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14 戻らない
ズレはもう固定される。
遅れではなく、状態になる。
紫ははっきり遅れる
でも、それはもう“遅れ”として扱われない。
最初からそういう動きだったみたいに、
そのまま続いていく。
戻らない。
そのままズレたまま続く。
モニター。
>今日なんか違う?
>いや良くなってる
>前より揃ってる気がする
>分かんないけどいい
ズレは、指摘されない。
むしろ、肯定されていく。
観客の認識さえ、ズレを“進化”として受け入れ始める。
違和感は、評価に置き換えられる。
ミナはそれを見ている。
おかしいと思う。
けれど、それを言葉にする前に、
どこかで納得してしまいそうになる。
ミナの頭に、一瞬だけ「アカネ」が浮かぶ。
名前。
人。
すぐに「赤」に上書きされる。
色。
役割。
戻らない。
もう最初には戻れない。




