結局学院の人からパートナーに誘われなかったな
握手会は大成功で終了し、エリちゃんと友達の3人を連れて家に帰って来た。
改めてルクナ人気を実感できたね。泣いて喜んでくれる女子も多かった……うーむ。
「ルクナちゃんすっごい人気だったねっ」「私も並びたかったなぁ」「うわぁ近くで見ると大きいですねぇー」
「ルクナちゃんが思っているよりみんなルクナちゃんの事好きだったよねー」
「箔付けの意味で並んでいた人が大半じゃない? 眼を見ればわかるもん。定期的にお願いねー、ただいまー友達連れて来たよー」
「おかえり、お嬢様。ようこそレディ達」「おかえりなさいっ、ルクナお嬢様っ。お友達もようこそっ」
……家に入ると赤い髪のイケメンと金髪のイケメンがお出迎えしてくれた。
ダブルイケメン執事服なんてやるねぇ。にしてもローザとナナリーは仲良いな。
3人組は目を見開き硬直し、エリちゃんは慣れているからぺこりと挨拶していた。
「ナナ、クレイル、みんなを客間にエスコートして。ジャージに着替えて来る」
「はいっ」「レディ達、おいで」
「「「……」」」
「ルクナちゃん、早く戻って来てね」
「ほいほい、あっセイランは?」
「お嬢様のお部屋に居ますよっ」
みんなを任せて部屋に行くと、セイランがマネキンに服を着せていた。新作かな? でもセイランらしくない可愛い系ね。
「ただいまー。新作?」
「おかえり。貴女の交流会の服を作ろうと思ってね。この写真集に影響されて制服風ドレスを作ってみたの」
「めっちゃ可愛いじゃんっ。嬉しいーっ、えーそれならセイランも行こうよー。お揃いの制服着たいもーん」
「……部外者だから裏方で良いわ。ルクナがノースギア学院の友達と楽しい時間を過ごしている姿を見られるだけで、私は幸せよ」
「セイラン……」
「その為に私が出来る事はなんでもやるつもり。友達、来ているんでしょ? 紹介して」
……セイランが優しい。デスちゃんが作ったセイラン人形かと思って身体を触ってみたが唇を突き出したのでセイランだった。
……着替えてセイランを連れて客間に行くと、みんなお菓子を食べて談笑していた。ナナリーとローザは役目が終わったからキッチンに居るのね。
「お待たせー。みんなー紹介するねー、私の親友のセイラン・オレイドスだよ。あっセイランは公爵家の超お嬢様だからセイラン様ね」
「よ、よろしくお願いします」「お願いします……」「お願いしますっ! セイラン様っ!」
「よろしく、セイラン・オレイドスよ。貴女達にはセイラン・オレと言った方が良いかしら……早速だけれど、全員交流会に行くの?」
「い、いえ……」「行かないです」
「……なんで?」
「セイランさん、私達イケてないグループなんでパートナーなんて居ませんよ」
そう、エリちゃん含め彼女達は俗に言うイケてないグループだ。
イケてるグループは1組のギャル達が怖くてエリちゃんに話し掛けられないし、エリちゃんが元々少し話していたグループと細々交流していた延長線の友達だし、私が家に入れるような学院の女子って言えばね?
「パートナーが居ないと参加出来ないなんて書いていないじゃない」
「居ないと笑われるので……初等部は強制参加だったので最悪でした……ドレスじゃないと嫌味も言われますし……かと言ってドレスなんて……」
「私達ドレスなんて持ってません……」
「なるほど……全員に参加権があると言って実際は貴族の為の交流会って訳ね。パートナー有りが無しに話し掛けるのは相当な嫌味にもなるし、仕立てたドレスじゃないと格差が生まれる。平民じゃ絶対無理だし、その格差を楽しむなんて悪趣味ね。わかったわ。ルクナ、パートナー無しで行きなさい」
「ほーい」
「……聞かないの?」
「えっ、だってセイランは私とみんなの為に動いてくれるんでしょ? 私は軍師セイランに従うまでよ」
「そう。じゃあ貴女達にも協力してもらうわ。ルクナの為に、やってくれるわよね?」
「「「……」」」
「あっ、みんな従った方が良いよ。もう逃げられないし、セイランは絶対に損はさせない。私が絶対と言うのだから、絶対に大丈夫だよ」
みんなゆっくりと頷いたので、セイランがにんまりと笑った。
そこで私に紙を見せてきた……なになに? 主催、サーレス公爵家。あぁだからセイランは張り切っていたのか。
良いよ。私はセイランの言う事聞けば良いだけだもん。
みんなは、まぁ、頑張って。
「みんながやる事は、交流会の会場でルクナに話し掛けるだけよ。衣装は私が用意するから安心して」
「えっ、それだけですか?」
「えぇ。みんなが出来ない事を貴女達は出来るのよ。パートナーが居ないルクナに話し掛ける事が出来るのは、パートナーが居ない者だけでしょ?」
「ふふっ、意地悪だね。貴族の子は挨拶したいのにパートナーが居るから出来ない。挨拶をしたら、パートナーの居ない私を見下す事になる訳ね」
それをサーレス主催でやるなんてなんて性格悪いんだ。まぁ私もやろうとしていたがねっ!
でも良いわねー。パートナーに誘われるようなリア充よりも楽しく出来たら盛大に気不味い交流会になる。そうなればパートナーなんてクソみたいなルール無くせる。
「ルクナちゃんが独り身だと結構荒れそうだね」
「荒れるで済めば良いわねー。全ての貴族の子息に批判が起きる可能性だってある。なんで氷神巫女の娘であるルクナを誘わなかったのかってね。やっぱり面白そうだから私も行くわ。クレイルとナナを従えてねっ!」
「セイランさんの魔王感が増すわね。じゃあ2人には男子の制服着せてよ」
「はっはっはっ! もう作ってあるわっ! そうだ貴女達、採寸させなさい。そして当日の朝はこの家に集合ね」
「は、はい……」「ルクナちゃぁん……」「うぅ……あの時のトラウマが……」
「因みに交流会までにパートナーが見つかったら裏切り者として何が起きるかわからないからね、エリちゃん」
「なんで私さ。世界の誰よりもルクナちゃんが一番だから安心して」
「エリちゅわんっ。そのメガネじゃなかったら満点だったよっ」
「当日はちゃんと外すよ。ルクナちゃんの為だもん。セイランさん、他に仲間が居た方が良いですか? 相手居ない人何人か知ってるんで」
「うーん、数人願いしたいわ。それ以上増えると写真に入らないから」
エリちゃんも乗ってきたのだが、何か思うところがあるのだろう。
……誘いが多過ぎてウザいという贅沢な悩みと聞いたので、恨みを込めて生乳を揉んでやった。
……まぁ、ちょっとアレな声が出てしまったので気不味い雰囲気の中、お茶会はお開きになった。
翌日も学院に行くと、ちょっとびっくりされた。
週一でしか来ない女が連日来たら嫌だよね。でも知り合いに相手が居るか確認しないといけないから許してくれ。
「ルクナ様、今週は2回も来て戴けたんですねっ」
「あーちょっと知り合いに確認する事があって無理して来ました。今日は午前で直ぐ帰るので」
「そうでしたか……あっ、昨日多目的ホールで握手会だなんて聞いていたら直ぐに向かいましたのに……」
「6組の友達が手伝ってくれると言ってくれたので、思い付きでやっただけですよ。そうそう、交流会は1人で行きます」
「「「──っ」」」
「えっ、本当ですかっ!? クレイル様のご都合が悪かったのですかっ?」
「クレイルは友達と一緒に見学に来てくれますよ。そうだ、女子の中で参加したいけれど相手が居ない方って居ますか?」
……後ろを振り返って聞いてみたが、反応は無かった。
1組から3組は良い所の子が多いので、ほぼ相手が居ると聞いたが本当だったみたいだ。
私の為に相手を蹴って仲間になってくれる人も居ない、か。きっと1、2組もそんなもんだろう。
「ルクナ様、相手が居ない場合は普通言わないので答えてくれませんよ」
「そうですか……じゃあ他の組に聞いてみますね」
「それは……何かあるのですか?」
「はい、セイラン・オレが……ん? すみません連絡が来ました。もしもーし、おはよーどうしたの?」
『おはよー。セイランちゃんに交流会誘われたんだけれど、何やらかすの?』
「なにも? 制服着るだけよ。独り身アピールって奴? 一緒に制服着る?」
『そうねー。私も独り身だからセイランちゃんの制服で行くわ。お父様も誘ってみるわね』
「ふっ、ふふっ……お願い。ふふっ、想像しちゃった……」
『くくっ、言わないでよ……ルクナの誘いって言っておくわね……くくく……あっ、会議だから切るわねー。またねっ』
……セイランめ、ウォーエルが行かないと言ったからアズ母を誘ったな。ご褒美をやろうか。
王が制服着たらめっちゃ面白いのだが……
「あの、ルクナ様……それは……」
「あっ、すみません。通信機を着けたままでした……先生には内緒でお願いします」
「通信機……凄いですね……因みに、どなたですか?」
「アズリーナ王女ですよ」
「…………ぇえっ!? ど、どんなお話を?」
「どんなって……王様に制服着せたいねって話で終わりました。アズリーナ王女も交流会に来るみたいですよ」
「本当ですかっ! 嬉しいですっ! 私アズリーナ王女様の事が大好きでっ!」
「あぁそうだったんですね。でも……あぁ、まぁ、話せそうな雰囲気だったら話せると思います」
独り身仲間に大物が入った。
これ気不味いで済むのか?
もしかしたら今回で交流会無くなるんじゃない?
そして色々活動しながら、交流会の日がやって来た。
みんなでセイランの制服に着替え、記念撮影をしていると来客があった。
「ルクたんさまー、アズリーナ王女と王様が来てくれましたよー」
「「「えっ……」」」
「おっ、ここに案内してー」
「る、ルクナちゃん……アズリーナ王女と王様って?」
「アズリーナ王女が来るついでに王様も誘ったみたい。あっ言うの忘れてた。てへっ」
「私も言い忘れていたわ。てへっ」
「あのさ……私達平民だよ? 緊張で死ぬよ?」
「ここはルクナ国だから私が王様よ」
「ここから出たらノースギアですよぉ〜……ルクナちゃーん」
「「……」」
「じゃあ終わったらお泊まり会でもする? アズリーナ王女が晩ご飯作ってくれるかもよ」
「えぇっ、それはそれで緊張して食べられないって……いや流石にアズリーナ王女は泊まらないでしょ?」
「ねぇアズリーナ王女、泊まってく?」
「えぇ、ウォル様が良いなら何泊でもするわよ」
「「「っ!」」」
3人組は床に正座して頭を床に擦り付けて挨拶にならない声で挨拶をしていた。
エリちゃんはペコリと挨拶をして私をジト目で見ながらお菓子を食べ、セイランはにっこりと笑いながら挨拶をしていた。
「セイランちゃん、誘ってくれてありがとね」
「いえいえ、アズリーナ王女に会いたかったので。ノースギア王様もありがとうございます」
「あぁ……ルクナの為だ。ふむ、オレイドス家は安泰だな。良い目をしている」
「全てルクナのお蔭です。ルクナに出会わなかったら、私の人生は堅苦しいものでした。アズリーナ王女にも大変お世話になりましたので、私にできる事はなんでもするつもりです」
「そうか……感謝する」
「あっそうだ王様、セイランのママにオレイドス領にある別荘を戴いたのですよ。なので私とオレイドス家は社会的には友好関係にある形になりました」
「……わかった。覚えておこう」
何も聞かないのは、アズ母からある程度聞いているのだろう。私がオレイドス家を憎んでいる事も、知っていると思う。
別荘を貰ったから、セイランと仲が良いからと言って、私の憎しみは消えない。
「セイランが当主になれば、良い関係は続くと思います。アズリーナ王女、別荘は雑談程度に広めておいてね」
「了解。ルクナとセイランちゃんが組むと、末恐ろしいわね……ノースギアでもルクナの派閥は噂になっているけれど、こっちでは作らないの?」
「作らんよ。ここは氷神巫女の影響が大き過ぎるのよ。大人達に氷神巫女を引っ張り出す為の道具にされるのはごめんだからね。そもそもさ、私はアズリーナ王女と静かに暮らす為にノーズギアに来たのよ? 学校だって地方で通うつもりだったのに、派閥とかどうでも良いのよ」
「……何も言い返せないわ。今の忘れて」
「あっ……」
「セイランどうしたの?」
「デスちゃんとこれ作ったのよ。会員証」
なにそれ? 会員証? えーっと……ルクナファンクラブ会員ナンバー2番、セイラン・オレイドス。表紙には私とセイランのツーショット写真が貼られていた。
会員証越しのセイランのドヤ顔を眺めながら、忙しいのに何やってんのという目で見てあげたが褒めなさいという目で返された。
「……会員ナンバー1番は誰?」
「貴女の娘よ。会長だから1番ね。ファンクラブに入る資格はルクナとツーショットを撮る仲である事。ルクナが好きな事かしら」
「中々難しい条件ね。何か特典あるの?」
「会長からルクナの生写真が貰えるわ。他にもグッズ販売権やら特典は沢山あるし、このルクナモデルの手帳も特典よ」
「へぇー……私はいつも通り過ごせば良いの?」
「まぁそうね。ファンクラブイベントはこの前ここでやったライズの歓迎パーティーみたいなものを定期的にやってもらえばそれで良いわ。それで、アズリーナ王女とノースギア王様はどうされます?」
アズ母はピシッと手を挙げ、反対側の手で王の手を挙げさせた。
王がおいって顔をしたが、アズ母はそれを無視するように私を見詰めていた。
セイランが写真機を手に構えたので、アズ母とピース。そして王とピース……ピースしろや。
写真を撮ったらセイランがデスちゃんのゲート……デスゲートを出して中に入れた。この家にいる間に仲良くなったのね。デスちゃんが出てこないところを見ると、忙しいか謎の会長になるつもりね。
デスゲートから直ぐに会員証が出て来た……なにこれ……会員証の空白部分に文字が流れている。『魔力を通して会員登録完了させて下さい』と出て、アズ母が魔力を通すと『登録完了しました。新規会員特典としてルクナスケジュール帳をお送りします』と出て……うわっ……アズ母の前に手帳が現れた。
アズ母の顔が引き攣って、手帳を手にするとまた文字が流れた。『誰かに譲渡するとその誰かが呪われます』……恐えよ。
「……俺の手帳は何故ピンクなんだ?」
「きっとピースしなかったからですね。お似合いですよ」
「セイラン、その会員のリストって見られるの?」
「会長にお願いしたら見られるわよ。エリのはあるけれど貴女達も入る?」
「「「はいっ!」」」
「あっ、私は強制なのね」
「はーい写真撮ろうねー」
写真を撮って会員証が出来上がり、みんなキャーキャー言って喜んでいた。これって何か買う時どうするのだろうと思ったが、きっと謎機能で買えるのだろう。デスちゃんがどんどん自重しなくなっている気がするが、それに突っ込んだらきっとデスちゃんは泣いてしまうので任せてみよう。
……あっ、もしかして……ルゼル様に謎技術を習ったな。
「ではお二人も着替えましょうか。ご案内します。ミレイ、フラン、手伝って」
「はいっ! セイランお嬢様っ!」「お嬢様素敵ですー」
「ルクナちゃん、なんか緊張してきた」
「会場直ぐそこだもんね」
「そいえばどうして急に中央公園になったんだろうね」
「アズリーナ王女も来るって聞いて参加者が倍増したからじゃない? みんな必死にパートナー探していたよ。そのせいで仲間探しが捗らなくてね」
「それだと逆に話し掛けれないじゃん。まぁ私も探してみたらみんなパートナー居たんだよね……」
「それってさぁ……ほぼほぼ相手居ないのって私らだけじゃね?」
私は1から5組まで回り、エリちゃん達は6組以降を回ってくれたが誰も居なかった。
私は教室に入って全員の顔を見渡して、センサーが発動しなかったからそのまま出て行っただけだが……
まぁイケてないグループに相手いるか聞かれたら居なくても居るって答える人は多そうだな……うん。
アズ母と王は主催者側の方へ行くので別行動だ。
ふっふっふ、波乱が起きそうね。




