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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
身辺整理編

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350/363

立場的に私の傘下は嫌よね

 

 リューメイ魔導具店まで歩いて向かった。道中王妃と歩くジャージの女に王都民が謎の視線を向けていたが、王妃は気にせずお勧めのお店を教えてくれたり雑談をした。

 オレイドス家に寄った時は、セイランママが王妃と目で会話して、急いで用事を終わらせるから城に集合という事になった。セイランは帝国に送りましたよーと言ったら凄い目で首を横に振って今言うなって気を送られた。

 ふっ、ノースギアに行っていたのは秘密だったのかしらね。


「これはこれは王妃様、ルクナちゃんと一緒に来られるなんて嬉しいです」

「ここの納品に行くと言うから付いてきたけれど、都合が悪いのなら席を外す」


「いえいえ、王妃様に同席して戴けた取引は必ず良いものになります。どうぞこちらへ」


 奥の商談室でいつもの品を出して、その場でウルさんが鑑定をして査定額を提示しサインをして終わりという流れだが、王妃は間の席に座って商品を吟味していた。


「ウルさん、王妃様が気に入った品はこの場で買われるそうなので取っておいて下さいね」

「もちろんですよ。王妃様御用達の店になれるよう頑張ります」

「すまない、こうでもしないとここには来られない。全く、決まった所からしか買えないのは苦労する……」


「あーだからアルセイアのアクセサリーが悪趣味だったんですね。侍女さんに言ってくれません? ルクナの装飾品使えって」

「王族御用達は狭き門だから大変なのよ。貴女みたいなぶっ飛んだ職人が出て来ても簡単に買えないの。ちょっと違うだけで貴族から責められる身にもなりなさい」


「いーやーでーすーアルセイアは別ですー。ここで爆買いしたって言いふらしますよー」

「そんなに買わないっ、直接取引が嫌だって言うから来たのっ! じゃあアルセイアは良くてなんで私は駄目なのよっ!」


「アルセイアには売っていませんよ。全部あげています」

「なぁんですっってえぇぇっ!!」


 怒んなよ。

 昔からあげてんだよ。

 拙い作品の時代から受け取って大事にしてくれてんだ。アルセイアのお蔭で上達したんだからただであげても良い価値があんだよ。

 セイルーラだってプレゼントしているんだから察してくれよ。ウルさん困ってんじゃん。


「だってアルセイアの事が大好きなんですもん。私、尽くす女なので」

「ずるいわっ! 私の事も大好きになりなさいっ!」


「そう言われたら捻くれ者の私は逃げますよ。アルセイアを愛してあげて下さいとしか言えませんねー」

「あの子私の事嫌いなのよっ!? 甘えられた事なんて一度も無いわっ!」


「嫌いかどうかは知りませんが、王都で庶民的な親子関係を私と一緒に羨望の眼差しで見ていたので、そういう関係になれば良いのでは? さっき私にした事をすればアルセイアだって頼りにしますよ」

「…………もう無理よ。さっきのでさえ恥ずかしかったのよ……いや貴女がジャージだから恥ずかしかったのもあるわ」


「嫌いだったら、親子で買い物をしている姿に憧れませんよ。私は型を破って王妃様を王都に連れ出しましたから、もう型の外に居る王妃様はどうにでも出来ます。どうです? 夕方、3人で買い物に行きません?」

「……はぁ……ほんと貴女と一緒に居ると狂うわ。悔しいけれど、力を貸して。でもジャージは着替えて」


 なんでジャージ駄目なんだよ。

 娘さんの世界ではジャージが伝説の戦闘服だって言っていたから、由緒ある服なんだよ。


「私からジャージを取ったらただのルクナですよ」

「ただのルクナがお望みよ」


「みんなでジャー……」

「却下」


「わかりました。ファッションウォーリアーにします」

「ぶふっ……やめろ……」


「わがままですね。じゃあミルル王女に服貸してって言いに行きます」

「なんで普通の服持っていないのよ……それにミルエルナはルクナを敵視しているから駄目よ」


 まぁそりゃそうか。普段愛想笑いしかしない姉ちゃんがルクナの前だけはキャッキャウフフしているのを見せられたらね、嫉妬するわな。そして今回買い物に行ったらもっと嫉妬するね。ふっふっふ、挑んできたらペロペロしちゃいそ。


「じゃあさっき王妃様と手を繋いで王都を散策していたジャージの女に殺意が湧きそうですね。さっきセイランの派閥の女子に手を振ったので今頃広まっていますよ」

「わかっているから言わなくて良い。ルクナが手を振った瞬間あっやべって思ったもの」


「はいはい、ウルさん査定出来ました?」

「あー、これがよく視えないんですよね。なんですかこれ?」


「……あっ、これ売り物じゃないです。すみませんこれは無しで」

「……それ、なに? なんだか気持ちが吸い込まれるわ」


「素材は伏せますが、英雄の指輪と言って…………あっ!」

「……? どうした?」


 良い事思い付いちゃった。

 神魔石を錬金した神魔金に私の超位魔法を刻み込んだ誰でも英雄になれる指輪なのだが、オーバースペック過ぎて世に出せない代物になったのだ。


「これはマーガレットさんに会ってから説明します。ウルさんも来ます? ここだと広さ的に売り込めない品があるので……魔剣です」

「っ! 是非っ! 査定額はこちらですっ!」

「……ルクナ、何を企んでいるの?」


「お互いに損の無い話ですよ。ウルさんは秘密を守れる貴重な人なので、私側で話を聞いて貰います。あっこれミカにあげて下さい。査定はこの値段で良いですよ」

「可愛いリボンですねっ。きっと似合いますっ。ではサインお願いしますっ」

「概要だけでも教えてくれない? 怖いのよ」


「旧エリスタ問題の解決方法ですよ。幾つか案があったのですが、1番面白い方法を今思い付きました。アルセイアが帰って来る前に話を詰めておきたいので急ぎましょうっ!」

「えぇ……急ぐのは嫌よ。王妃は急いではいけないの」


 ウルさんを連れて王妃と……いや違うな。ウルさんと王妃の間に入って手を繋いで城へ向かった。

 今回は王妃専用のお茶会室でやるみたい。既にマーガレットさんが来ていて、少し疲れた顔の愛想笑いで挨拶された。

 ……あっ、友達のママ達とお茶会とかなんか面白いわね。

 お茶を置かれたら人払いをしてもらった。更に遮音結界を張って声が漏れないようにして、人除けの魔導具を設置っと。


「では、皆様ごきげんよう。先ずは……ノースギアで絶対不可侵に認定されたので祝って下さい。かんぱーい」

「えっ……」「ルクナちゃん流石ですねっ」「……はい、おめでとう。乾杯」


「ありがとうございますありがとうございます。次は王妃様からご相談と伺いましたが、どのような事でしょうか?」

「……わざとらしいのなんとかならないの? まぁ良いわ。旧エリスタ領での魔物の氾濫が深刻化しているの。解決出来る策を講じて欲しいとブルース家の親戚からお願いされていてね……その親戚というのが、ブルース家に嫁いだ私の姉なの。姉にはお世話になったわぁ……あぁ殺してやりたいくらいねぇ……でも身内だから助けてあげないと外聞が悪いでしょ? そこでルクナなら何か解決出来るかなと思ったのよ」


「あぁそうだったんですねぇ……因みに、お姉さんが魔の森を焼くように言ったのですか?」

「えぇ、まさか龍が居るなんて思わなかったみたい。私もただの大きな森だと思っていたわ」


「はぁ……そうですか。エリスタは木龍の存在を報告済みですよ。誰も信じてくれませんでしたがね」

「……そう、信じてはいけなかった……そんな風潮だったと聞いているわ。法が変わったのは私が王妃になる前の話で、色々と変わったの……魔物の氾濫に関してだけじゃなくて、法に触れない部分で農業や縫製も補助金が縮小したわ。軍備拡張の為にね」


「そこまでして騎士団にお金を使う理由はなんですか?」

「……予言よ。ヴァンに絶対的な存在が現れ、国の存続に関わる……今も貴族達は恐れているわ」


 その情報はだいぶ前に聞いていた。たかが予言の為にと怒ったが、エルフの占いによるものと聞いて納得した。

 まぁ……その予言はもう解決しているのだがね。

 少し前の私なら、今頃感情的になって怒鳴っていただろうな……ははは。


「そうですか。それから魔の森には行っていますか?」

「……そんな暇は無さそうよ。私も視察に来てと言われたけれど、断っている状況だし……疲弊しているのは事実ね」


「予想通りになりましたねぇ。そこで王妃様、私からこんな逸品を紹介したいと思います。ばばーん、英雄の指輪ですっ!」

「これ気になっていたのよ。効果は?」


「これは私の友達が私とまともに戦えるようにと作った指輪です。悪用防止に私が登録した人しか使えないのですが、皆様は私の大事なお友達のママ達なので紹介しておきます。ウルさん、嵌めてみて下さい」

「えっ、私ですか? じゃあ……これで良いですか?」


 嵌めた状態で魔力登録させると……ウルさんの魔力が跳ね上がった。

 泣きそうな目で私を見る姿がミカと同じ反応だから是非とも猫耳を出していただきたいが、ここは我慢だ。


「「……」」

「る、ルクナちゃんっ、なんか怖いっ! これどうしたら良いのっ!?」

「外せば良いですよ」


「ほんとだぁ……はぁ、はぁ、ビックリしたぁ……」

「ウルさんありがとうございます。ご覧の通り英雄の指輪は簡単に英雄を作り出せる危険物です。超位魔法も使えるようになります。これで王妃様かマーガレットさんが魔物の氾濫を抑えて戴けたら、戦うママとしての地位を獲得出来るのですが……お二人はお忙しい身なので、信頼出来る女性を紹介しても良いですよ」

「「……」」


「因みに……セイランは2つ、アルセイアは3つの英雄の指輪を着けて戦闘が出来るようになりました。あっ、ミカは4つです」


 ミカが多いのは、暇猫だから拉致回数が多いだけだ。猫耳をむにむにしたいだけなのだがねっ。

 過去では、友達に一個ずつあげてライズには5個あげたので最強の魔法使いになる準備が出来た訳だ。

 元々ヴァン王国は総戦力が低かった。これで補っておかないとアルセイアが女王になる頃にはこの国は沈む寸前になってしまう。

 だから知っている人が強くなれば、戦争も起きにくいと思っている。


「突っ込む所しか無いけれど……先ずは、値段を聞こうじゃない」

「値段というか、条件……いや貸し契約ですかね。私の信頼を裏切らない事、指輪を秘密にする事、そして指輪に認められる事。これが守れるのなら預けます。友達も同じ契約なので、不公平な契約ではありませんよ」

「少し……考えるわ」「セイランも、か……」

「ルクナちゃん、ミカも着けているなら……私も良い?」


「良いですよ。その指輪を持って行って下さい。慣れたら付けっぱなしでも操作出来ますので」

「えへへ、やったっ。強い魔法使いに憧れていたのっ。私、才能無くて」


「猫人族は魔法が得意じゃありませんから仕方がないですよ。お二人には申し訳ありませんがハッキリ言います。ヴァン王国の戦力は、ノースギアと比べるとかなり低い。戦争になれば私1人でも落とせるくらいです。帝国の動きに不安がある状態で流石にこの状況はマズイと思いませんか?」

「確かに、軍の育成は上手くいっていないわ……悔しいけれど、仰る通りね」

「だからと言って、直ぐには決められない案件よ」


 まぁそうよね。国のトップらへんに居る2人だし、ルクナの傘下に入るようなものだ。

 別にやらなくても良いんだけれどね。別の人に頼むし。

 ただ、セイランとアルセイアのママだから先に声を掛けたんだ。受けてくれたら私が嬉しいだけだ。


「返事は後でも断っても大丈夫です。ただ、私の大切な友達であるアルセイアとセイランのママとも長い付き合いがしたい。出来ればですが……私の2人の母、ウォル・ノースマキナとアズリーナ・レド・ノースギアとも良い関係になって欲しいんですよね」

「私達としても、ルクナの母上と良い関係になれるなら両手をあげて喜ぶわ。でも……大きな壁があるの」


「はい、氷神巫女の娘を守るために国を出たアズリーナ王女を、ヴァン王国が迫害した件ですね」

「……知らなかったじゃ、済まされない話よね」


「はい、マグリット家はアズリーナ王女を手に入れる為に王に嘘の情報を流し、死神アズライナを作り上げた。実は、死神に殺されたとされる人が名前を変えて生きているという証拠を持っています」

「「っ!」」


「世に出せば大変な事になるのは確実ですね。国がアズリーナ王女を迫害する為に嘘の戸籍を大量に作ったとわかれば、私とアズリーナ王女が嘘の戸籍でひっそりと生活していた事なんてほんの些細な事になる。マグリット家が無くなるだけで済みますか?」

「……ノースギアとの不平等条約を結ぶでしょうね」


 まぁ、そこが妥協点だが……問題はここからなのよ。

 ふっふっふ、あー楽しい。


「あーそうそう最近、ノースギアの国教である氷神教が無くなりました。それに伴い、氷神巫女が維持していた氷神結界を国が管理する事になったのですが……ノースギア王がその役目を引き継ぐ事になりました。氷神結界の維持と国の維持は難しいという事で、近々王が変わるかもしれません」

「……氷神教の話は噂で聞いたわ。国が混乱しているとも……次の王の候補に心当たりはあるの?」


「王様はアズリーナ王女を推薦するそうです」

「……うそでしょ」「……どうします? 私達じゃ抱えきれませんよ」


「私、凄く嬉しいんです。母が2人も居て、絶対不可侵の氷神巫女とノースギアの女王ですよ? 楽しみで楽しみで、今後の展開を想像するだけで身震いをしてしまいます。もちろんウォル・ノースマキナもルクナ・レド・ノースマキナもアズリーナ王女を王に推薦します。ノースギア国民もまた、己の人生を犠牲にして氷神巫女の娘を育てたアズリーナ王女を応援するでしょう。私は国の宝ですから」

「女王になるのは、確実、なのね?」


「ほぼほぼそうですね。あぁ言い忘れていました、アズリーナ王女の迫害に加えてヴァン王国学院にて氷神巫女の娘への虐めが表沙汰になった場合はノースギア全体がヴァン王国へ敵意を向ける事になるので、最悪戦争になったら頑張って下さい」

「……え? ちょっと待って、ここの学院に、通っていたの?」

「もしかして……ルナード・エリスタ?」


 セイランママは心当たりがあったみたいね。クルルとルナードは同一人物という噂も無くは無い噂だったし、学院のルナードに対する虐めはアルセイアが表沙汰にしたから大人にも伝わっている有名な事件だ。

 ルナードが死んだ後に明るみになったから、過去の事として有耶無耶にはなったが……虐めの内容は事細かに書かれていて、どんな悪口を書かれたか、どんな酷い事を言われたか、どれだけ除け者にされたかが書かれている。そしてリストには王子の名前もあるんだよねー。ほっほっほっ、絶対的有利な状況ほど楽しいものはない。


「エリスタ……貴女が、ルナード、エリスタ……そんな……」

「セイランから聞いたのですが、名前と性別を偽装して戸籍を作った場合は犯罪を犯さない限り罰金刑だけで済みます。えぇもちろん払ってあげますよ。百万だろうが一億だろうが払って、私がルナード・エリスタだったと公表し……虐めた奴らを奈落の底に突き落としてやりたい……マーガレットさんと王妃様はそんな私を、止められますか?」


 セイランママは諦めたように静かに首を振り、王妃は目に涙を溜めながらゆっくりと頭を下げた。


「……ごめん、なさい。息子の無礼を、お許し下さい……貴女の為に、なんだってやる……だから、公表は、しないで下さい……息子はまだ、貴女の事を、想っている……」

「あの報告書を読んだのなら、ルナードがされた仕打ちを知っている筈です。それでも、息子の為に頭を下げますか?」


「……」

「はぁ……別にこれを交渉材料になんて使いませんよ。実行した後は大暴動が待っているのは明白なので、かなり慎重に進めます。私の一方的な怨みですから……頭を上げて下さい。王妃様、独りぼっちだったルナードはアルセイアとリリに救われました。全て壊すつもりだった私を繋ぎ止めてくれた命の恩人なんです。もちろんセイランとミカにも救われました。彼女達が居たから、こうして恩人の母である皆様にお伝えしているんですよ」

「……王妃様、お気持ちはわかりますが……一番辛いのは、ルクナちゃんです。その行為は、ルクナちゃんを傷付けるだけです」


 ウルさんが私の手を握って王妃に言うと、マーガレットさんが王妃の肩をだきながら身体を起こした。

 王妃は化粧が崩れるほどボロボロに泣いていた。その涙を、少しでもアルセイアの為に使ってくれていたら王妃を好きになれたのにね。

 息子を持つ母の気持ちなんて知らないけれど、きっと私も同じ立場なら子供の為に同じ事をするのだろうか……

 初等部の時に起きた出来事だから、保護者である親の責任だけれど……集団生活になれば何が起きるかわからない。恐らく、ルナードの件だけでも相当な心労だったのだろう。

 そこは同情出来る……かも。

 いやどうだろう、アルセイアが居なかったらボロクソにしていただろうね。

 いやぁーでもでもやっと言えた。ヴァン王国に大きな楔を打ってやったぜっ!


「私の言いたい事は大体言えたのでとても満足しています。じゃっ、休憩にしませんか? マーガレットさんは、王妃様のお色直しの付き添いをお願いしますっ。結界解除っ!」

「ルクナ……私……」


 また何かいらん事を言おうとしたので、王妃の元へ行き頭を抱えるように抱き締めた。


「はい、話は終わりです。私はアルセイアのママだからこうして平和的解決を望んでいます。それとも、王子の母として私の前に立ちますか? 嫌なら嫌って言って良いんです。悲しいとか辛いとか言って良いんです。全部受け止めて抱えなくて良いので、少し手伝わせて下さい。私は大好きなアルセイアの母である王妃様を、尊敬しているのですから。今なら胸をお貸ししますよ」

「……あり、がとう……ぐすっ……」


 王妃を抱き締めながら、隣のマーガレットさんの顔を見た。少しビクッとされたのはショックだな。まぁ恐いよね、こんな中学生居ねえよって。

 すまんね、ルゼル様と対峙したせいか、心の成長がエグいんだわ。

 王妃が落ち着いた様子なので、離れて微笑みを向けておいた。

 ……やべっ、王妃の顔にジャージのチャックの跡がすげえな。

 戻って来るまで時間が掛かりそう。

 王妃達が去って行き、メイドさんを呼んでお茶を淹れてもらって一息付いた。


「はぁ〜〜……ウルさん、ありがとうございました。ほんとに来てもらって良かったです」

「いえいえ、王妃様の泣き顔が見られてお金で買えない物を買えた気分ですよっ。ルクナちゃんほんと格好良かったっ。娘の同級生にここまで圧倒されるなんて……良い経験でした」


「もうごめんですがね。友達のママを責めるなんて本当はしたくないんですよ。友達のママがたまたま王妃だったってだけですから……でも中々の苦労人ですね。自分の意思で動いた事は少なそうです」

「んー……商人の間では王室御用達の商人としか取引しないと聞いています。リューメイ魔導具店にいらしたのは今回が初めてですからね。私の主観は、ルクナちゃんと似た感じですね。これ以上の責任は背負えないくらいの重圧と戦っている人……という感じです。解毒の腕輪を3つ買われていたので、不安症なのかもしれません」


「そうですよねぇ……今の状態ではウォル・ノースマキナとは戦えません。私の百倍強い女ですから。あぁそうだ、魔剣の商談でもします?」

「はいっ! ずっと気になっていたんですっ!」


 王妃の事なんてどうでも良い感じだから、商人ってのは逞しい。

 私も商人の考え方に寄っているから、ウルさんとは話が合うのだろう。

 でもこの人、ドSなんだよな……

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