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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ノースギア学院編

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325/363

絶体絶命……

 

「ただいまー」

「おかえりー」

「あら早かったわね。そんなに私に会いたかったなんて流石はルクナだわ」


 水晶をゲットしたので二つの窪みに嵌めてみると、ガチャっと扉が開いた。これ鍵を破壊すれば進めるんじゃね? という疑問を持ったがそれはルール違反か。

 扉の先には氷の廊下が続き、奥は階段になっていたので降りていく。

 次は四層だと思うが、このまま難易度上がっていくと最後はどうなるのかしらね。四層は石畳の普通の迷宮内部みたいだが、迷路になっているタイプか。まぁこっち矢があるから迷う事は無いのよね。


「ここは昔の探索者が入った跡はあるわね。壁に剣の傷や空の宝箱がある」

「迷宮なのに傷跡が残っているの?」


「だいたい細かい傷はそのままだよ。迷宮核がそこにエネルギーを使っても仕方がないと判断するんだ」

「ふぅん。でもうんこは無いじゃない」


「うんこは栄養になるのよ。魔物の死体が消えていくのと原理は同じで、再利用的な?」

「じゃあうんこの魔物とか出たら最悪ね。歴代のうんこを投げる魔物……恐ろしいわっ!」


 そんなもの居たら迷宮探索なんてしてねえよ。でもうんこのトラップとかあるからそっちに使っていると言ったらセイランの顔が歪んだ。良い感じのブスね。

 通路を右へ行ったり左へ行ったり、結構歩いているが特に何もなく……魔物も逃げているから居ないし、宝箱も空だから退屈ね。


「……そういえば、迷宮にも幽霊って居るのよ」

「怖いこと言わないで。それはゴースト種よね?」


「ゴースト種になるものも居るけれど、だいたいは未練を残して死んだ場所に立っているかな。それで未踏エリアか見分ける事も出来るのよね」

「……じゃあここにも居るって?」


「うん、セイランの横とか」

「ひゃっ……ルクナ、ちびったわ。責任取って拭きなさい」


 どこでもトイレはちびった尿も魔力にして拡散出来るのだ。使ってあげるとビクッと震えて、ちょっともじもじしながら口を尖らせた。ついでにうんこも処理したのが恥ずかしかったのかしら。


「おっ、そろそろゴールかも。階段発見」

「やっと階段ね。何層まであるのかしら?」


「うーん、この感じだと6層かな。自然エリアが多かったから地下何十階と続くような感じじゃないし」

「そう。早く帰りたいわ。えー、次も同じじゃない」


「最深部が近そうね。ここの階の方が狭いよー。ほら、雰囲気変わっているじゃん」

「わぁーいかにもボス居ますって感じだ」


 両脇の青白い松明に照らされた大きな石像が並ぶ通路に出た。石像をぺしぺし叩きながら進み、十メートル以上の両開きの扉の前に来た。ちょっと開けて中を確認……運動場みたいな広さだな。神殿みたいな静かな空間の中央に台座があり、その奥に扉があった。多分中央に行ったらボスが出る。


「セイラン、ライズ、待っている? 本気結界張れば観戦ぐらいは出来ると思うけれど、保証は無い」

「せっかくだから見たいわ。ライズは?」

「私も観戦するよ。正直足手まといな自覚はあるから、大人しくしてる」


「わかった。お守り渡しておくね」

『私も、身代わり人形、あげる』


 準備運動を済ませていざ出陣。ライズとセイランは端っこで待機して、私とデスちゃんが結界を張る。

 よし、中央へ行き台座の水晶に触れてみた。

 すると部屋の至る所から魔法陣が現れ、様々な魔物が現れた。

 虫や龍や魚や鳥や……種類と強さがごちゃ混ぜだ。


「氾濫寸前って話は本当だね。統一感が無い」

『魔法陣見て、多分、迷宮の魔物、全部来る』


「うへぇ……超位迷宮ったら何体居るのよ。まぁ良いけれど、離れない方が良いね。広範囲魔法よろしく」

『うん。シャイニングレイン』


 デスちゃんが光の玉を打ち上げると、天井に光の雲が発生し、光の雨が降り注いだ。

 ザァァァと音を立てているこの雨は、光と闇と水と土の複合魔法って……なんか雨に当たった魔物が溶けたり真っ二つになったり死に方が様々だ。これシャイニングレインじゃないでしょ。嘘言っちゃ駄目よ。


「流石ねデスちゃん。良いこ良いこ」

『ふふふふ……魔法陣、壊すね。呪壊』


 デスちゃんが何か呟くと、魔法陣が薄氷をハンマーで割ったみたいにバリンバリン割れて爽快だ。

 おっ、割れた魔法陣が無くならずに一箇所に集まって合体した。罠部屋みたいにあれが本体とか?

 ……禍々しい黒い魔法陣か。今まで経験した事の無い強さを感じる……嫌な予感がしてきた。


「あれ壊せる?」

『硬い。でも出てきたのは殺せる』


 黒い魔法陣からぬぅっと大きな悪魔が這い出て来た。何か言おうとしたところでデスちゃんの呪殺で即死した。

 また悪魔が現れたが口を開いたところで即死した。

 今度は一言喋ったところで即死した。

 これ、喋らせてあげた方が良いのか? でもデスちゃん張り切っているから悪魔が出ても即死するのよね。

 しかもこの悪魔、帝国の闘技場で私とイシュラが倒した奴くらい強い気がするが……

 あっ、また即死した。


「悪魔って呪いで死ぬの?」

『格上の呪いに、弱いの。悪魔と天使、上下関係、厳しいから』


「そうなのね。因みにデスちゃんの呪いの格ってどのくらい上なの?」

『元の身体じゃないから、超位まで』


「超位でも充分凄いわよ」

『ママの方が、凄いよ』


 悪魔の黒い山が重なって、死体が地面に溶けていった。再利用されたら終わりなんて無いよなぁ……また即死した。

 セイラン達の方を見ると、ぼーっと見ていて動いてはいない。

 私達も動いていない。

 また悪魔が倒れた。

 ……これ、超位級の悪魔がこんなに出て、まじでヤバい状態じゃない? 人魚達壊滅するし、世界規模でヤバくない? だからマリンさんが私に頼んだのか……いやその前にマリンさんは私と一緒に行く予定じゃなかった? なんで来なかったんだ? 一緒に行こうと思えば行けたのに……


「私も何かした方が良い?」

『……じゃあ、神器に力溜めて。さっきの半分くらい』


「……半分ね。あっ、椅子作るね」

『ありがと』


 天輪を起動して発射台の椅子を作って、神魔石を出して右手に握る。握るだけで力が補充されるから接近戦をしながら溜められるのは良い事よね。天輪の標準は悪魔召喚されている魔法陣にセットしておこう。

 ……溜まった。

 デスちゃんが良いよって言ったら撃とう。

 ……おや? 悪魔の色が赤色になった。死んだ。次は青色。死んだ。

 黄色も死んで、白いのがちょっと歩いて死んだ。

 魔法陣の色が黒から金色になったな。なんか豪華ね。

 ……金?

 金色の魔法陣?

 えっ、ちょっと待って。

 神気で作った魔法陣と似ている。私の作る規模よりも遥かに大きな力……

 デスちゃんを見るといつもの様子だが……


「ねぇデスちゃん、金色って……神級?」

『うん……沢山の悪魔、生贄にした召喚陣』


「へぇー……超位の悪魔が大量に生贄になった召喚陣ねぇ……それってさ、大丈夫?」

『ふふふふ……殺しすぎちゃった』


 デスちゃんが張り切り過ぎたみたいで、てへっと舌を出しているのは可愛いが……あれ? 背筋がゾクっとしたよ? 撃って良い? 撃つよ? もっと溜めておけば良かったかも……あっ、やばいゾクゾクがエグい。


「あぁやべぇかも……エーテル・ラストリアッ!」

 金色の魔法陣目掛けて神級のレーザーを撃ち込んだ。

 その瞬間……魔法陣から白い人の腕が現れ、レーザーを手のひらで受けた。

 受け止められたっ……いや、効いている。手を焦がしているからダメージはある……でもこれは致命傷になっていない。


『ふぅ……異質な召喚陣の反応があって来てみたが、手荒な歓迎だな』

 エーテル・ラストリアの勢いが収まり、魔法陣から出ていた手が焦げていた……魔法陣を抉じ開けるようにもう一つの手が出て来て、頭、足とその姿が顕になった。黒いドレスの、女性……? 黒い髪から覗く瞳と目が合った時、女性の背中から漆黒の翼がバサっと開いた。

 ……天使と言っていいのか、息を呑む美しさがそう思うのか、本能が訴えている……絶対に勝てない。

 長い黒髪が乱れたのが気に入らないのか、ふんっと不機嫌そうに整えて私達を見据えた。

 足が、震える……強さの次元が違う。


「……デスちゃん、勝てそう?」

『………………無理。ママ、降参、しよ』


「……いや、絶対怒っている、よね? 降参、出来るの?」

『話せば、わかる、多分』


 デスちゃんが正座して、天使に頭を下げた……完全降伏の姿勢に、私も同じように正座した。それを見た天使がこっちに向かって歩いてきて、首を傾げながら私達を見下ろした。

 なに……この重圧……心臓がぎゅーって……なんだ、この感覚……まずい、寿命が、減っていくような……


『……何故、禁忌の召喚を使った?』

『迷宮の召喚魔法陣が金色に輝き、貴女様が来るとは思いませんでした。主の命を守る為に迎撃してしまった罪は私の命で償います。どうか、お見逃しを』

「えっ……ぁっ、すみませんでした。迷宮攻略をしていて、その……」


『解析……あぁ、なるほど。悪魔百体を生贄に繋がってしまったのか。この状況だ、攻撃を受けても仕方がない。それにしても……痛かったな』

『申し訳ありませんでした!』

「も、申し訳ありませんでしたっ!」


『そういう意味ではない。人間が我に痛みを与えた事がおかしくてな。人間……ほぅ、神化しているな。名は?』

「ルクナ・レド・ノースマキナと、申しま……す……」


 目の前がチカチカする。ヤバい、緊張で吐きそう。

 でも、倒れたらデスちゃんの命が奪われる。


『人形は、我を知っているようだが? 何者だ?』

「私は、デス・ネイシア。西の魔神です。この世界に封印され、主様に助けて戴きました。主様の命だけは、お助け下さい……お願いします」

「い、いやっ、駄目、お、お願いしますっ、お見逃し下さいっ!」


『……普通に会話しているつもりなのだが……やはり怖いか……まぁ良い。ルクナ、とりあえず攻略して来い』

「えっ……」


 攻略して来い? デスちゃんは頭を下げたまま動かず、後ろのセイラン達を見ると正座して動けないみたい……えぇ……この状況で行って来いって……具合悪い……

 なんとか立って、恐る恐る天使の横を通って奥の扉を開けると、黒い宝箱と迷宮核が二つあった。デスちゃんの推測が合っていたとかどうでも良いくらい辛い。宝箱の中は見ずに収納して、迷宮核も二つ回収した。

 そして直ぐに戻ると、静止画のようにさっきと変わらない風景……

 行きたくねぇ……帰りてぇ……生きて帰れるかしら……


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