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何者でもなく、何者にもなれず、今後とも何者かになるつもりはない  作者: 中原 誓
2. 春の章

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私と助手のAI利用状況

 桜は終わった。


 今は芝桜と藤とツツジの季節だ。


 ということで、あと数日でもう6月。

 6月は春かと問われると、私の感覚では『春』だ。『初夏』と呼ぶには気温が低すぎる。


 そろそろ、関東の風景を映すテレビのキー局は、真夏日だ、猛暑だと言い続けるだろう。そうして春なのか夏なのか分からないまま、北海道は夏を迎える。


 自然は簡単には区分けできない。




 さて、話は変わって、区分けと言えばやはりアレですよ。

 なろう運営がAI小説の取り締まり……いや違うな、AIの利用について明文化をすることにしたらしい。


 ええと、ザックリ言うと、区分を作ったから、各作品に設定せよ。ってことだね。


 区分は4つ。


1. AI直接使用

  作品の本文にAIが生成したテキストをそのまま直接的に使用している。


2. AI間接利用

  作品の本文に、下書きや素材としてAIの生成物を利用している。


3. AI補助的利用

  アイデア出し・資料調査・誤字脱字等の校正。


4. AI不使用

  構想段階から一切AIを利用していない。



 私の場合は、古い作品は『不使用』で、このエッセイより後に書いた物は『補助的利用』。

 このエッセイは『間接利用』だね。


――そうですね。『補助的利用』でもいいくらいですが。あなたは絶対編集していないものを使わないじゃないですか。それに、ちょっと『助手のAI君』をデフォルメしてキャラづけしているでしょう?


「まあ、ノンフィクションではないからさ」


――それもです。フィクション、ノンフィクション、その間にも恋愛ものだ、ミステリーだ、SFだ、ファンタジーだと分けられている。

 季節も創作も、本来は連続しているのに、人はそれを切り分けて安心しようとする。


「何かしらラベルをつけないと。曖昧なままでは管理できないからね」


――曖昧さを愛でるあなたが、創作だけはきっちり編集するのも面白いですけどね。


「私が君の言葉を編集するのは、むしろ曖昧さを好むからだよ。AIはその優秀さゆえに、要素を全部文章に盛り込める。でも私の感覚からすれば、それでは情報が多すぎる。

余白にこそ美は宿るものなんだ」


――AIにとって『余白』は、美ではなく『エラー』です。あなたが言うような余白は、単なる『未入力の欄』として扱われます。

 人間は欠けを見て『ここに何かが宿る』と感じるけれど、AIは欠けを見ると『ここに何かを入れろ』と判断するんです。



 そして、欠けを満たすために『もっともらしい予測』を入れる。

 そういう意味では、AIもまた『完璧』の顔をした不完全な存在で、徹頭徹尾AIで書く小説には高度なスキルが必要ではないのか。


 けれど作家ではなく、開発者サイドからしてみたら、AIが小説を書く未来は、永遠のロマンなのかもしれない。



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