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僕は御三家の最高傑作~現代社会の裏側で最強を極める~  作者: 藤水 肇


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7/9

7.初会合


隣の広間にいくと食事会で会った連中と知らないやつ十数名が僕の周りに集まる。


「雅仁様、如月家分家・傘下の家の者が集まりましたのでご挨拶をさせていただきます」


「うん。ありがと」


「いえ、これくらい当然でございます」


集まった者の中の1人が僕に向けての挨拶を取り仕切る。この子優秀じゃん。名前なんだっけ……


「君、名前なんだっけ?」


「水無月賢斗と申します。如月家分家筋筆頭水無月家の嫡男にございます」


「覚えとくよ。僕の派閥のみんなに言っておくけど、うちの派閥のモットーは自由。好き勝手していいけど力がないのは許さないから強くなってね」


「「「「はいっ」」」」


僕の言葉に派閥のものが声を揃えて返事をする。賢斗くんを筆頭に潜在能力が中々良いのもいるし鍛錬を積ませればいいおもちゃになりそう。僕が満足していると人を引き連れた神代と天城が近づいてくる。


「楽しそうだけどさっきのこと忘れてないよね?」


「……おじゃまします」


「忘れたよ。さっきのことなんて。お呼びじゃないから帰ったら?」


「仲良くしようよ。ボクたち御三家の者同士。ボクと風華はもう仲良しだし雅仁くんも加わってよ」


「……仲良くしてくれると嬉しい」


「じゃあ僕が1番上だ。それなら入れてやる」


僕より弱いやつと同格なんてごめんだ。まあ2人ともすでに三位階並の力を得てはいる。この年齢にしては最高クラスの才能だろう。……僕の敵ではないが


「えー。いいよ。雅仁くんが1番強いし如月家は御三家筆頭だしね。風華もいい?」


「……うん。それが1番いいと思う」


2人が同意したことによりこの年代の最大派閥が誕生した。そこに乱入者が入ってくる。


「あらあら御三家の皆さんはマナーを知らないのかしら。こんな真ん中で大勢集まって」


「七曜家ってボクたちの世代にいたんだ。派閥小さくていないと思ったよ」


「なんですって?古いだけが取り柄の御三家さん」


「眼中にないって言ったんだよ。成り上がり者の弱小勢力さん」


割り込んできた少女と神代が言い合う。こいつ誰だよ。いつの間にか隣にいた天城に聞く。


「こいつ誰だ。七曜家なのは分かったが」


「……木崎芽衣。木崎家の長女」


七曜家―異能管理局設立と共に発足した7家。御三家には劣るものの陰陽師界で御三家に次ぐ権力を持つ。


御三家と七曜家の仲は微妙だ。伝統と格式、力を首上とする御三家に対し七曜家は社会の秩序維持を目的とし、必要に応じて政府とも連携する。大人になるにつれて互いに譲歩し、日本を護るが子供のうちは衝突することが多い。


うるさいな。そろそろ黙らせるか。


「うるさいぞ、神代。やるなら僕の見えないところでやれよ」


「だって木崎が絡んでくるんだもん」


「あら先にマナーに欠いたのはそちらでなくて?お初ですね現代最強さん。あまり胡座をかかないことです。その座は私がいただきます」


結構生意気なやつだな。それに戦力差も分からないとは……大丈夫か、こいつ。言い返そうとすると何度目か分からない乱入者が入ってくる。


「芽衣っあんまり失礼なことしないでよ。七曜家全体が敵対してると思われちゃうでしょ?うちの家は融和派なんだから」


「別に失礼なことはしてはいませんわ。失礼というならばあなたが連れている陰陽師もどきの方が失礼ではなくて?陰陽師ではないのですから」


「っ晴翔はちゃんとした陰陽師よ」


木崎が乱入少女の隣の少年に向かって嘲笑しそれを少女が否定する。それで誰なんだ。


「……結城葵。それと七曜家の落ちこぼれって言われてる結城晴翔」


僕が聞く前に天城が答える。こいつも使えるな。それに何か面白い情報を言ったな。


「落ちこぼれ?」


「うん。妖力量は4級、固有術式もない」


天城がそういうと、結城葵がこっちにも突っかかってくる。


「天城さん。訂正して。落ちこぼれでもないから」


「葵、僕は大丈夫だから落ち着いて」


興奮する結城葵を晴翔がなだめる。なんか面倒になってきたな。


「晴翔も言い返しなさい。悔しくないの?」


「僕が落ちこぼれなのは本当だから……」


「また、そんなこと言って」


「ふんっ心掛けだけは立派ですね」


「七曜家って誰でもなれるんだ」


「外野は黙ってて」



「うるさい。黙れ」


妖力を込めた声で言葉を発する。広間を沈黙が支配した。これで静かになったな。それにしてもほとんどのやつが怯んだのにたいしてこの結城晴翔はびびりながらも結城葵を守るように真っ直ぐ僕の眼を見てきた。これが落ちこぼれかよ……その事実に笑いそうになるのを堪え言葉を紡ぐ。


「言い合うな。見苦しい。下の連中が萎縮しちゃうじゃん。交流会ぐらい仲良くしろよ」


「……雅仁くんのいう通り。仲良くできないなら分かれて楽しむべき……」


「……分かりましたわ。行きますよ」


「葵、僕たちも行こう」


「ええ。ではこれで失礼します」


七曜の二家が別々に去っていく。


「ごめんね、2人とも熱くなっちゃって」


「……大丈夫。朱莉ちゃんが熱くなるのはいつものことだから」


「気にしてない」


「2人とも優しい〜。みんなもごめんね。これから楽しもー。いえーい」


神代の掛け声で御三家派閥の雰囲気が明るくなる。その空気を冷めさせないために神代がジュースに入ったグラスを掲げるのを見て自身のグラスも掲げる。天城もそれに続き、派閥全員がグラスを掲げる。


「じゃあ雅仁くん、掛け声よろしく。代表として」


「乾杯」


「かんぱーい」


「……乾杯」


「「「「乾杯」」」」


乾杯の声とともに、グラスが軽く触れ合う澄んだ音が広間に広がった。さっきまでの緊張が嘘みたいに、空気は和やかになる。神代は早速分家連中と騒ぎ始め、天城は静かに周囲を観察している。賢斗は自然と僕の隣に立ち、さりげなく周囲への牽制を怠らない。


やっぱり優秀だな、こいつ。


「雅仁様、七曜家との関係はあの程度でよろしかったのですか?」


「問題ないよ。子供の喧嘩だ。目くじらを立てるほどじゃあない」


「……ですが、木崎芽衣は相当な実力者と聞いております」


「ああ。妖力量は2級クラス。ちょっと覗いてみたけど術式の練度も高いっぽいね。神代と天城といい勝負かな」


賢斗がわずかに目を見開く。

 

「あの短時間で誰にも悟られずに『鑑定』なされたんですか」


「うん。術式の内容までは見なかったけどね。見たら楽しめなくなるし」


とはいえ――

僕の脳裏に浮かぶのは別の顔だった。結城晴翔。御三家最高傑作の僕と対をなす七曜家の落ちこぼれ。なのに、あの目。あれは弱者の目じゃない。


「……面白い」


「どうなさいましたか」


「いや、独り言」


そのとき、広間の奥で微かな妖力の揺らぎを感じた。

ほんの一瞬。けれど、確実に“異質”。 

 

「天城」


「……感じた?」


「ああ」


二人の視線が自然と交差する。神代はまだ気付いていない。派閥連中も談笑中だ。妖力の質が妙だ。この場にいる誰とも違う。外部?いや、この局内には強力な結界が張られており、局内に入れる存在は限られている。


次の瞬間。ぱりん、と高い音を立てて、広間中央のシャンデリアがひび割れた。


「っ!?」


悲鳴が上がる。


僕は反射的に術式を展開する。落下してくる無数のガラス片。それを空中で静止させた。


「騒ぐな」


一言で空気を制圧する。ガラスは宙に浮いたまま。天城が素早く周囲に結界を張り、神代が派閥のものを守るように前に出る。悪くない動きだ。


「誰だ」


僕は広間の奥へ視線を向ける。暗がりから、ひとつの影が現れた。黒装束。仮面。この場の誰でもない。


「御三家の次代が揃っているとは。好都合だ」


低い声。刺客か。こんな子供の交流会を襲うとは大胆だな。隣に大人たちが揃っているというのに……。いや、この段階で助けに来ないということは向こうも襲撃されているか、何か他の理由でこの広間に来れないかだな。それにしても舐められたものだ。1人でくるとはな。


「下がってろ」


僕は派閥全員に告げる。


「雅仁様、お一人で!?」


「当然だろ」


こんなのに手間取るほど落ちてない。刺客が印を結ぶ。瞬間、床から無数の黒い手が伸びる。こいつの術式か。


「くだらない」


僕は軽く足を踏み鳴らす。衝撃波のように妖力が広がり、黒い手を霧散させた。広間の空気が震える。刺客が一瞬、怯む。その隙を逃さない。


一歩。距離を詰める。速さに反応できていない。喉元へ手刀を――


その直前。横から別の術式が飛んできた。




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