銭湯って適当
銭湯ってなかなか適当な所である。
僕が初めの頃に驚いたのが、番台から浴場が丸見えの銭湯が結構あるということだった。つまり、丸裸の状態を番台のおばちゃんに見られてしまうということなのだ。最初の頃は勘弁してくれよと思っていたのだが、おばちゃんの方は普段から余りにも見慣れているせいか何食わぬ顔をしている。というか、よくよく考えてみると浴場から出てきた丸裸の状態も番台から普通に見えるので、おばちゃん達は男のあれを見てももはや何も感じなくなっているのだろう。
銭湯に来ている人も適当な人が多い。まだ夏の暑さが残っている頃だったが、銭湯から上がって飲み物を飲みながら涼んでいると、僕のとなりでも上裸のおっちゃんがタオルで汗を拭いていた。しばらく2人で並んでテレビを見ていたのだが、ふとおっちゃんは「いい湯だったわ!ありがとな!」みたいなことを番台に向かって言うと、そのまま出て行った。そう、上裸のままである。
いやいや、さすがにタンクトップか何か着ろよ、と思ったのだが、番台のおばちゃんも驚いた様子はなかったので、いつもの事なのだろう。
浴場に入ってみたら、割と大きな音で演歌が流れていたこともあった。僕の前から入っていたおっさんは、気持ちよさそうに演歌を歌いながら体を洗っていた。
最初は違和感があったのだが、慣れてくるとこれがなかなか良くて、僕も歌いたくなった(歌わなかったけど)。
銭湯と演歌って、もしかしたら相性がいいのかもしれない。
でも適当なおかげでいい所もいっぱいある。お客さんは番台のおばちゃんと仲がいい人が多くて、いつも楽しそうな声が聞こえてくる。僕は別に知り合いではないのだが、その会話を何となく聞きながら涼んでいると、心が和んでくる感覚がある。
壁に貼ってあるポスターなんかも古いのばっかりで、いつの情報だよと言いたくなるのが多いけれど、まあ最新の情報が知りたいならネットを見れば良いわけだし、昔はこんなイベントあったんだなあみたいな感覚で眺めていると結構面白い。
今となっては珍しい身長計が置いてある銭湯もある。プラスチックのやつではなくて、木で出来た頑丈そうなやつである。体重計はよくあるけれど、銭湯で身長測りたい人なんているかね、と思ってしまうけど、昔は親子連れで来て子供の身長を測っていたということなんだろうか。久しぶりに身長を測るのも悪くないか、と思ったのだが周囲の目もあるし結局測らなかった。




