表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
4/5

シスコンお兄ちゃん登場⁉ 

第四話始まり始まりーー

エルバート公爵家の長男であり、私の唯一の兄であるヨハン・エルバート。

彼は、まばゆい銀髪に知的な眼鏡をかけた、非の打ち所がない秀才だ。そして何を隠そう、彼も乙女ゲーム『光の聖女』のメイン攻略対象の一人である。


ゲームでの彼は、とにかく私――ラナのことを「我が儘で身勝手な妹」と冷ややかに見つめ、最終的には特待生として入学してくるヒロインのルシアに恋を落とす。そして、ルシアをいじめる私を完全に嫌いになり、最後には実の妹である私を容赦なく見捨てるのだ。


(そう、お兄様は今は過保護だけど、最終的には私を嫌う裏切りフラグの塊なのよ……!)


だからこそ、私は彼とも適切な距離を保ち、絶対に嫌われないように、かつ執着されないように立ち回らなければならない。


そんなある日の午後、私が廊下を歩いていると、向こうから本を抱えたお兄様がやってきた。


「やあ、ラナ。今日も一段と可愛いね。どこへ行くんだい?」


お兄様はふわりと優しい笑みを浮かべ、私の頭を撫でようと手を伸ばしてくる。

これまでのラナなら「うるさいわね!」と手を跳ね除けていたところだが、今の私は違う。生存がかかっているのだ。


(ひえええ、お兄様! 近い、近いです! 未来の敵にはとにかく礼儀正しく、粗相のないようにしなきゃ!)


私は一歩すっと後ろに下がり、お兄様の手を綺麗にかわしながら、完璧な角度で淑女のカーテシーを決めた。


「ごきげんよう、ヨハンお兄様。私は少し、お庭の散策へ行こうと思いまして。お兄様はお勉強でお忙しいのでしょう? 私のような我が儘に構って、大切なお時間を無駄にしては申し訳ありませんわ」


できるだけおっとりと、しかし「私はあなたのお邪魔をしませんので、どうぞお気になさらず」というニュアンスを込めて微笑む。


「お兄様のお邪魔をしては心苦しいですから、私はこれにて失礼いたしますね。どうぞお身体にはお気をつけくださいませ」


よし、完璧!

嫌われる要素ゼロ、すり寄る要素もゼロの素晴らしい大人の対応!

私はそのまま、おっとりとした動作を崩さないまま、しかし足早にその場を立ち去った。


「ふぅ……! よし、お兄様への挨拶も粗相なし! これで将来見捨てられる確率が数パーセントは下がったはずよ!」


庭へ続く扉の向こうで、私はガッツポーズをしながら小さく息を吐いた。


一方、誰もいない廊下に取り残されたヨハンは――。


「……っ!」


自分の胸を強く押さえ、激しい衝撃に震えていた。

いつもならツンツンと怒鳴るか無視してくるはずの妹が、見たこともないほど上品で美しい礼をして、しかも自分の体調や時間を気遣って身を引いたのだ。


(ラナが、僕のためにあえて遠慮して、自分から身を引いた……!? なんて健気で、愛らしいんだ……!)


ヨハンの眼鏡の奥の瞳が、これまでにないほど熱く燃え上がる。


(ああ、無理をさせてしまっている。僕がもっと頼りないから、ラナにそんな気を遣わせてしまうんだね。待っていなさいラナ、お兄様がもっと君を甘やかして、何不自由ないように守ってあげるからね……!)


ラナが「将来嫌われないための防衛策」として放った塩対応は、過保護なお兄様のシスコン魂に完全な爆油を注いでしまっていたのだった。

お兄ちゃん登場どうでしたか?なんとお兄ちゃんも攻略対象!これからどうなっていくのか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ