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第八話 戦闘訓練

「「「「ええー!」」」」


教室中から一斉に驚きの声が上がる。


「実践戦闘って……俺、今日初めて授業受けるんだけど?」


「赤城、運が悪かったね」


「いや不知火、他人事みたいに言うなよ……」


そんな俺たちをよそに、道野先生は黒板に大きく文字を書き始めた。


『対人模擬戦』


「今日の授業では、皆さんに実際にギフトを使って戦ってもらいます!」


「マジかよ……」


そうすると細身の男性が教室に入ってきた。


「私は戦闘訓練担当の堺境《さかいきょう》です。今日からの戦闘訓練の際は私が担当しますのでよろしくお願いします。」


そう言って堺は教卓の前に立った。


「では…まず皆さんに質問です。」

「皆さんは何のためにギフトを使いますか?」


「…傀儡を倒すため?」


教室の誰かが言う。


「その通りです。」


堺は頷いた。


「皆さんも知っている通り、この世界には『傀儡』という人に危害を加える敵が存在します。」


先生は黒板に新しく文字を書いた。


『傀儡との戦闘』


「だからこそ、ギフトを持っているだけでは意味がありません」


チョークが止まる。


「必要なのは、自分のギフトを理解し、状況に応じて使いこなす力です。」


「……」


「そして、そのために行うのが――」


堺が『対人模擬戦』を指差した。


「この授業です。」


「でも、なんで人間同士で?」


赤城が手を挙げる。


「傀儡と戦うなら、傀儡と戦ったほうがいいんじゃないですか?」


「いい質問ですね、赤城君。」


堺先生は笑った。


「傀儡は、人間と同じように戦ってくれるとは限りません。特に君はよくわかっているでしょう。」


「確かに…」


「だからこそ、まずは人間同士で戦い、自分のギフトを戦闘で使う経験を積むんです。」


そう言って、先生は教室の壁へ手を伸ばした。


「それに――」


先生の指先が壁に触れる。


「安全に戦える場所も必要でしょう?」


――ズズズズズッ。


「え?」


突然、教室が揺れた。


壁が横へ動き始める。

窓が消え、床が広がり、天井が一気に高くなっていく。

机や椅子は壁の中へ吸い込まれるように消えていった。


「うわっ!?」


「教室が変わってる!」


数秒後。


そこにあったのは、先ほどまでの教室ではなかった。


巨大な空間。


壁にはいくつもの柱が並び、所々に遮蔽物まで配置されている、まるで闘技場のような空間であった。


「これが……先生のギフト?」


不知火が呟く。


「はい。」


堺先生は頷いた。


「私のギフト――『空間改変《トリックルーム》』です」


先生が手を軽く動かす。


すると、遠くにあった壁が一瞬で目の前まで移動した。


「この教室のような構造の部屋のみに限定されますが、この空間の形状、広さ、構造……そのほとんどを自由に変更できます。」


「すげぇ……」


赤城が思わず声を漏らす。


「この場所は、皆さんが安全にギフトを使えるように作った模擬戦場です。」


堺先生が俺たちを見渡す。


「ここなら、多少派手な攻撃をしても周囲の被害を気にする必要はありません。」


そして先生は、真剣な表情になった。


「ですが、勘違いしないでください。」


「……?」


「これは遊びではありません。」


空気が一気に引き締まる。


「皆さんがいつか戦う相手は、実際に人を襲う傀儡です。」


「戦場では、自分のギフトを使いこなせなければ、自分だけでなく仲間まで危険に晒すことになる可能性があります。それを忘れないようにしましょう。」


「だから今日、徹底的に戦ってもらいます。」


ただ戦うだけじゃない…ギフトの制御、地形の利用、これらを両立しなきゃいけないってことか…!


堺が再びギフトを発動すると、俺たちの前に巨大なモニターが現れた。


そこには


『第一戦目 赤城桃也VS逆瀬龍馬《さかせりょうま》』


と言う文字があった。


「それでは、この2人以外は私についてきてください。観戦席で試合を観戦しましょう。」


その後、堺は、生徒たちと安全な位置へ移動した。


すると逆瀬が猛スピードで赤城に近づき声をかけにいった。


「お前編入生の赤城だよな?俺は逆瀬竜馬!昨日は挨拶できなかったから、これからよろしくな!」


「ああ。改めて、俺は赤城桃也。よろしくな。」


こいつ結構グイグイくるタイプなのか…?いやなんかそんな感じの見た目してるけど…いやいや!このご時世にそんなことは言わないほうがいいか。


「初めての対人戦緊張するな〜!根性出していこうぜ!赤城!ところでお前のギフトってどんなのなんだ?」


「俺のギフト?俺のギフトは…」


いやまて!これは情報を引き出すための罠!こいつ…人畜無害みたいな顔してるくせに結構姑息だな…


「今は秘密だ。傀儡がもしギフトを持ってたりしたら教えてくれたりしないだろ?戦いを通して理解理解していこうぜ。」


「確かに!」


するとどこからか堺の声がした。


「それではルールを説明します。基本は、

・どちらかが降参する

・どちらかが気絶など、戦闘不能になった

・こちらが止めるべきと判断した

このどちらかが満たされたときに勝敗が決定します。ちなみに赤城君。君は知らないかもしれませんが、一学期、ここでの成績上位3名は、討傀隊に3ヶ月間の入隊が可能になります。なので…本気で取り組むように。では位置についてください。」


そうして赤城と逆瀬が距離をとる。


「対人戦闘訓練第一戦、赤城桃也VS逆瀬竜馬。試合開始!」


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