えない。


 何も侵略者が常にやって来ているとかではなく、理由は二つある。


 一つは、往来の多い街中に作ると万一が怖い試射場があるからだ。


 銃は仕事道具であり、手足の延長。


 しかし、そうなるまでには気が遠くなるほどの訓練が必要である。なればこそ、よりよい仕事を得て稼ぎを増やすため、現金を火にくべるに等しい射撃訓練に精を出す者も少なくないのだ。


 そして、もう一つはシンプルな〝駆除〟だ。


「おー、やってるやってる」


 建物が疎らになり、適当に建てられたテントやバラックばかりの貧民窟の外側には簡単な前哨地がある。アーモリーが整備した防衛のための設備でもあるが、最も重要なのは街に迫る脅威を早期に発見すること。


 そして、それはら専ら動く死体、ゾンビであった。


 ハジメがスクラップヤードに来るより、ずっとずっと前。アーモリー成立以前どころか、誰も覚えていないほどの過去。


 あるサバイバーズの世界が棄てられて来て以来、死体は適切な〝処置〟を施さねば起き上がるようになっていた。


 そして、世界を廃棄した時に出る大量の死体も再起するようになってしまい、世界中に動死体が溢れかえった。


 彼等は時に群れを成し、貪るべき生者が集まっている街へとフラフラ歩み寄ってくる。


 その誘引性は街の規模が膨れ上がるにつれて指数的に増大し、最大で数十万の群れを形成したこともあるという。


 数千人以上が身を寄せ合い、重工業による騒音を常に垂れ流しているアーモリーには、特に集まってくる要因が集中しているため、何度も街の危機と呼べるほどの襲撃を受けたほどだ。


 それ故、親方組合は時に小銭で傭兵を釣って、集まってくる死体の掃除をさせる。


 界隈でいう〝最もつまらない仕事〟の代表であり、食い詰めた傭兵や、始めたばかりのニュービーが食いつく最たるもの。


 といっても、ケチな行政が広く公募するだけあって報酬は危険度に反して安い。


 精々が終わった後の炊き出しと、シケモクが数本。弾を使ってしまえば足が出るような、何とも湿気た内容だ。


 その上で死んだら死んだで結構。ファクトリーロードの弾よりも人間の命が安い環境において、日銭に釣られてやってきた傭兵の扱いは押し並べて悪い。


「今日はプレーンなのばかりだな」


 何かの廃土が積まれて小高くなったところに腰を下ろしたハジメは、即席のチームを組まされた傭兵達がゾンビと格闘しているのを眺めることにした。煙草のアテとしては殺伐に過ぎるが、動いている物を見ていると、それだけで気が紛れるものだ。


 彼等が格闘しているのは、ボロボロの衣服を纏い、長く放浪してきたであろうゾンビの群れ。恐らくどこかで小さな集落を飲み込みでもしたのだろう。衣服の様式はまちまちで、種族も混在しており統一感はない。


 それでも〝変異体〟と呼ぶことがある、特殊能力を持った個体はいないため、今日の仕事はキツい日と比べれば大分楽であろう。


 同じゾンビによって落日を迎えたサバイバーズの世界でも、法則にかなり違いがあるようで、生産地によって脅威度は全く異なる。


 ただ呻いて襲いかかってくるだけの個体群ばかりの時もあれば、膨れ上がったゾンビが爆発したり、遠距離から酸を吐いてきたりして大変なことになるのも珍しくない。


 それに感染の法則も違う。


 血の一滴を浴びただけで〝アウト〟な時もあれば、噛みつかれても運が良ければなにもないこともあるし、最高に運が良ければ接触感染しない群れもある。


 この辺りも正に〈悪運〉だ。


 どうやら、今日の駆除に参加した面々は、悪くない籤を引いたらしい。


「懐かしいな。俺も慣れてない頃は必死こいたモンだ。そういや、デルタと合ったのも、このクソ仕事からだっけか」


 ぷかりと煙を吐き出しつつ、ポケット灰皿へ律儀に灰を捨てる。棄てられた世界においても、故郷の流儀を守るのは、忘れないためか、それともただの懐郷か。


 どうあれ他の人間からは奇異に映る癖を守りつつ、心の中で頑張れと声援をおくりながらハジメは傭兵達の仕事を眺めた。


 この仕事は毎日ある訳ではない。常にゾンビが押し寄せて来るでもないし、アーモリーも痛い目を見たことがあるため、大きな群れが形成されつつあれば率先して排撃に動き出す。


 そのため、今日は小さな集団が警戒網を抜けて這い寄ってきただけなのだろう。百を超えるか超えないかという群れを前に、三十前後の傭兵達が死力を尽くして戦っているが、ハジメからすると何とも危なっかしい。


「……見てられんなぁ」


 他人の仕事であるから手を出すつもりはないが、どうにも効率が悪く、見ていて口を出したくなる光景であった。世界が棄てられる前、父親がテレビの野球選手に向かって「そうじゃねぇだろ!」と怒鳴っていた気分が少しだけ分かる気がした。


「あーあ、抜けなくなって焦ってら。そういう時は抉るか押し込むかするんだよ」


 ニュービー達も銃を使えば割りに合わない仕事だということは分かっているため、各々近接武器を使って戦っているが、熟れていないため手際が悪い。


 恐らく田舎から出て来たばかりで、戦い方など碌に知らないだろうゴブの少年が、ショートソードをゾンビの頭に突き立てて撃破したはいいが、抜けなくなって焦っていた。骨に刃が噛んでしまっているのだ。


 こうなればもう、食い込んだ口を広げるために刃に力を込めて、圧し斬る要領でスペースを無理矢理作るでもしなければ中々抜けない。ゴブは慌てて頭に足を押し当てて引っ張っているが、それは悪手だ。


「ほら、言わんこっちゃねぇ。ゾンビの首なんて簡単に引っこ抜けるんだから」


 しかし、無理に力を込めたからだろう。刃ではなく、首の関節に限界が来たようで腐れた死体の首が先にもげた。こうなっては振り回したところで剣から首は中々離れてくれないため、始末が悪い。


「しかし、誰も教えてやらんのかね。ゾンビ相手にゃ鈍器が一番いいって」


 この世界においてゾンビは最早、一般的な脅威であり、ハジメ的に言えばファンタジーRPGで最初にエンカウントするゴブリンよりもメジャーな敵だ。むしろ、ゴブという知性ある種族が存在している方が、彼には馴染むのが難しかったくらいである。


 そういうこともあって対処法は傭兵ならば知っていて当たり前なのだが、やはり新人達は横の繋がりも薄いのだろう。知っているべきことを知らないから手間取るし、効率の悪い方法を取ることもある。


 大抵の場合、ゾンビを黙らせたいなら小脳と脳幹を一撃で機能不全に陥らせるのが一番だ。


 そのために最も適しているのは鈍器。食い込んで動かなくなるなんてアクシデントは起こらないし、粘性の強い死血によって刃が鈍ることもなければ、骨に当たって刃毀れを起こしもしない。


 金がないなら廃材の山から鉄パイプを引っこ抜いてくれば良いし、予算があるならハンマーなどを持ち込めば、より確実に撃破できる。


「それに連携も悪いな。もっと集まって戦わないと囲まれて死ぬぞー」


 剣に頭がくっついたままのゴブは焦ってしまったのだろう。外れろと必死に振り回しているが、それが危険すぎて周りの仲間を遠ざけてしまっている。


 すると、彼の周りに隙間ができて、そこにゾンビが集まってくる。


 基本は一対一になるようにすること。


 人間が攻撃できる、つまり対処可能なのは、基本的に一方向だけだ。つまり、同時に二体から襲われれば、余程の早業を持っていなければ仕留め損ねた一体に襲われる。


 それを避けるため、前方以外の四方を仲間の壁で守るのが基本中の基本。


 だが、最近はアーモリーで一旗揚げようとやってくる新人が増え、それだけ質の低下も著しい。基礎教育など望むべくもないし、教えられずともそれだけの想像ができる人間というのは希なのだ。


 その点、ゲームや映画に漫画で、何ともなしに戦いの知識を得ているシヴィラツィオは強い。


「助けてやりたいが、この距離じゃ……おっ」


 今にも齧り付かれかけていたゴブが大きく動いた。


 少し離れた所にいた同じ新人から蹴り飛ばされ、危険域を脱したのだ。


「へぇ、あの新人、中々やる……ん?」


 混戦の最中でも味方に注意を向けられるとは、いい目をしているヤツがいるなとハジメは注目してみたが、あの頭には覚えがあった。


 毛染めが追いつかなくて根っこが黒くなった茶髪。


 例のギャルだ。


「ほー、中々動けるじゃないか」


 彼女は〝手慣れている〟かのようにゾンビを相手取って一歩も引いていない。鉄パイプをちゃんと遠心力を活かした振りでブン回し、一所に留まる愚を犯さぬ動きには明確な慣れが見えた。


 きっと、デルタと同じくゾンビの襲来によって滅びたサバイバーズの世界から来たのだろう。


「こりゃ青田刈りもアリかな」


 言って立ち上がるハジメ。目指すのは、仕事が終わった後に炊き出しを饗する仕度をしている前哨基地。


 傭兵は個人の仕事を請けることもあるため、常に固まって動ける訳ではない。


 一緒に働ける人間の伝手は増やしておくに越したことはないかと、ここしばらくで一番の才能に声くらいはかけておくことに決めた…………。

昨日はちょっとドタバタしていて、更新できませんでした。申し訳ない。


ルルブ作成はいよいよ佳境! サンプルPCの立ち絵が出そろい、DTP段階に入りつつあります! アーリー版をお披露目できる日も近いかと!!

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最初と最後の部分、同じ文章の塊が繰り返してますね
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