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南極の氷が解けるとき、魔法は名前を失った  作者: つのん。
第一章 氷の下の記憶

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第14話 許しの棚

「はい」と彼女が言った後、広間は長く音を持たなかった。私もまた、長く問わなかった。問うべき次の言葉が、私の中で一旦揃わなくなっていた。


揃わない代わりに、私の目は、柱の根元と、床の文様の沈み込みと、机の半端な一文字を何度か行き来した。老女の井戸端も、孫娘の布の角も、書記の半端な一文字ももう別々の場面ではない。それらはすべて、この広間の床の沈み込みと同じ時刻に止められていた。


止められた。私の中で、その言葉が初めて自分の口に乗った。その瞬間、喉の奥がまた一段、塞がった。塞がった喉で私は再び声を出した。


---


「あなたは」


声は、自分でも低かった。


「あの時、本当に止めると思っていたのですか」


魔女の視線は、私の問いを越えて、床の線の上に落ちた。


答える前に、彼女の右手の爪の白さが、手のひらの陰に沈んだ。


その白さは今私が見ているこの広間の柱の白い線と、似ていた。


似ていることを、私がまだ整理しきれないまま彼女は言った。


「私は」


声は静かだった。


「止めることしか、知りませんでした」


「止めるという形しか、私の中には用意されていませんでした」


「他の形は」


問うた。


「考えなかったのですか」


「考えなかったというのは違います」


魔女は静かに首を振った。


「他の形があるかもしれないと思った瞬間に私はその思いを自分の中の別の場所へ押しました」


「押した先でその思いはもう私の口の方には戻りませんでした」


「それは」


私の声は少し尖った。


「考えなかった、と同じことです」


広間の壁を、結露が一滴だけ伝った。


その音の後で彼女は自分の左の指先を、右手の陰と同じ角度で、内側へ折った。


両方の指先が同じ角度で折れた手のひらは、岸辺の亀裂で開いたあの手の、ちょうど逆の姿をしていた。


開く形と、折る形。


その二つを彼女は自分の中でずっと持っていた。


開く形を選んだ夜が、ある。


折る形を選んだ夜が、ある。


折る形を選んだ夜の方が、最後には残ったのだ、と、その手は今私に告げていた。


---


私はその時、自分の口の方がわずかに乾いていることに気づいた。


乾いた口で私は次の問いを置いた。


「あなたは」


「また、同じことをしたのですね」


魔女はその問いの位置で、初めて私を見た。


私の指が、防寒具の端を、外側からつかんでいた。つかんでいることに気づくまでしばらくかかった。気づいてからもすぐにはほどけなかった。


私はその視線にすぐには応えられなかった。


応える前に、私の記憶が、岸辺の亀裂の方角へ、一度、戻った。


地下の岩の縁で、最初に開かれた、あの手のひら。その先に、私の身体は、半ば、落ちていた。


落ちていた私を、受け止めたのではない。開いたその手が、落ちる先を決めていた。落ちることそのものを決めたのが、その手だったということを私はその日まではっきりとは自分で並べていなかった。並べたのは、今初めてだった。


並べた瞬間、私の声は、自分でも震えた。


問い直したい言葉は、いくつか、喉まで上がりかけた。


しかし、そのどれも、その日、私の口からは、出なかった。


出さないまま私は目の前の魔女に、異なる角度の沈黙を、差し出した。


魔女もまた、その沈黙の角度を、急がせなかった。


---


しばらく私は何も言えなかった。


言えない時間の中で私は自分の弟の支度の手の方を、思い出していた。


弟は火山の方へ、行こうとしていた。


火山の縁で、まだ誰の方角からも、線の引かれていない場所に、行こうとしていた。


私は弟の支度の手ばかりを見ていた。


顔を見れば、別の言葉を選ばなければならなくなる。


だから私は手元だけを見ていた。


弟の顔の方には、視線を伏せていた。


伏せたまま私は弟に向けて、「届かない」と言った。


「届かない」と言った時、私の中の、本当の続きの言葉は、まだ口の中には、出ていなかった。


口の中に出ていなかった言葉を、その夜、最後まで、口にはしなかった。


口にはしなかった代わりに私は別の言葉だけを、弟に向けて、置いた。


置いた言葉は、私の中で確かに止めるための言葉だった。


止めるための言葉は、止めるという形そのものを、私の中に、その夜、立たせた。


立てた形の中に、今目の前の魔女の、止めるというありさまが、ぴたりと重なった。


重なったところで私は一旦目を閉じた。


閉じた目の中で私は二つの止めるが、同じ形をしていることを、認めた。


認めたくはなかった。


しかし、認めないという選択肢の方がもう私には残されていなかった。


---


目を開ける。魔女はまだ、両方の指先を、内側へ折ったままだった。


折れた指先の白さは、岸辺の亀裂で見たあの白さよりも、さらに深くなっていた。


「あなたの事情を」


私は言った。


「私はたぶん分かりかけています」


「兄上たちを止めようとしたあなたが止めるという形しか、自分の中に持っていなかったことを」


「私自身も止めるという形しか、あの夜、自分の中に持っていませんでした」


魔女の指先は、その言葉の上で、一度、震えた。


震えた指の動きを彼女は自分の手の中ではもう隠せなかった。


「けれど」


私は声を続けた。


「その分かったものを許しの棚へは置きません」


魔女は私の方を見なかった。


見ないまま彼女は小さく頷いた。


「あなたが」


魔女は低く言った。


「分かると言ってくださったことを私は許しの代わりに受け取りません」


「受け取れば、私はまた、止めるという形で自分の罪を別の形に置き換えてしまいます」


その一言を、その場で、否定しなかった。


否定する代わりに私は自分の指先の折れ方を、初めてはっきりと見た。


見たまましばらく私はそれを伸ばさなかった。


伸ばす形を、まだ自分の中に、持っていなかった。


---


広間の冷え方が、いつの間にかわずかに緩んでいた。緩んでいたのは外の温度ではなく、私の喉の奥の方だった。


そこに、止めるではない言葉の輪郭だけが立ち上がりかけた。私はまだそれを口にしなかった。信じれば、岸辺の亀裂で開かれたあの手と、同じ角度に、私自身が立つということだった。


その問いを私はまだ引き受けられなかった。私はその時、まだ届けるという言葉を、信じていなかった。


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