表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
那尻大輔は特務官である ─サイバーファンタジーの来訪者と本気出します─  作者: 南田華南


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

第五話 双子の魔法使いは、語りかける

 那尻大輔は、六本毘ヒルズへ向かうタクシーの中にいた。

 同乗している異世界の双子から、強烈な異臭が漂っている。


 那尻は呼吸を制限し、激しい悪臭に耐えていた。


「私は、レナ・エッティンガー。隣に座るのが姉のシュリーナだ。

 父をハメた『銀色の拳銃』の男と『多魔手箱タマテバコ』を探しているッ!!」


 いきなり何言っている。俺の背中を蹴り、ちゃっかり乗りやがって──


 そんな俺を無視し、レナはさらに喋り続けた。


「あれは10年前のことなのだ。父のジャック・エッティンガーは人工知能の

 研究者だった。数学者である母ミオナと共に、魔法のアルゴリズムを

 自動で見つけるAIを開発した。両親の目的は、魔法の普及にあった」


 魔法のアルゴリズム? なんだそれ? 


「だが、ある日、私たちの家に東京という異世界の都市から来た男が

 現れた。男は誰もが平等に魔法が使える世界にしたいと両親を説得し、

 契約を結ばないかと言ってきた。父と母は、男を信用してしまった」


 すると突如レナの目がうるんだ。過去のことを思い出し、感極まったのだ。


「私たちの星、ヴァドールでは魔法を発動する際に脳内で計算する必要がある。

 魔素細菌マナ・バクテリアが計算式をエネルギーにするのだ。事故や病気で障害を持つ者は

 魔法が使えない。父と母は、魔法生成AI『多魔手箱タマテバコ』を開発したのだ」


 うっ・・・こいつ、口も臭くて目まいがしそうだ・・・。


「東京から来た男は、超少子高齢社会の日本では様々な問題が起きていると

 説明した。技術が遅れ、ロボットを動かすAIも作れないと言われた父は、

 東京に行くと決めたのだ。そして出発前夜、悲劇が起きたのだッ!!」


 あ、あ・・・ダメだ・・・もう意識が──


 レナが感情的に話していると、彼女に頭を掴まれ、口臭を直に浴びせられた

 那尻は白目をむいたまま、口から泡を出して気を失った。


 それを見たレナは、青ざめた顔で那尻に向かって叫んだ。


「ナ、ナニィイイッ!!」


 レナが那尻の体を激しく揺さぶり、反応を見る。

 やがてシュリーナが、深刻な表情で話しだした。


「間違いないわ・・・『敵』が攻撃したようね」

「ま、まさか・・・この運転手かッ!!」

「レナ、後ろの車を見なさい。ずっと私たちの後を付けている。

 あれは『銀色の拳銃』を持つ男が仕向けた『追手』ッ!!」


 レナは血相を変えて、後ろの車を凝視した。そこにいたのは、優しそうな

 男の運転手。後部座席で子供たちに楽しそうに話しかけている、茶髪の女性。

 どう見ても、休日の微笑ましい親子連れにしか見えない。


姉者アネジャッ!! 敵は、敵は一体誰なんだッ!?」

「『全員』よ。敵は、私たちに親子連れと思わせる『電磁波』を

 照射したと見て、間違いないわ」


 レナは信じられないと驚きながら、姉の意見に賛同した。


「ナニィィイッ!! じゃあ那尻も、脳に攻撃を受けたというのかッ!!」

「ええ。さっきから私が『波動』を操作し、敵の電磁波を探っているけど、

 なぜか反応しないのよ。おそらく超高度な妨害電波を使っているわね」


 運転手が謎の会話をする姉妹に話しかけた。


「お客さん、そろそろ目的地に着きますけど、料金はどちらが払うんですか?」


 シュリーナは、ニッコリと微笑み、運転手に告げた。


「父です。着いたら父に請求してください」


 数分後、タクシーが止まった。

 ドアが開くと同時に、レナとシュリーナは即座に飛び出す。

 気絶した那尻は、運転手に何度も呼ばれてようやく目を覚ました。


 ──場所は変わり、六本毘ヒルズの路地裏。そこでは『決闘』が行われていた。

 金髪のホスト風の青年が、赤髪と青髪の『双子の異世界人』に怒鳴りつけた。


「ふざけんなッ!! 売掛金払えやッ!!」


 青髪サイドテールの少女は笑いながら挑発した。


「キャハハハッ!! テメェが『寄付』したんだろうがァ!!」


 隣に立つ赤髪ツーサイドアップの少女は、男に告げる。


「口約束なんて、うちらの国じゃ誰も守らねぇぜ?」


 その発言を聞いたホストは両手をかざした。地面の小石がふわりと宙に浮いた。

 彼は、27年前の『異変』を機に、超常の力に目覚めた『覚醒者』だった。


「分からせてやるッ!! 斥力加速リパルシブ・バーストッ!!」


 男の周囲の小石が、不可視の反発力で弾丸のように射出される。

 同時に、反動によって路上がきしむ。


 青髪の少女は、右手で弧を描きながら叫んだ。


異元粉末マジェスティック・パウダーッ!!」


 白い粉が周囲の空間に広がる。すかさず、赤髪の少女も魔法名を叫んだ。


超凝結スーパーコンデンセイションッ!!」


 細菌の放つ高周波の電場が、摩擦熱を抑えつつ、魔法の粉と水分子を

 高速配列させ、グルテンの架橋を形成した。


 黄金色のグルテンの壁が、男の放った石の弾雨をすべて弾き返す。


「ウギァアアッ!!」


 男は弾力で加速した石を全身に浴び、力尽きるように倒れた。


「キャハハハッ! よっわぁ!!」

「ウリカケとか、卵かけとかよぉ・・・この国のヤツらはァ!

 何でもカケたがるなぁッ!!」


 二人は高笑いし、男の顔に唾をかけ始めた。メドラー姉妹──異世界でも

 犯罪行為を繰り返す極悪の双子が、平和を脅かしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ