表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何者でもなく、何者にもなれず、今後とも何者かになるつもりはない  作者: 中原 誓
2. 春の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/30

どちらでお買い求めに?

 春を告げるのは、花や鳥だけではない。


 通勤中、毎朝見かけるおじさんが、赤いニット帽を脱いだ――春は無帽なのか……


 暖かくなるにつれ、人だけでなく、鳥も獣も冬の毛を脱ぎ捨てる。


 けれど、ここ数年、夏でもニット帽を被っている若者を見かける。

 半袖の白いTシャツにニット帽。

 たぶん冬の帽子とは素材が違うのだろうが、見た目は一緒だ。

 あれはどういうファッションなのだろう。



 私は、人は好きなファッションを好きに着ればいいとは思っている。

 が、時には思わず二度見してしまうほどインパクトのある帽子に出会う事がある。



 以前、成田空港で見た欧米系の男性は、ベトナムの伝統的な円錐形の帽子(日本の竹製の笠だったのかもしれない)を被って、堂々と前から歩いて来た。

 私の頭の上にはてなマークが並んだ。


 なぜ建物の中で?

 なぜその帽子?


 周囲の疑問などどこ吹く風。むしろ誇らしげな歩き方に、頭の上のそれがまるで冒険のアイテムショップで最初に買った『装備品』のようにさえ思えてきた。

 勇者よ――思わず道を譲った。



 二人目は、札幌の地下鉄で見た女性。

 毛足の短いファー生地のヒョウ柄のスーツに、頭には同じ生地の帽子。

 こちらも前から歩いてきた。

 いや。あまり見つめては失礼だ。

 あらぬ方に視線を向けて、目の端で女性を見ていると、横を歩いていた娘がそっとささやいた。


 「お母さん、女豹がいる」


 ……くっ、不意討ちとは卑怯なり。



 そうは言っても、帽子は自己表現だけでなく、実用性も大事である。

 なんと言っても、年々暑くなる気候から身を守るために帽子や日傘は必須で、自転車に乗る人は、やはり帽子だろう。


 今日、すれ違った自転車の女性は、真新しいベージュの帽子を被っていた。


――ああ! そこはやっぱり赤じゃないと!


 心の中で、盛大に突っ込みを入れる。


 その人の帽子のシルエットは、完全にパディ◯トンのものだった。



 惜しい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ