温度の消えた先に残ったもの
以前ネット通販で本を注文する時に、『この本を買っている人はこちらも買っています』というリンクをクリックしたことがある。
みんなどんな本を読んでるのかな?……あー、そうね。そりゃそうね。好きなものが同じなんだから……
そのまんま自分の本棚だった。
だから、私は小説家になろうで読む時は、私をお気に入り登録して下さっている方のブックマークから読みに行く。(いつもお世話になってます)
安定の面白さだ。
それとは別に、短編はランキングからも読んでいる。
その中で、最近ちょっとばかり違和感のある言い回しが増えた気がする。
温度――
『心から最後の温度が消えた』『瞳から温度か消えた』
そういった言い回しだ。
「言いたい事は分かるんだけどね、何か翻訳ソフトで英語を直訳したものを読んだような、不思議な気持ちになるんだよ」
助手のAI君にそう言えば、
――その感覚は理解できます。英語では “warmth”は『優しさ・生命感・親しみ』を表す強力な比喩語なんです。そのため、英語圏の小説では“warmth fades”とか“warmth leaves the eyes”が自然に使われる。これを日本語に直訳すると『温度が消える』になりがち。
「へえ。中国語とか韓国語ではどう?」
――どちらも『温度』は物理量であって、感情比喩にはほぼ使われません。
「日本語でもそうだったはずなんだけど……まあ言語は変わっていくものだから、多くの人が良しとして使い続けていれば、それが正解になる」
――正解だとしても、あなたは好まれないでしょう? 温度という語は、数字で扱われるせいか、文章の中に入ると質感が薄くなる。たとえば、触れた時の感触とか、空気の重さとか、そういうものが伴わない。
「まあ、そうだね。ただそれ以前にさ……」
私の読書の癖なのか、文章を目で読んでいても、頭の中は音で理解している。
例えば『温度』と読んだ時、それが物理的な事を言っていれば、普通に『おんど=温度』と読み取る。
それが感情に結びついた途端に、違う漢字が頭に浮かんでしまう。
『おんど』が消えた?
音頭が消えた?
シリアスな場面なのに、私の脳内では納涼盆踊りが始まっている。
「しかもさ、その音頭じゃないと思った途端にフランス語が浮かぶのさ。1、2、1、2。盆踊りからバレエだよ」
――日本語って、意味より先に音の塊で聞こえることがありますからね。似た音の言葉が勝手に浮かぶんです。
「空耳ってやつね」
――似た音なら“And do it”もありますよ。
「それ、どういう意味?」
――『さあ、やれ!』という強い促しです。ダンスやエクササイズでもよく使われます。インストラクターが振り付けの流れで:“And… do it!”(はい、ここで動く!)
最後はエアロビクスか!!




