第九話 赤城VS逆瀬
「対人戦闘訓練第一戦、赤城桃也VS逆瀬竜馬。試合開始!」
その声と同時に赤城は逆瀬に向かって走り出した。
きっとこの戦いは、どんなギフトかを気づかれる前に決着をつけるのが最善なはず!
「疾脚・青!」
一気に近づいて…!脚にある力を腕に…!
赤城が近づいてきたことで、逆瀬は腰を落とし、腕を構えて防御の姿勢を取った。
「打撃・桃!」
そんなことは気にせず赤城は逆瀬に近づき数発胴体に叩き込む。
それを食らって逆瀬は少しよろけるが、攻撃の間を狙い、赤城に反撃する。
「ぐっ…!」
「おいおいどうした!!そんなんじゃ俺は倒れないぜ!」
余裕そうだな!ていうか、今朝戦った傀儡なんかとは比べ物にならないくらい硬え!
でもあいつがこっちに攻撃をしに来ないってことは、多分機動力に自信がないんだ。それに構えも隙だらけだし反撃も軽い。攻撃し続けていればいずれは倒れるはず!
赤城は再び打撃・桃から疾脚・青に切り替え、今度は逆瀬の後ろに回り込む。
逆瀬の体勢が先ほど変わらないのを確認し、同じように攻撃に向かう赤城。
しかし、赤城は攻撃している最中に何かを感じる。
なんか不自然じゃないか?自分が反応できなかった攻撃に対策をしない?それに隙をわざと見せて…まるで攻撃を《《誘っている》》ような…?
まさかこいつのギフトは…!
赤城が気づいた時には時すでに遅かった。
にやりと逆瀬が笑うと、
「反撃ォォ!」
ギフトの正体に気づいた動揺によって生まれた攻撃の間にできた隙に逆瀬はカウンターを決める。
「うわぁぁぁっ!」
それをまともに食らってしまった赤城は10メートルほど離れたところの岩までふっ飛ばされてしまった。
さっきより威力が上がってる…!
やっぱりあいつのギフトはきっと、食らった攻撃によって、自身のパワーを上げて反撃するとかそんな感じだ…!
さっきの隙だらけの体勢は俺を攻撃させるためのトラップだったんだ…!
そう、逆瀬のギフトは『受傷蓄積』。
発動してから解除するまでの間、受けた衝撃を蓄積し続け、その蓄積された衝撃を自身の攻撃力に変えるというギフトだ。
「どうしたどうした!!そんな一発の攻撃で動けなくなっちまうのかよ!!そっちが来ないならこっちからいくぜ!!」
赤城に向かってくる逆瀬。そして赤城に殴りかかる。
しかし赤城は間一髪でギフトを発動し、攻撃をかわす。
一方その頃、
「赤城、負けちゃうかな…?」
その試合を観ていた不知火が小さな声でつぶやく。
「今のままじゃ負けるだろうね…。もし仮にどんなギフトか気づいていたとしても、そもそもとしての相性がよくないからね。」
棘野が不知火に言う。
するとほかの生徒たちの声が大きくなる。
「あいつ別に強くないんじゃね?」
「編入って言ってたから狐白みたいなやつかと思ったら全然雑魚じゃん。」
「相性が悪いとは言ってもだよね…」
それはほとんどが赤城をバカにしているような声がほとんどだった。
「オラオラァッ!逃げてばっかじゃ俺を倒せねえぜ!根性見せてこいや!!!」
逆瀬の攻撃を赤城はなんとかかわすが、もらった一発が大きく、さらに連続で攻撃し続けてくることによって立て直す隙も与えてもらえない状況であった。
くっそ!このままだとジリ貧でやられる…!なんとか…なんとか立て直すタイミングを作り出さないと…!
相手を一瞬でも怯ませる方法…ハッ!
これにかけるしかない!
「射撃・黄!」
「うっ!」
赤城は、射撃・黄を顔めがけて放った。
その一撃は逆瀬を怯ませる。その隙に赤城は距離を取り、呼吸を整える。
「フゥーフゥ…」
体力的にもそろそろ限界だ…!ならここで倒すしかない!でも俺の今の力じゃあいつを倒すことはできない…
だからといって攻撃し続けると返しの攻撃の威力がバカにならない…!一体どうすればいいんだ…!
「!!」
その時赤城が何かを閃く。
すると赤城は逆瀬に駆け出していった。
そのスピードは今までと比べ全然遅く、最初の速さにはついていけなかった逆瀬も余裕で反撃できるスピードだった。
「なんだそのスピードは!こんなのカウンターするまでもねぇ!一撃で仕留めてやるよ!」
逆瀬が大きく振り被り足を大きく開く。それは本気で攻撃するときのモーションであった。
「反撃!!!」
そう!その攻撃を待っていた!
赤城は食らう寸前に斜め上に飛び上がった。
「何!?」
反撃は通常攻撃とは桁違いの威力の攻撃だって、さっき食らった攻撃と連打で分かっていた!
でもその分隙がある!俺が飛び上がってこいつの後ろに回り込める程の、デカい隙がな!
「まだまだぁ!」
逆瀬は赤城が着地してすぐにもう一度攻撃を繰り出す。
「反撃!!!」
しかしその腕を振ったところには、誰も、何もなかった。
「後ろだぜ逆瀬!」
赤城が声を上げる。
赤城は、逆瀬がこちらを向く瞬間に姿勢を低くし、逆瀬の大きく空いた足の間をくぐり後ろに回っていたのだ。
「来いよ赤城!お前の攻撃を耐えて俺が勝つ!」
逆瀬は反撃は不可能と判断し、攻撃を受け切る体勢に変えた。
今俺が両腕で使えるのは10パーセントの力だ。でもそれじゃあこいつは倒せない!ならば一か八か、チャレンジするしかない!
すると赤城の打撃・桃を発動したことによって両腕に纏われた輝きが、右腕に集まっていく。
「うおぉりぁぁぁぁ!!!」
「な、なんだ!?さっきよりも威力が上がって!?」
赤城の連打を食らい、逆瀬はそれに耐えきれず吹っ飛ばされる。
逆瀬が動揺しながら赤城に問う。
「お前…この短時間で自分の体に何をしたんだ!?」
「10パーセントの力じゃ、お前は倒せなかった…。でも…両腕で10パーセントなら…片腕にその力を収束すれば、10プラス10で、20パーセントになるだろ。したのはただそれだけだ。」
「瞬間的にそれを思いつくのかよ…凄えな…」
ガクン。
逆瀬はそうつぶやいた途端、意識を失ってしまった。
「やっぱりダメージ自体はあったんだな…数撃ちゃ勝てるのは間違ってなかったみたいだな…ふぅ…危なかった…」
するとモニターに映った何かが赤城の目に入る。
『WINNER 赤城桃也』
と言う文字が。
「よっしゃ…!」




